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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第7戦 トロント[二日日]フォト&レポート

<US-RACING>

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毎年、快晴になることが多いトロントのエギジビション・プレイスだが、二日目の今日は曇り空の元で予選が行われた。ポール・ポジションを獲得したのは、3年連続ディフェンディング・チャンピオンのセバスチャン・ブルデイ。今シーズン3回目のポールは、キャリア通算28回目となる。ブルデイがポール・ポジションのフラッグを掲げる光景を幾度となく見てきたが、今日の予選も2位との差が0.011秒しかなく、独走でタイトル争いをリードしていた昨シーズンのような余裕はブルデイから感じられない。昨日レッド・タイヤを温存していたこともさほど有利に働かず、ライバルたちから厳しい追い上げを受ける。最後のアタックで、昨年のローラ・シャシーがマークしたポール・タイムに、コンマ1秒まで迫る58秒288を記録したブルデイ。何とかポール・ポジションの座を死守することに成功したものの、今シーズンから新しくなったシャシーが、圧倒的な強さを見せてきたチャンピオンの走りにも影響を与えているのは間違いなさそうだ。「このポールを獲ることが当然だとは思わないよ。チームが素晴らしい仕事をしてくれたことが、ほんとうに、ほんとうに嬉しいんだ。マシンの感触がすごく良かったね。このままの緊張感を保ちながら頑張らないといけないと思う。僕が無意識でトップ・タイムを出すわけじゃないからね。チームにはとても感謝しているし、明日は全力を尽くして良い結果を出すつもりだよ」と喜びを爆発させるブルデイ。昨年はA.J.オールメンディンガーとポール・トレイシーのフォーサイスに、ワンツー・フィニッシュを決められて完敗してしまったが、今年はどうなるだろうか。明日のレースも白熱したバトルになることは必至だ。

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惜しくもブルデイに敗れた昨年のポール・ウイナーであるジャスティン・ウイルソン。今日の予選はブルデイと激しくトップを入れ替え、セッション終盤のわずかな時間に3回もポジションが入れ替わる目まぐるしい展開となった。ブルデイが最終アタックを終えた後に、まだチャンスが残されていたウイルソンは、渾身のラスト・アタックにでる。だが、ターン6でミスを犯し、アウトにはらんだマシンはウォールをかすめた。幸いマシンにダメージはなかったが、肝心なところでブルデイを捉える最高のチャンスを逃してしまった。「確かに一瞬、ポール・ポジションだと思ったけど、そのときチームが無線でセバスチャンのタイムを教えてくれたんだ。自分のタイムが何秒か分かっていたから、すぐに攻め始めた。ただターン6を攻めすぎてしまったね。アクセルを踏んだときにマシンが外側に滑ってウォールに当たったんだ。2位は嬉しいけど、ポールを獲れなかったのはがっかりだね。明日はCDWとすべてのスポンサーのために良い結果を出したいと思う。レースを楽しみにしているよ」と意気込みを語るウイルソン。数々の名勝負を繰り広げてきたブルデイと、今シーズン初めてのフロント・ロー対決に挑む。

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第1予選で2番手だったオリオール・セルビアは3位のスタート・ポジションを確保した。昨日、セッション終了までブルデイを追い詰めたセルビアは、すでにレッド・タイヤを1セット使ってしまっていたため、最初のアタックではトップ10に入ることができない。しかし、2回目のアタックで残されたもう1セットのレッド・タイヤを投入したセルビアは、軒並みタイム・アップ。最後は58秒661のタイムをマークし、3位まで挽回して予選を終えた。「マシンのパフォーマンスにはすごく満足しているよ。今週末は安定してトップ3〜4にいる。昨日は他のマシンに比べて僕のマシンが良かったと思うけど、今日はみんなに差を詰められてしまった。昨日みたいな良いマシンになるよう、今夜はエンジニアと作業しなくてはいけないね」と話すセルビア。2位表彰台を獲得した第2戦のロング・ビーチから苦戦続きだったベテランに、完全復活の兆しが見えているようだ。

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トロントのストリート・コースに苦戦するルーキー勢のなかで、ひとり気を吐いたシモン・パジノウ。第1予選からベテラン勢を相手に善戦していたパジノウは、最終予選でもそのスピードを保ってポール争いに加わっていく。終盤ヒート・アップしたブルデイとウイルソンの争いにはついていけなかったが、58秒664のタイムで4位。3位セルビアとの差はわずかに0.003秒だった。「クルーがこのセッションのために、ほんとうに良いマシンを仕上げてくれたんだ。とても乗りやすかったよ。少し攻めすぎて幾つかミスした。ブレーキングも強すぎたね。そのあと少し気持ちを落ち着かせたら、最後に良いラップ・タイムを出すことができたよ。ルーキーの僕としては、4位はかなり良いポジションだと思うし、簡単に獲得できるものじゃないよね」と喜ぶパジノウ。前戦モン-トランブランで優勝したルーキーのロバート・ドーンボスに続けるか、4番手スタートの大物ルーキーに注目が集まる。

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今シーズン初めてトップ5入りを果たした、デイル・コイン・レーシングのブルーノ・ジュンケイラ。今年は名門ニューマン/ハースからデイル・コイン・レーシングに移籍し、これまで新シャシーとチームの戦闘力不足に悩まされてきた。予選、決勝を通じて下位に甘んじることがほとんどだったが、ここトロントでは終始安定したパフォーマンスを発揮している。今日は惜しくもクラッシュしたチームメイトの女性ドライバー、キャサリン・レッグも見違えるような速さを見せているため、チームのポテンシャル自体があがっているようだ。「昨日より速いマシンになっていて、5位に入ることができたよ。チームはほんとうにすばらしい仕事をしているね。予選直前のウォームアップのときに、エンジンのコイルが壊れていることが分かって、交換しなくてはいけなかったが、交換してから今日のベスト・タイムが出たんだ。そのとき2位だったのが渋滞につかまって、5位まで下がってしまった。もちろんセバスチャンやジャスティンには絶対追いつかなかっただろうけど、3位にはなれたと思うんだ」と予選を振り返るジュンケイラ。この上昇気流に乗って、明日のレースでも良い結果を残したい。