Hiroyuki Saito

ロードウエイ・イン・アンド・スイート

ワトキンス・グレンでのレースは雨に翻弄されることになったけど、ピットストップのタイミングもよく無難に走り切ったディクソンが2年連続優勝を飾りましたね。カストロネベスがポール・トゥ・ウインを飾れるかなって思っていたけど、1周目にはカナーン、5周目にはマルコにまでターン1でばっさり抜かれていました。プラクティスまでの速さは、どこかにいっちゃったって感じで、スピンはするし、彼もこのコンディションにはお手上げだったようです。カナーンもらしくないミスでトップ争いから消えちゃったし。レースに関してはフォト&レポートをご覧ください。
基本的に僕のFrom USでのコラムは、レース以外のネタ(レースには関わってきますが)で、アメリカで感じたことや日常の些細なことを淡々と書いていきますよ。今回はワトキンス・グレンについてです。ワトキンス・グレンは、インディ・カー・シリーズのレース開催地の中でも一、二を争う田舎街です。ニューヨーク州にあるけど、どちらかといえばカナダよりに位置していて、マンハッタンからは車で4時間くらいはかかるところです。サーキットのゲートがある道路沿いには、乳製品関連の会社でイメージされる白黒の牛が放牧されている長閑なところです。
ワトキンス・グレンはホテルが少ないので毎年困るのが宿の手配。仕事的にもハイスピード・インターネットが使えるというのが絶対条件で、また、コースに近いか空港に近いかというのも大事な要素です。地方に行けばいくほど、ホテルが少なくなり、また、レースの週末なので値段も高くなります。探すのがとても大変でした。
それでもなんとかインターネットで探して、“Ithaca”というコースから30分くらいの場所に宿を取ることが出来ました。値段もそれほど高くなく、コースに近いという条件を満たしており、よく残っていたなぁと思いましたよ。後々、残っていた理由が分るのですが・・・・・。
ホテルに行くまでも結構不安でしたね。アメリカ五大湖のひとつ、オンタリオ湖沿いにあるロチェスターという都市の空港からクルマで2時間。ハイウエイから国道になると、真っ暗な一本道です。ホテルにたどり着くまで本当に道があっているかすごく心配になってきます。一本曲がるところを間違ったりしたら、僕は基本的に方向音痴なのでアウトです。不安と戦いながらルート・ナンバーを何度も確認して宿に向かいました。
街の光が増えてきて安心し、“Ithaca”の街にたどり着くと、その街を通り過ぎたあたりにホテルがありました。“ロードウエイ・イン・アンド・スイート”という平屋のなんとなく古びた感じのするホテルです。チェックインすると、今日はスモーキングルームがダブルベットの部屋しかなく、明日からキングサイズベットの部屋に移ってくれといわれました。
別に問題なかったので、初日の部屋に行ったのですが、角部屋で直ぐ脇が沼地なんですね。ドアに近づくと、その沼地から今まで聴いたことのない生物の鳴き声が聞こえてくるんです。「んごうぉ、んごうぉ」って、感じで。僕はカエルが大嫌いなので、その類が出てきたら叫んじゃうだろうなと思いながら、恐々と荷物をすばやく部屋に入れてドアを閉めましたよ。
部屋もちょっと疲れてやられているような感じです。アメリカでは珍しく照明が蛍光灯でした。ダブルベットの部屋にしても妙に広いので、落ちつかなかったですね。その割にテレビは小さいし。とっとと寝ようと思って、毛布をめくったら先客がいました。小さいクモが「ささぁー」って走って逃げていきました。なんだか寝つきが悪かったですよ。

画像

翌日、キングサイズベットの部屋に移動したのですが、今度は部屋が狭いんですね。なんだかバランスの悪いホテルでした。まぁ日本人の僕にはちょうどいいサイズでしたが。部屋に荷物を入れていると、なんか近づいてきて欲しくないサングラスをかけている酔っ払った若い白人がこっちに近づいてきます。ただの酔っ払いならいいのですが、ちょっとお酒以外もやっているような感じです。やだなぁと思っていると、挨拶されて隣の部屋に入っていったんですね。そういう人が隣に泊まっていると思うと、ちょっと心配ですな。
なんだか、ワイルド感が増すばかりのホテルですが、部屋に入ったら入ったで、今度はハエがいるんですね。部屋が狭いと気になりますねー。一匹やっつけると、また一匹現れる。もう、なんだか勘弁してくれと思いましたよ。
翌日、朝になって値段が安かったもうひとつの理由が分ったんですけど、ホテルの目の前は道路を挟んで墓地でしたよ。合掌。