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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第9戦 サンノゼ[二日目]フォト&レポート

<US-RACING>

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エントリーする全17台がわずか1.044秒以内にひしめき合う、近年まれに見る大接戦となったサンノゼ・グランプリの最終予選。ジャスティン・ウイルソンが49秒039の最速タイムでこの混戦を制し、昨日セバスチャン・ブルデイに惜敗したリベンジを果たした。この日、最大のライバルと目されていたブルデイが、マシン・バランスに苦しんでいたため、オリオール・セルビアとの一騎打ちになったウイルソン。セッション残り3分でセルビアの逆転を許すものの、ラスト・ラップで0.067秒上回り、再びトップに返り咲く。同じタイミングでアタックしていたダン・クラークがハイペースで迫り、肝を冷やす場面もあったが、0.053秒の僅差で退け、ウイルソンは第4戦ポートランド以来となる、今シーズン2回目のポール・ポジションを確定させた。「この午後に走った両方のスティントでレッド・タイヤを装着したんだ。タイヤはすばらしい働きをしてくれたよ。今日、ポールを勝ち取れたことがとにかく嬉しい。明日はあらゆる方法を駆使して勝ちたいね」と喜ぶウイルソン。いつもは物静かな英国紳士のウイルソンだが、今日はサンノゼの気温に負けないくらいホットな走りを披露した。

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3年連続ポールを逃してしまったセバスチャン・ブルデイ。最終予選は6番手と振るわなかったが、初日にトップ・タイムを出したことの恩恵により、フロント・ローに踏みとどまった。この日、ブルデイにとって最大の誤算だったのは、今日のために温存していたレッド・タイヤで、マシン・バランスが思わしくなかったことだ。1回目のアタックでは49秒代後半を抜け出せず、15番手まで後退する。2回目のアタックに向けてチーム・クルーは、2セット目のレッド・タイヤを用意していたが、ブルデイはブラック・タイヤでのアタックを決意してコースイン。最終ラップでトップのウイルソンに0.141秒まで肉薄するも、大接戦となった今日の予選においては、コンマ1秒が大きな差となり、6番手に沈んだ。ブルデイにとって初日に早々とフロント・ローを獲得していたことが、せめてもの救いだった。「今朝よりは良くなっているんだけどね。リア・タイヤがかなり悪くて、根本的に一日中、苦戦していたよ。僕たちがその問題を理解したときには、遅すぎたんだ。それからニュー・タイヤでのマシン・バランスをチェックしたかったけど、セッションの15分くらいにフラット・スポットを作ってしまった。とにかく今日は何をやっても正しい方向に行かなかったね」と落胆するブルデイ。この悔しさを明日のレースにぶつけ、サンノゼ・グランプリ3連覇を狙う。

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今シーズン、予選トップ5にも入れないほど低迷が続いていたダン・クラークが3位に飛び込み、愛称である“スピーディ・ダン”通りの速さを取り戻した。昨年、大活躍した2年目の若手であるクラークだが、今年に入ってから同期のウィル・パワーや、チームメイトでルーキーのロバート・ドーンボスに対し、完全に見劣りしていた。ところが今日は、今までの低迷が嘘のような快走を見せ、49秒092をマーク。チームメイトのドーンボスを凌駕しただけでなく、ポールのウイルソンを0.053秒まで追い詰めた。「ここでは良い感触を得ているように思えるよ。チームではなくロケーションと言う意味でね。でも、マシンの調子が良いから嬉しいんだ。すべてが上手くいっている。明日もトップ3になることを目標にしているよ」と語るクラーク。昨年のロード・アメリカ以来のポール獲得とはならなかったが、今シーズン・ベストの3位から明日のレースをスタートする。これをきっかけに復活ののろしを上げたい。

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今日のセッションで3番手に入ったフォーサイスのオリオール・セルビア。予選終了まで激しくウイルソンと競り合い、間違いなく今日の主役の一人だった。最後の最後に若手ドライバーのクラークに前を行かれてしまったが、セルビア自身は納得の行く予選だったようだ。「とても嬉しいよ。確かにポールを獲れるだけのポテンシャルはあったけどね。それより僕は、レースをしっかり戦えるだけの競争力があることが嬉しいんだ。良いマシンだから、明日は優勝争いに絡めると思うよ」と自信を見せるセルビア。昨日のジュンケイラと同じく、ニュー・マシンになれてきたベテラン勢が、シリーズが進むにつれて急速に巻き返しつつあることを、改めて感じた。

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予選初日は最下位に沈んだルーキーの二―ル・ヤニが、ルーキー勢トップの5位グリッド獲得まで挽回する驚くべき進歩を遂げた。昨日はさすがに、初めて挑む狭くてトリッキーなコースにてこずっていたヤニだが、今日の予選は見違えるような速さを発揮。セッション開始7分には一時トップに立ち、周囲をあっと言わせて見せた。結局、明日は5番手からスタートすることになったが、ヤニの適応能力の高さをまたもや再認識させられた。「昨日から比べるとかなり進歩したよ。でもポールが獲れたと思うから少し残念だね。2回目のアタックでは48秒台はいけたはずなのに、マシン・バランスに問題が出てしまったんだ」と悔しがるヤニ。大物ルーキーは5番手からキャリア初優勝を狙う。

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今朝のプラクティスでトップ・タイムをマークした若干18歳のルーキー、グラハム・レイホール。予選では真っ先にコース・インして積極的にラップを重ね、その時点で暫定2番手となる49秒178をマークする。幸先のよい出だしを見せたが、2回目のアタックはチームメイトのブルデイ同様、ブラック・タイヤでコース・イン。レッド・タイヤで記録した1回目のタイムを上回ることが出来ず、6位グリッドに留まることになった。「今朝のプラクティスがトップだったことで、ちょっと楽観的になり過ぎたかな。マシンはかなり良かったけど、予選の終盤でアンダーステアが強くなってしまい、ポール争いから脱落さ。レースは少しでも前に出られるようにがんばるよ」と予選を振り返るレイホール。このアメリカ人ルーキーが6番手からどこまで追い上げるか、地元ファンの熱い視線が注がれる。

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今日も朝から快晴のサンノゼ。抜けるような青い空と強い日差しは、まさにカリフォルニアという陽気だ。昨日と同じく朝のうちは肌寒かったが、時間が経つほど温かくなり、予選開始時間の午後2時には29度まで上昇。蒸し暑さを感じるほどだった。このサンノゼのストリート・コースはちょうど街の中心に設置されており、コースを横切る路面電車はレース・ウィーク中、コース内部のみ通行止めとなってしまう。分断された両サイドは折り返し運転となるが、当然コース内にある駅もこの期間は閉鎖。代わりに空いたスペースを活用した売店がオープンする。街の中心街を走る重要な公共交通を止めてまでレースをやってしまうのは、なんともアメリカらしいと感じてしまうが、それ以上にこのレースがどれだけサンノゼの街に貢献しているかの証であるように思う。