CHAMP CAR

ウィル・パワーがベガス・グランプリを制し、チャンプ・カーで優勝した史上初めてのオーストラリア人ドライバーとなる

<Champ Car World Series>
チャンプ・カー・ワールド・シリーズは今週、ラスベガスでシーズン最初のレース・ウイークを迎えている。ウィル・パワー(# 5オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)はシーズン序盤3レースの計画を明かし、第4戦ポートランドまでにチャンピオンシップで15ポイントの差をつける計画を立てていた。
チャンプ・カーの2007年シーズン幕開けとなる今日のベガス・グランプリを終えた今、パワーはすでに目標の半分を達成し、チャンプ・カーの初優勝によってライバルからスタート・ダッシュを決めた。パワーは日曜日の開幕戦を支配し、レース中の最速ラップを記録しながら2位に16秒787の大差をつけて初優勝を挙げるだけでなく、オーストラリア出身のドライバーによる初めてのチャンプ・カーの優勝を飾った。
パワーは68周レースの38周をリードし、序盤のレース・リーダーだったポール・トレイシー(#3インデック・コスワース/DP01/ブリヂストン)の給油トラブルを有利に使って初優勝を果たす。彼は手ごわいルーキーのロバート・ドーンボス(#14ミューマンズ/ジャンボ・スーパーマーケテン/メディアモール・コスワース/DP01/ブリヂストン) の前でフィニッシュし、トレイシーが3位表彰台を獲得した。
トレイシーはグリーン・フラッグが振られたターン1でリードを奪い、アウトサイドにいたポールシッターのパワーはかわされてしまう。トレイシーは2回のコーション通じてトップにとどまるが、11周目にパワーはトレイシーに挑み、トップのポジションを取り返した。その時3番手は、アレックス・タグリアーニ(#8 LXN2・コスワース/DP01/ブリヂストン)がキープしていた。
レース序盤は14周の間に4回ものコーションが発生するが、ダン・クラーク(#4チケットマスター・コスワース/DP01/ブリヂストン)が14周目にタイヤ・バリアへ突っ込んだのを最後に、この日はコーションが出ず、残りのレースは純粋なストリート・ファイトになっていった。
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セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、最初にリタイアしたスター・ドライバーで、予選16番手からの猛追も24周目にウォールと接触したことで水の泡に。ブルデイはわずか23周で3番手まで追い上げたが、タイヤがパンクしたためピット・イン。その6周後にリタイアへ追い込まれることになった。
パワーとトレイシーは最初のピット・ストップを27周目に行い、タグリアーニがリードを引き継ぐ。しかしこのピット・ストップでは何か起きることよりも、なにも起きないことが重大な事態となった。トレイシーのフォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングのクルーは燃料補給に手間取り、マシンに入れることが出来たのはたった3-4周分のメタノール。そのため、トレイシーは33周で再びピット・インを強いられ、優勝のチャンスはコーション・フラッグが振られるかどうかに掛かっていたが、そのコーションは一度たりともでなかった。
ドーンボスはトレイシーのトラブルに乗じて2番手に浮上し、43周目に最後のピット・ストップを行う。パワーもその2周後、最後のピット・ストップのためにピット・レーンへ向かった。リーダーはタグリアーニからブルノ・ジュンケイラ(#19サニーズBBQ・コスワース/DP01/ブリヂストン)へ移り、49周目にはトレイシーが再びトップに立った。だがトレイシーは後もう一回ピット・ストップを行う必要があり、レース時間残り14分で燃料補給をせざるを得ず、再度アドバンテージを取り戻したパワーがそのままフィニッシュした。
ドーンボスはトレイシーとの間に安全なマージンを築き、彼が2位でフィニッシュしたことで、新生ミナルティ・チーム・USAはチャンプ・カーのデビュー戦で表彰台を獲得した。トレイシーはタグリアーニをはるか後方に追いやり、表彰台の最後の一角を手に入れる。タグリアーニは4位には入り、元マカオGP優勝者であるトリスタン・ゴメンディー(#22ペイ・バイ・タッチ・コスワース/DP01/ブリヂストン)が、デビュー戦をトップ5で終えた。
