Hiroshi Nakajima

石油中毒?

先月末に行われたブッシュ大統領の一般教書演説の中で、米国が「石油中毒」状態にあるとして、中東からの石油輸入量を大幅削減する一方、ハイブリッド・エンジン車やエタノールなどのアルコール燃料エンジンのように比較的安くてクリーンな代替エネルギーの技術革新を強化すると述べていました。それにより近い将来には中東オイルへの依存度を大幅に低減させることを目指すとしています。
70年代におこった第一次オイルショック以来、それまで一般的だった大きくてパワーのあるアメリカ国産車に比べて、比較的小型で燃費が良く信頼性も高い日本車が米国消費者の人気を集めたのは言うまでもありません。最近ではトヨタやホンダが販売しているハイブリッド車の人気が急上昇しています。ご存知の人も多いと思いますが、アメリカ、特に南カリフォルニアでは、フリーウェイの入り口や最高速車線に「カープール・レーン」(英語ではCarpool Lane、つまり相乗り車専用レーン)と呼ばれる優先レーンが設けられていることが多いのです。これは一台の車に運転手を含めて複数の人間が乗車している場合は、この特別レーンを走行することが許されるのです。無駄なガソリン消費を抑える上に、ラッシュアワーなどで交通渋滞が起こっている箇所などでは、のろのろ運転している車を横目にスイスイと比較的スムーズに進むことができるので、けっこう気分がいいのです。

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私のカミさんも、ダウンタウンの職場に通勤する際、同僚と一緒に「カープール」しています。そのレーンを走っていて最近目立つようになってきたのが、ハイブリッド車の存在とか。実はこのカープール・レーン、トヨタ・プリウスやホンダ・シビック・ハイブリッドといった特定のハイブリッド・エンジン車ならば、運転手一人のみの乗車時でも使用がゆるされます。さらにハイブリッド・エンジン車の税制優遇措置も提案されていて、まさにアメリカ政府が推奨する、中東オイル依存度低減計画案にマッチした最先端の技術といえるのです。

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ちなみにチャンプ・カーはガソリンではなくメタノール燃料を使用しているので、こちらも政府推奨、時代のニーズに合った最先端の技術を取り入れていることになりますよね。メタノールやエタノールといったアルコール燃料は、化石資源の石油と違い、穀物からでも合成して精製することが可能なうえ、ガソリンと比べて比較的低公害エンジンということなので、これから更なる脚光を浴びてくるでしょう。毎年「ツインリンクもてぎ」にやってくるインディ・カーのレースではもうおなじみとはいえ、一般的に日本ではまだなじみの低いのが現実。しかし来年以降に小樽の街でチャンプ・カー主催の公道レースが開催となれば、その知名度はさらに上がることでしょう。

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現在メタノールが燃料となっているインディ・カーだが、2007年からはエタノールに代わる。写真はエタノール燃料を推薦する団体、チーム・エタノールがメインスポンサーとなっているポール・ダナのマシン