CHAMP CAR

ドーンボスがチャンプ・カーの初優勝を、雨が降る波乱のレースとなったモン-トランブランで獲得

<Champ Car World Series>
サーキット・モン-トランブランで、カナダの独立を祝うカナダ・デー・パレードが行われることはなかったが、ロバート・ドーンボス(#14ミナルディ・チームUSAコスワース/DP01/ブリヂストン)は、変わりやすい天候や最も優秀なオープン・ホイールのドライバーたちと戦い、チャンプ・カーのキャリア初勝利を手に入れた。この25歳のオランダ人は、一日を通してホイール・トゥ・ホイールのバトルを演じ、ローレシャン高原の中心にある2.62マイルのマウンテン・サーキットで優勝を飾った。
フロント・ローに並ぶ二人にとって、レースのスタートは決してすばらしいものではなかった。トリスタン・ゴメンディ(#22ペイ・バイ・タッチ・メガスピエラ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、電気系のトラブルでダミー・グリッドから離れることができず、チーム・オーストラリアのウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、シグナルが消えた瞬間にエンジン・ストールを喫する。その後、二人ともレースに復帰することになるが、ゴメンディはピットでの修復を必要としたために2周遅れ。パワーは周回遅れとなる前にリスタートを切ることができた。
このもの静かなオーストラリア人は、徐々にポジションを上げ、14周目にポール・トレイシー(#3インデック・コスワース/DP01/ブリヂストン)を、豪快にパスして10番手に躍進する。ドライバー全員のピット・ストップが一巡すると、ヤン・ヘイレン(#34チャンプ・カー・グランプリ・オブ・ベルギー・コスワース/DP01/ブリヂストン)が、フル・コース・イエローを出してしまい、10秒の差を築いていたセバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・コスワース/DP01/ブリヂストン)の真後ろに、全ドライバーが隊列を作った。
コーション中に小雨が降り始め、レースのリスタートが切られると、3年連続チャンピオンのブルデイは彼らしくないミスを犯し、地元では悪名高いことで知られる“ネームロー”というターン14で、コース・アウトして最後尾近くまで後退した。断続して降る雨が、時々激しさを増すコンディションのなか、ドライバーはグリップを得るに苦労していた。パワーがターン5で単独スピンする一方、イギリス人のジャスティン・ウイルソン(#9CDWコスワース/DP01/ブリヂストン)はコーションを有効に利用し、43周目に3台のマシンを一気に抜き去って5番手から2番手にジャンプ・アップ。さらに雨が激しさを増すと、全ドライバーが溝付きのブリヂストン・ポテンザ・レイン・タイヤを装着し、雨の中でできるだけグリップを得ようとした。
ウイルソンは、ピット・レーンでリードを奪い、後続との差を広げ始めたが、ターン8でミスを犯し、ルーキーのシモン・パジノウ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)にリードを渡してしまった。この若いフランス人は、グリップとスピードのバランスを取ろうと必死だったが、不運にも同郷のブルデイと同じ“ネームロー”でコース・オフ。パジノウはチームメイトのパワーの後ろ、4番手でコースに戻ることができた。ドーンボスは53周目にリードを受け継ぎ、後続を引き離しに掛かるが、最後のイエロー・コーションが発生してブルデイが真後ろに迫る。このコーションはドーンボスとブルデイの5周にわたるバトルを演出し、経験深いルーキーがチャンピオンからリードを守りぬいた。ウィル・パワーは3位に入り、今シーズン3回目の表彰台を獲得した。
パワーとシモン・パジノウは、スタートの苦難を乗り越えて3位と4位に入っただけでなく、チーム・オーストラリアは、カナディアン・トリプル・クラウンというミニ・チャンピオンシップのトップに立った。ダイナミック・デュオと呼ばれるこの二人の平均順位は3.5位で、2位のニューマン/ハース/ラニガン・レーシングの二人、セバスチャン・ブルデイとグラハム・レイホール(#2メディ|ゾーン・コスワース/DP01/ブリヂストン)に1ポジション差をつけている。トリプル・クラウンの3位につけているのはRスポーツの二人で、ジャスティン・ウイルソンとアレックス・タグリアーニ(#8タイド@ウォル-マート・ヴィクトリー・ラップ・チャリティ・プログラム・コスワース/DP01/ブリヂストン)の平均順位は、6位となった。
