CHAMP CAR

セバスチャン・ブルデイがメキシコ・シティでキャリア通算31勝目を挙げ、チャンプ・カーのキャリアを締めくくる

<Champ Car World Series>
4年連続シリーズ・チャンピオンのセバスチャン・ブルデイは、彼の特筆すべきチャンプ・カー・ワールド・シリーズ・キャリアの最後に、相応しいレースをした。このフランス人はエルマノス・ロドリゲス・サーキットのグラン・プレミオ・テカテ・プレゼンテッド・バイ・バナメックスにおいて、今シーズン8勝目となるチャンプ・カー・キャリア通算31勝目を挙げた。
日曜日の朝に行われたスタンディング・スタートのプラクティス・セッションで犯した違反により、今回75秒使うことが許されているパワー‐トゥ‐パスのうち、22秒を制限されるペナルティを受けたブルデイ。それにもかかわらず、2番手からスタートしたレース序盤は、トップを走るポールシッターのウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)を、落ち着いて追跡した。ブルデイがオーストラリア人スターのパワーを捉えたのは24周目。彼はパワー‐トゥ‐パスを活かしてターン1でリードを奪い取った。4度のチャンプ・カー・チャンピオンは、ニューマン/ハース/ラニガン・レーシングのクルーからいつも通りの素晴しいピット作業をうけ、トップのまま2回のピット・ストップを終えることができた。また、ターン4のデブリによるコーションが発生しても、ブルデイの優勝が台無しになることはなかった。ブルデイは誰からも追撃を受けることなく、パワーを1.906秒引き離して優勝のフィニッシュ・ラインを通過した。
シーズン8勝の成績はブルデイの自己ベストであり、チャンピオンに輝いた2004年と2006年は、いずれも7回優勝している。また彼はチャンプ・カーの1シーズンにおける最多勝記録で、4位に並んだ。ブルデイは過去5回出場したアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで3勝を果たし、5レース中4レースで2位以上の成績でフィニッシュしている。通算31勝を挙げたブルデイは、チャンプ・カー史上最多優勝記録で6位へ躍進し、アル・アンサーJr.とポール・トレイシー(#3インデック・コスワース/DP01/ブリヂストン)に並ぶことになった。
ブルデイは2007年の第13戦サーファーズ・パラダイスにおいて、前人未到となる4度目のバンダービルト・カップを手にし、彼のチャンプ・カー・キャリア最後のシーズンで、トータル364ポイントも獲得した。2位のジャスティン・ウイルソン(#9CDWコスワース/DP01/ブリヂストン)には、83ポイントもの大差をつけている。ブルデイは日曜日の夕方にメキシコ・シティを離れ、彼が2008年にF1を戦うスクーデリア・トロ・ロッソのバルセロナでのテスト・セッションへ向った。
パワーは躍進を遂げたチャンプ・カーのシーズンを、優勝した第7戦トロントに次ぐ結果の2位で締めくくった。このチーム・オーストラリアのドライバーは、今シーズン5回の表彰台を獲得し、シーズン開幕戦のラスベガスではチャンプ・カー・キャリア初優勝を手にしている。パワーはポイント・ランキング4位でシーズンを終え、2006年に成し遂げたキャリア・ベストの6位から2つもポジションを上げて見せた。
オリオール・セルビア(#22ペイ・バイ・タッチ-コスワース/DP01/ブリヂストン)は、スタンディング・スタートでマシンをストールさせ、隊列の後方へ。だが、開幕戦のシートがなかった今シーズン最後のレースで3位まで追い上げ、今年3回目のポディウムを獲得してメキシコ・シティを終えた。負傷したトレイシーの代役としてフォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングから出場した第2戦のロング・ビーチまで、セルビアはシリーズに参加していなかった。第13戦のサーファーズ・パラダイスでは、フォーサイスから以前所属していたPRVレーシングに移籍。彼はメキシコ・シティの活躍により、ポイント・ランキングの最終結果で9位から6位へジャンプ・アップした。
アメリカ人ルーキーのグラハム・レイホール(#2メディ|ゾーン・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、グラン・プレミオ・テカテ・プレゼンテッド・バイ・バナメックスで4位に入り、チャンプ・カー・ワールド・シリーズの最終ポイント・ランキングにおいて5位を獲得した。ブルデイ同様、レイホールもスタンディング・スタートのプラクティスで同じ違反を犯したため、パワー‐トゥ‐パスを22秒減らされてしまったが、ペナルティを乗り越えて今シーズン5回目のトップ5フィニッシュを決めた。3位に入った3レース前のゾルダー以来に次ぐトップ4となった。
レイホールのあとにはトレイシーが続き、ここまでがトップ5。トレイシーはアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで、パーマネント・ロード・コースにおける今シーズン・ベストのパフォーマンスを見せた。このカナダ人ドライバーはロング・ビーチのプラクティスで負った怪我のため、第2戦のロング・ビーチと第3戦のヒューストンを欠場。今シーズン12レースに出場し、7回のトップ10フィニッシュを記録している。2レースを欠場したにも関わらず、彼はチャンピオンシップ・ランキング11位になった。
