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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第11戦 ベルギー[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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4年ぶりのヨーロッパ・ラウンドとなる緒戦、初開催のベルギー・ゾルダー・サーキットは、シリーズ唯一のオーストラリア人であるウィル・パワーが、ヨーロッパ勢を抑えて初日のポール・ポジションを獲得した。予選序盤からセバスチャン・ブルデイと激しくポジションを争っていたパワーは、2回目のアタックでレッド・タイヤを装着。ただひとり1分13秒台に突入する1分13秒810を記録し、迫り来るブルデイを突き放してみせた。前戦のロード・アメリカはトラブルでリタイアし、ブルデイとのポイント差が一気に広がったため、タイトル争いに踏みとどまるには貴重なフロント・ロー獲得となった。「暫定ポールが獲れてほんとうによかったよ。今日の予選でフロント・ローを確定できたのはベストなことで、明日のセッションはレースに向けたファイン・チューニングに集中できるね」と喜ぶパワー。ポールが確定すると同時にチーム・クルーとがっちりと握手をかわした。だが、ライバルのブルデイは今日のセッションでレッド・タイヤを温存したため、明日の予選でパワーがこのポジションを死守できるのか注目される。

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0.213秒の僅差でウィル・パワーに敗れた3年連続チャンピオンのセバスチャン・ブルデイ。前戦ロード・アメリカを完全制覇した勢いそのままに、予選序盤はパワーに対し優勢を保っていた。だが、パワーがレッド・タイヤを使用すると立場が逆転。ブルデイはパワーを追いかけることになったものの、明日の予選に向けてレッド・タイヤを温存するため、2回目のアタックもブラック・タイヤでコース・インした。アタックに出たブルデイはパワーにコンマ2秒まで肉薄し、最終ラップにパワーを上回るペースで走行するが、追い上げもここまで。最後は攻めすぎてミスを犯し、初日のポールを逃してしまった。「今日、最速でなかったのは悔しいけど、僕たちはレッド・タイヤを使わなかったんだ。見たところブラックよりコンマ5秒は速く走れそうだから、明日は2セットのレッドを使えば良いはずだよ。以前ここでレースをしたことがあるドライバーがいる中で、初めてここへ来たマクドナルド・チームはよくやったと思うね」と余裕のブルデイ。逆転のポール・ポジション獲得となるか、明日の予選は見逃せない。

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ウィル・パワーのチームメイトであるシモン・パジノウが3位に入り、チーム・オーストラリアが1-3を確保した。昨年のアトランティック・チャンピオンはこのゾルダーを、ワールド・シリーズ・バイ・ルノー時代に経験しているだけあって、他のルーキー勢を凌駕。唯一ライバルとなりえるドーンボスもエンジン・ブローで予選を走行しなかったので、難なく3位を手に入れた。「ゾルダーに戻ってこれてうれしいよ。トラックが再舗装されてとてもグリップがあり、僕の好みのサーキットであるのは確かだね。今朝はバランスとトラクションを確かめる作業をし、予選に向けた良いセット・アップが見つかったんだ」と喜ぶパジノウ。トップのパワーとの差は0.220秒しかないため、最終予選でのポール・ポジション獲得も夢ではない。

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快晴となったゾルダー・サーキット。2003年以来となるヨーロッパ戦は、最初のプラクティスの1周目にいきなりダン・クラーク、ジャスティン・ウイルソン、地元ドライバーのヤン・ヘイレンがクラッシュルする波乱の幕開けとなる。予選はパワー、ブルデイ、パジノウが白熱したバトルを見せるが、ヘイレンのマシンは右側に大きなダメージを受けて予選の出場を見合わせ、地元観衆は意気消沈してしまった。

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多重クラッシュの原因を作ったダン・クラークには今週末のレース出場停止と言う重い処分が下った。クラークは第9戦のサンノゼでも、あろうことかコーション中にウイルソンのリアに突っ込む失態を演じているため、レース・コントロールのトニー・コットマンもさすがにこの処分を下さざるを得なかったそうだ。ちなみにクラークの空いたシートには、またまたマリオ・ドミンゲスが収まることが決定し、ドミンゲスはかつてのロベルト・モレノを思い起こさせるスーパーサブとなりつつある。