優勝を手にしたドーンボスは、チャンピオンシップでトップのブルデイと同ポイントの145点となり、ウィル・パワーが14ポイント差の3位。Rスポーツのジャスティン・ウイルソンとアレックス・タグリアーニは、それぞれ4位と5位につけている。
休息がないまま、チームとドライバーは3連戦の最後となるスチールバック・グランプリ・オブ・トロントへ向かう。チャンプ・カー・ワールド・シリーズの第7戦はエギジビション・プレイスに造られる仮設サーキットがその舞台だ。プラクティスと予選は7月6日から始まり、7月8日日曜日のアメリカ東部時間午後1時にレースのスタートが切られ、アメリカのESPN、カナダではRDSとグローバルによる生中継が配信される。また、レース・ファンはチャンプ・カー・ワールド・シリーズの公式ウエブ・サイトwww.champcar.ws にあるレース・ディレクターを通じて視聴が可能だ。
ロバート・ドーンボス: 「素晴らしいよ。ほんとうに最高の気分さ。シャシーが新しくなって、F1で関わっていたレッドブルと組んでチャンプカーに行くと決めた時から、ちょっとしたアドバンテージがあったかもしれないね。僕にとって新しいシリーズだし、新しいサーキットばかりだったから緊張していたよ。コースも分からなければ、ドライバーもしらない。ただ分かっていたのは競争力が高いってことだけ。チームは新体制に引き継がれたばかりの新しいもので、僕には有利な点がなかったけど、その分テスト・セッションで一生懸命がんばったんだ。そして僕のエンジニアであるマイケル・キャノンも大きな助けとなってくれた。彼は優勝も経験しているし、トップで走っている経験が深い。僕の仕事がかなり楽になって、ほんとうに快適だよ。このチームもいい感じになってきた。彼らのモチベーションも上げることもできている。メカニックみんなのお陰でこの結果を手に入った。これからもこの結果を出し続けることができると思うよ」
セバスチャン・ブルデイ: 「このコンディションは不幸中の幸いといえるね。ピットのタイミングが他のドライバーとずれて、順位を上げることになった。もちろん少し残念だよ。ドライ・コンディションでのマシンは、ほんとうに良かったんだ。あのまま晴れていたら、今日は僕たちにとってとても良い一日になっていたはずさ。チームのみんながすばらしい仕事をしていて、マシンの感触もかなり良かった。燃費も稼げていたし、ペースも速かったよ。イエロー中にコースが濡れ始めた時は、タフなレースになると思った。トップにいる僕が最初に滑りやすい場所を通るわけだから、そこでミスを犯した。リスタートに向かってターン14に差し掛かったとき、あまり速く走ってなかったのにもかかわらず、マシンが真っ直ぐグラベルに乗ってしまったんだ。がっかりしたけど、まだレースはかなり残っていたから諦めなかったよ。それからコンディションはさらにトリッキーになっていった。急にウェット・タイヤに替える事になって上位に出ると、マシンの感触は少し良かった。左側のスペースを開けていたから、ロバートがきれいに僕を抜いていった。僕も彼よりはペースが速いときがあって、同じようにスペースを開けてくれると思ったけど、全然開けてくれなかった。それだけは彼のよくないところだったよ」
ウィル・パワー: 「グリッドを行き過ぎてしまって、リバース・ギアに入れなければいけなかったよ。それから1速に入れたときには、すでにレッド・シグナルが点っていた。次の瞬間にシグナルが消えると思ってアクセルを全開に踏んだけど、エンジン・ストールさ。たぶんターボが回らなかったからだと思う。だからストールしてしまった。ミラーを見ると、他のドライバーがほんとうにわずかな間隔で僕を避けていった。誰かが当たっていたら大きなアクシデントになると思ったね。そこからスタートを切って、燃料をセーブする作戦に出た。2位まで上がったときもあったよ。この天候でコースはかなり難しくなった。完全に乾いていて日が射しても、次のコーナーではいきなり雨が降っているんだ。僕はスピンしてしまい、また最後尾まで落ちると思ったけど、コースに留まることができた。それから5−6台の先頭争いに加わった。みんなドライのセット・アップだったから、ドライバーの腕がすごく重要だったね。結局3位でレースを終えることになったけど、決して諦めないことがチャンプカーでは良いことなんだ。最後尾になっても、頑張れば表彰台でフィニッシュできる。ほんとうにすばらしいレースだよ」