シモン・パジノウ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は6位でフィニッシュし、彼のルーキー・シーズンをランキング8位で終えた。一方、7位でフィニッシュしたブルーノ・ジュンケイラ(#19サニーズBBQコスワース/DP01/ブリヂストン)は、チャンピオンシップ・ランキングでも7位となった。メキシコ・シティ出身のマリオ・ドミンゲス(#28テカテ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、パシフィック・コースト・モータースポーツのマシンで8位に入ったが、彼はターン17立ち上がりの外側に引かれた立ち入り禁止部分との境界線を何度もまたいだため、ペナルティを受けてポジションをひとつ下げられてしまっている。しかしながら、ドミンゲスはスタートからフィニッシュまでの間に最もポジションを上げたことで、ボーナス・ポイントを獲得した。PVKレーシングのニール・ヤニ(#21レッド・ブル・ガルフストリーム・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、9位でフィニッシュ。トップ5圏内を走りながらレース序盤でメカニカル・トラブルに見舞われたウイルソンがそのあとに続き、ここまでがトップ10となる。
主な注目点
・グラン・プレミオ・テカテ・プレゼンテッド・バイ・バナメックスで、11位に入ったアメリカ人のアレックス・フィギ(#29パシフィック・コースト・モータースポーツ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、開幕戦ラスベガスでの8位フィニッシュに次ぐリザルトを残した。今日のレースはフィギにとって、チャンプ・カー・ワールド・シリーズのルーキー・イヤー最後のレースだった。
・メキシコ人ルーキーのデイビッド・マルチネス(#7インデック・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、今シーズン2レース目となるキャリア通算3レース目を14位で終えた。このメキシコ、モンテレイ出身のドライバーは、チャンプ・カーのデビュー戦であった昨年のアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでは9位でフィニッシュし、3週間前のサーファーズ・パラダイスは10位に入った。マルチネスは今日のレースで2番目の最速ラップとなる1分26秒006を記録している。
・ロバート・ドーンボス(#14ミナルディ・チームUSAコスワース/DP01/ブリヂストン)は、メカニカル・トラブルに見舞われ、グラン・プレミオ・テカテ・プレゼンテッド・バイ・バナメックスをたった12周で終えることになった。しかしドーンボスは、レース中の最速ラップとなる1分24秒713を記録してボーナス・ポイントを獲得したため、パワーからポイント・ランキング3位の座を守り抜くことが出来た。
・グラン・プレミオ・テカテ・プレゼンテッド・バイ・バナメックスは、合計8ラップ、2回のフル・コース・コーションしか発生しなかった。最初のコーションはスタートで起き、セルビア、コンクエスト・レーシングのネルソン・フィリップ(#34ジュニパー・ソウル・コスワース/DP01/ブリヂストン)と、アレックス・タグリアーニ(#8PBSエクイティーズ・コスワース/DP01/ブリヂストン)のマシンが、シグナルが消えてスタートとなったときにストールした。またこのコーション中にダン・クラーク(#4ミナルディ・チームUSAコスワース/DP01/ブリヂストン)が、メカニカル・トラブルによってレースを終えている。2回目のフル・コース・コーションは64周レースの55周目に発生。ターン4のレーシング・ラインにフロント・ウイングのエンドプレートが見つかったことが原因だった。このフル・コース・コーション中にも、キャサリン・レッグ(#11デイル・コイン・レーシング・コスワース/DP01/ブリヂストン)が、メカニカル・トラブルによりリタイアしている。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ:「周りからのプレッシャーを何とか遮ろうとしたけど、何をやってもプレッシャーがかかってきたんだ。今日はみんながとても感情的になっていたし、僕もそうだった。マクドナルドのマシンに乗る前は、こみ上げるものがあって、何度かその場所にいることすらできなかった。これがほんとうに最後だと思うと、とても不思議な気持ちになったね。でもバイザーを閉めたらいつもどおりに戻れた。プッシュ・トゥ・パスのペナルティがあったから、レースが簡単でないことはわかっていたし、今週末はいつも以上に重要なレースだったので、かなり大変になると予想していたよ。それでもマシンの調子はばっちりで、クルーのみんなが素晴らしい仕事をしてくれた。良いスタート、完璧な作戦と最高のスピードがすべてそろえば、優勝できるんだ」
ウィル・パワー:「予選をかなり良いペースで走れたことを考えると、このレースで優勝してもおかしくなかったよね。マシンがストレートの立ち上がりで少しルーズだったんだ。今年はシーズンを通してマシンのペースが良かったけど、レースでは不運なメカニカル・トラブルや、何かしら問題が起きて良い結果が残せなかった。来年はもっと強くなりたいね。今年はチャンピオンシップを勝ち取る方法や、何をやってはいけないかという点で、多くのことを学べたと思う。最後のレースで久しぶりに表彰台に乗れたのは良かったよ。来年がほんとうに楽しみだね」
オリオール・セルビア:「スタートで1速に入らなかったんだ。ずっとニュートラルのままだった。ようやく1速に入ったと思ったらエンジンが止まってしまったよ。ちょっと悪いスタートになったけど、ジミーが無線で『よく聴いてくれ。このレースは長いから、がんばってポジションを取り戻すんだ』と言ってくれた。ジミーはずっと僕を励ましてくれていたし、他のドライバーの順位なども教えてくれたんだ。最後のピットでブラックかレッド、どちらのタイヤにするかも二人で話し合って、結局レッドにしたけど、これは正解だったね。チーム・ワークでお互いにサポートしあえることはほんとうに素晴らしいことさ。この前のレースでもポール・トレイシーとパジノウをラスト3周でパスできたのは、彼らのおかげだから最高だよ」