キャサリン・レッグ(#11デイル・コイン・レーシング・コスワース/DP01/ブリヂストン)は6位に入って、キャリア・ベスト・フィニッシュに並び、チャンプ・カーのロードとストリート・コースにおける、女性ドライバーの最上位記録を更新した。彼女のDCRのチームメイトであるジュンケイラは7位。パシフィック・コースト・モータースポーツのルーキー、アレックス・フィギー(#29インペリアル・バンク・コスワース/DP01/ブリヂストン)は8位でフィニッシュしただけでなく、このアメリカ出身のドライバーは今日のレースで最も順位を上げたことで、チャンピオンシップ・ポイントを獲得した。
マリオ・ドミンゲズ(#7テルメックス/カビ・デベロパーズ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、レースを走りきることができた最後のマシンとなり、9位でフィニッシュ。ルーキーのニール・ヤニ(#21レッド・ブル/ガルフストリーム・コスワース/DP01/ブリヂストン)がその後に続き、ここまでがトップ10となる。
連続記録となる4回連続タイトル獲得を狙うブルデイは13位。昨年、チャンピオンシップ・ランキング2位だったジャスティン・ウィルソン(#9 CDWコスワース/DP01/ブリヂストン)は、ドライブ・シャフトのトラブルで14位に終わる。ルーキーのグラハム・レイホール(#2メディ・ゾーン・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、2周目でウォールに接触して17位となった。
シリーズは南カリフォルニアへ移動し、3週間連続開催の2戦目となるトヨタ・グランプリ・オブ・ロング・ビーチが来週開催される。
トップ3インタビュー
ウィル・パワー:「今日のレースはずっと一人だったよ。周回遅れのキャサリン・レッグに追いついて、彼女にしばらく邪魔されたけど、その後はとても余裕があるレースだったね。僕たちは良いマシンを持っていて、一日を通してハンドリングも良かった。唯一の問題はレースの終盤にブレーキ・ペダルの遊びが大きくなったことぐらいだね。僕たちは2位に18秒の差をつけて優勝した。デリック・ウォーカーにとっては1999年以来、2回目の優勝だよ。そして今日は彼のバースデーなんだ!ポール・トゥ・ウィンは彼への最高のプレゼントじゃないか」
ロバート・ドーンボス: 「ほんとうに楽しかったよ。この週末は最高のスタートだった。昨日の予選ではトップ3に入ることができたし、こんな良いスタートを僕たちは想像していなかったよ。実は、今朝は少しだけ心配だった。ヨーロッパのレースと違ってローリング・スタートだからね。僕はみんなにとても感謝している。特に、ここにいる僕のスポンサーは、みんなオランダから来てくれたんだ。ながい冬を過ごしてきた。チャンプ・カーでレースすることはほんとうに良い選択だったね」
ポール・トレイシー: 「ほんとうにうまくいったよ。レースの序盤をリードできた。うまくスタートきめて、スタートでウィル(パワー)を抜くことができたんだ。レースの前半はほとんどイエローで走って、1回目のピット・ストップが来たんだけど、燃料があまり入らなかった。15秒もかけたのに4周分の燃料しか入らなかったんだよ。コースに復帰してトップを追いかけたけど、すぐにまたピット・インして燃料を補給しなければならなかったんだ。そこでウィルとはもう勝負がなくなった。もっとプレッシャーをかけられたと思うけどね。フォーサイス・チームとモンスター・エネルギーにとって良い1日になったよ」
主な注目のポイント
ウィル・パワーはチャンプ・カーのレースで優勝した初めてのオーストラリア人ドライバーとなった。それまで記録されていた最高位は、ジョフ・ブラバムの2位が3回。最後に2位をマークしたのは1987年のロード・アメリカだった。
ロバート・ドーンボスは、1993年にナイジェル・マンセルがデビュー戦で優勝して以来となる、チャンプ・カーのデビューでポディウム・フィニッシュを記録したドライバーとなった。
ロバート・ドーンボスとトリスタン・ゴメンディの二人は、チャンプ・カーのデビュー戦をトップ5でフィニッシュした。ルーキーの二人がトップ5に入ったのは、1984年ロング・ビーチの、ジム・クロフォード(4位)とエマーソン・フィッティパルディ(5位)以来となる。