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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第3戦 ヒューストン[決勝目]フォト&レポート

<US-RACING>

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2年連続でヒューストンを制し、前戦に続いて今シーズン2勝目を飾ったセバスチャン・ブルデイ。納得のいかないポール・ポジション剥奪から一夜明け、チャンピオンらしい見事なレース運びで優勝を勝ち取った。レース終盤はゴメンディと先週のロング・ビーチを思わせる熱いバトルを繰り広げるが、ガス欠でゴメンディが後退した後は、2番手のチームメイトであるレイホールを引き離し、5秒近い差をつけて余裕のトップ・チェッカーを受けた「今週は変な週末だったけど、トップに戻ってこれたことはほんとうに気持ちがいいね。グラハムも2位に入って、ニューマン/ハース/ラニガン・レーシングにとっては久しぶりの1-2フィニッシュだよ。レース終盤あたりからマシンのハンドリングが変わってきてしまった。次のレースに向けてクリアするべき課題は多いけど、レースを無事に終えることが出来てよかったよ」とブルデイは安心した様子。これでタイトル争いのポイント・リーダーに浮上し、前人未到の4年連続チャンピオンに向けて大きく前進した。

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アメリカ人期待のルーキー、グラハム・レイホールが2位に入り、チャンプ・カー史上最年少記録を更新する18歳3ヶ月18日で初めてのポディウム・フィニッシュを決めた。予選6番手からスタートしたレイホールは燃費を稼いで走行し、経験に勝るニューマン/ハース/ラニガンの素早いピット作業にも助けられ、ピット・アウトするたびに順位を上げていく。最後のピット・ストップも誰よりも早い31秒444でコースへ戻り、3番手にジャンプ・アップ。ゴメンディの後退によって2位まで浮上し、デビュー3戦目で初めての表彰台を獲得した。「チーム全員にとって良い週末だったね。セバスチャンが初日から一番調子が良かったから、彼からたくさんのことを学ぶことが出来た。そのおかげでレースは良い結果がでたよ。チームもすばらしいピット作業をしてくれたんだ。彼らにはほんとうに感謝しているよ」と感激するレイホール。インディ500を制し、チャンプ・カーのタイトルを3度獲得している、偉大な父親のボビー・レイホールの血を受け継ぐグラハムが、今シーズンどこまで活躍してくれるのか、アメリカ人の熱い視線が注がれる。

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開幕戦以来の表彰台を獲得したロバート・ドーンボス。13番手のスタートからわずか3周で4台をかわす離れ業を見せると、燃費作戦を敷いて徐々にポジションを上げていき、3位でフィニッシュ。最もポジションをあげたことで1ポイントのボーナス・ポイントも獲得した。「自分でも驚くほどすばらしいレースが出来たよ。ローリング・スタートが上手くいってジャンプ・アップできた。最初の2戦は燃費作戦になれていなかったけど、今回は比較的多く燃料がセーブできたね。経験豊富なエンジニアのマイケル・キャノンと、戦略担当のロブのおかげで上手くいったんだ。今日の結果は嬉しいよ」と喜ぶドーンボス。ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・リーダーの座をしっかりと守り、チャンピオンシップ・ランキングでトップのブルデイに13ポイント差の3位に浮上した。デビュー戦のラスベガスで2位、ヒューストンでは3位に入った。いつ優勝できるのか、ミナルディ・チームUSAとドーンボスから眼が離せない。

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レース終盤を盛り上げたトリスタン・ゴメンディ。キャサリン・レッグとニール・ヤニの接触によるイエロー・コーションで上位陣がピット・ストップを行う中、ゴメンディのPKV陣営はコース上に留まる戦略をとり、トップに躍り出た。前戦ロング・ビーチと同様、2番手を走る同じフランスF3チャンピオンの先輩である、ブルデイから猛アタックを受けるが、全く動じることなくトップを快走。もう一度コーションが出れば、このまま初優勝もありえる白熱したレース展開となったが、最後までコーションは出ることはなかった。そしてレースが残り7分を切った85周目、無常にもゴメンディの燃料は尽きてしまい、マシンはゆるゆるとコース上に止まってしまった。「ラスト・ラップまでマシンを運ぶことが出来なかったよ。あと少し燃料が足りなかったんだ。マシンはかなり良かったし、ブルデイともすごいバトルが出来たよ。PKVレーシングには感謝している。彼らは信じられないくらいすばらしい仕事をしてくれている。ただレースを最後まで走れなかったのが悔しいよ」と残念がるゴメンディ。今週末もピット戦略が結果に結びつかなかったゴメンディだが、プレッシャーに強く、コンスタントなスピードに加えてバトルのセンスも持ち合わせている。ルーキーの中で最も早く優勝を手にするのは、このゴメンディかもしれない。

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アレックス・フィギーの代役として、実に4年ぶり、119戦目のチャンプ・カーのスタートを切ったロベルト・モレノは、3周遅れの12位でレースを終える。マット・ハリデイとの接触とスピンで2回のコーションの原因を作るなど、“スーパー・サブ”の久々の実戦復帰はほろ苦いものになってしまった。「エンジニアがすばらしいマシンを用意してくれたけど、シフトのトラブルで自信がなくなって、リズムを崩してしまったよ。断続的にシフトのトラブルが出ていたから、かなりストレスが溜まったね。でもほんとうに楽しい気持ちで走れたんだ。急にレースにでることは、とても大きな挑戦だったけど、結果は悪くなかったと思うよ。アレックスが早く復帰できるよう祈っている。この機会を与えてくれたチームに心から感謝したい。今回も色々進歩できたから、パシフィック・コースト・モータースポーツ・チームはこれから成功するに違いないよ」とこの結果にもご満悦の様子。48歳となったモレノは、レースでは長いブランクがあったため、往年の走りを見ることが出来なかったが、古くからのチャンプ・カー・ファンを十分に楽しませてくれた。

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チャンプ・カーのストリート・コース・イベントでは会場内に様々なイベント会場が仮設され、コンサート会場やゴーカート場、時にはフリー・スタイルのモトクロスの競技会場も設置される。今回のヒューストンに仮設されたのはビーチ・バレーの会場。このコートではアメリカ国内選手権であるEVPツアーの一戦が行われ、熱戦を繰り広げていた。

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チャンプ・カー・ワールド・シリーズが行われるなかの6都市で開催されるミス・コンテストのフェイス・オブ・チャンプ・カーが、先週のロング・ビーチに続いてヒューストンでも開催された。今回、17人のファイナリストからミス・グランプリ・オブ・ヒューストンの栄冠を手にしたのは、金髪が美しいアンジェラ・サルツマンさん。1万ドル(120万円)相当の賞品と、総合優勝者である“2008 フェイス・オブ・チャンプ・カー”を決める最終戦メキシコ・シティへの切符を手にした。次回のフェイス・オブ・チャンプ・カーは第5戦のクリーブランドで開催される。