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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第8戦 エドモントン[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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3戦連続で優勝を逃し、ポイント・ランキング3位で第7戦を迎えた3年連続チャンピオンのセバスチャン・ブルデイ。昨年の第6戦終了時には、26ポイントと言うほぼ1レース分の大差をつけてポイント・リーダーとなっていただけに、今年の苦戦ぶりが良くわかる。今年で3年目の開催となるエドモントンの予選初日は、昨年、ローラでマークされたポール・タイムにコンマ2秒まで迫る58秒709のタイムを叩き出し、暫定ポールを死守。時としてレースは運に左右されてしまうが、1ラップの速さでは誰にも負けないと言わんばかりの、鬼気迫るアタック・ラップだった。「チームにとって良いセッションになったよ。実を言うと、セッションのほとんどは良い感触がなかったんだ。でも、最後の2周は速くて安定感のある走りが出来て、バランスもかなり良かった。だからすごく嬉しいよ」と喜ぶブルデイ。マシンを降りて高々とナンバー1のポーズをとった。これでボーナス・ポイントも獲得し、ポイント・リーダーのロバート・ドーンボスとの差はたったの2ポイント。明日の予選もこのままポールを確定させ、ドーンボスとの差を少しでも縮めてレースを迎えたい。

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2位に入ったのは、昨年のアトランティック・チャンピオンであるシモン・パジノウ。今シーズン、ブルデイが苦戦している理由は、こうした若手ドライバーの活躍だ。アトランティックで経験があるコースだけあって、パジノウはドーンボス、ニール・ヤニ、トリスタン・ゴメンディといったヨーロッパ組を圧倒。同じフランス人の先輩であるブルデイにはコンマ2秒届かなかったが、58秒972の2位で初日を終えた。「すごく良い一日だったよ。今朝はあまり良い走りができなくて、幾つか問題も発生していたんだ。チームのみんながこのセッションのために一生懸命マシンを仕上げてくれたから、午後のプラクティスではほんとうに良い感じだったね。新しいタイヤに付け替えても、感触はすごく良かったんだ。でも、もう少し変更したら完璧だと思うよ」と語るパジノウ。明日の予選で3年連続チャンピオンを超えることが出来るのか、チーム・オーストラリアのルーキー、シモン・パジノウに注目だ。

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ブルデイのチームメイトである若干18歳のアメリカ人ルーキー、グラハム・レイホールは5戦ぶりに初日のトップ3入りを果たした。ここ数戦は予選での速さが見られなかったレイホールだが、パジノウ同様、アトランティックで経験のあるコースのため、さすがに冴えた走りを見せた。「今日はチームにとってかなり良い一日だったよ。2セット目のタイヤが使えなかったのは、ちょっと残念だったね。絶対、タイムを更新できたと思うけど、いつも思い通りに行かない。3位に入れたのは嬉しいよ」とほっとした様子のレイホール。開幕当初は18歳と言う若すぎる年齢に疑問の声もあったが、チームメイトのブルデイから多くを学び、短い期間で確実な成長を遂げた。アメリカ人スター不在のチャンプ・カーにとってレイホールは、いまや希望の星といえる。

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予選前プラクティスで2位のタイムをマークしたトリスタン・ゴメンディ。迎えた予選も、セッション開始後11分にコース・インし、意気揚々とアタックを開始した。ところがアタック・ラップの1周目、ターン6立ち上がりで痛恨のスピンを喫する。コントロールを失ったマシンは正面からウォールに激突した。ゴメンディはいったんマシンから降りたものの、首と背中の痛みが治まらず、救急車が出動する事態に。この救急車がコースを横切らなくてはいけなかったため、セッションは5分を残して終了となった。地元の病院に搬送されたゴメンディはレントゲンを取り、骨に異常がないことが確認され、すでに退院している。しかし、明日のドライブに関しては、再度、医師からメディカル・チェックを受けなくてはならないとのこと。ゴメンディ自身は首と背中を強く痛めたため、現時点でゴメンディの走る姿を見られるかは微妙のようだ。

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前戦、レース途中から豪雨に見舞われたトロントを制したウィル・パワー。その勢いのまま順調なスタートを切り、今朝のプラクティスはトップ・タイムを記録する。予選に入ってからも好調を維持し、セッション序盤にトップ・タイムをマーク。さらにタイム更新を狙ったパワーだが、ここから不運が襲った。1回目のアタック終盤、ターン7でバランスを崩したパワーは、ウォールに軽くタッチ。これが思いのほかダメージが大きく、トーリンクを痛めてしまう。ピットに戻ったパワーは急いでマシンの修復を行い、再度コース・インを試みたが、突然のレッド・フラッグ。ゴメンディを病院へ搬送するための赤旗によって、2回目のアタックの機会が失われてしまい、結局、5番手で初日を終える羽目になった。「マシンはほんとうに良い感じに仕上がっていて、ポールが獲れたと思うよ。残念ながら、ウォールに接触してしまったね。ほとんど触れていないはずなのに、リアのトーリンクが曲がったんだ。明日はポールが獲得できるかもしれないし、それが僕たちの目標だね」と気持ちを切り替えるパワー。今日の不運を払拭し、あらためて明日のポール・ポジションを狙いにいく。