CHAMP CAR

A.J オールメンディンガーがチャンプ・カーのタイトル争いに留まるチャンプ・カー・グランプリ・オブ・ロード・アメリカの優勝を飾る


ブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードのチャンピオンシップ・タイトル争いから脱落する可能性が大きかったにもかかわらず、このアメリカ人チャンプ・カー・スターのA.J.オールメンディンガー(#7 インデック フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)は、好天に恵まれた日曜日のウィスコンシン州エルクハート・レイクが、チャンピオン決定を祝う場所としてふさわしくないと判断した。
今日のチャンプ・カー・グランプリ・オブ・ロード・アメリカで、なんとしてもチャンプ・カー・ワールド・シリーズのディフェンディング・チャンピオン、セバスチャン・ブルデイ(#1 マクドナルド フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)の前でフィニッシュする必要があったオールメンディンガーは、タイミングの良いフルコース・コーションと、フォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングの迅速なピット・ワークの恩恵を受け、単にブルデイの前でフィニッシュしただけではなく、すべてのマシンをリードして今シーズン5勝目を挙げた。
オールメンディンガーは途中ブルデイに10秒以上も引き離されながらも、速い燃料補給で一気にその差を詰めることに成功してその背後に迫る。残り6周となったところでオールメンディンガーは、このチャンピオンが最後のピット・ストップでタイヤ交換直後、まだ冷えているタイヤで走行しているところをとらえてターン4でパスした。
キャサリン・レッグ(#20 ベル・マイクロ フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)がターン10で激しいクラッシュをしたことで赤旗中断となり、コースをクリーン・アップするためにレースは40分間中断。その後オールメンディンガーはブルーノ・ジュンケイラ(#2 ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)とブルデイを最後まで抑えて今シーズン5勝目を挙げた。これによりブルデイとのポイント差を5点縮め、タイトル争いはサーファーズ・パラダイス以降へと持ち越されることとなった。
今日の51周レースはオープニング・ラップからアクシデントが発生し、序盤から荒れた展開となった。今年幾度となく見られたように、今回はウィル・パワー(#5 オージー・ヴィンヤーズ フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)と接触したジュンケイラが、不運にもスピンを喫した。ジュンケイラのマシンはほぼ無傷でレースを続行したが、彼のポジションははるか後方へと下がってしまった。
4周目にグリーン・フラッグが振られてレース再開となると、すかさずブルデイがトップに躍進。ブルデイはポール・シッターのダン・クラーク(#14 CTEレーシング-HVM フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)をパスすると、次の再スタートでクラークをかわしてトップに立ったチャールズ・スウォルスマン(#34 マイ-ジャック・コンクエスト・レーシング フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)をパスする。トップに立ったブルデイは最初のピット・ストップが終了したとき、2位との差を15秒以上に広げていた。
しかしそのアドバンテージもパワーがターン1でコースアウトを喫した18周目に消滅してしまう。ブルデイの背後にはオールメンディンガーがピタリとつけた。さらにクラークに加えて、タイトル争いに加わっているジャスティン・ウイルソン(#9 CDW フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)がそれぞれ4位と5位につけていた。その後ウイルソンとポール・トレイシー($3 インデック フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)は21周目にクラークをパスしてポジション・アップし、ヴァンダービルト・カップ争奪戦に残っている3名のドライバー達による壮絶なバトルの舞台が用意された。
だが最後まで諦めることのないブルデイは再び後続との差を広げ、一周4.048マイルのロード・アメリカのコースで2周後に約5秒、5周後には12秒以上のアドバンテージを築いていった。ところがチャンプ・カーのデビューを果たしたばかりのファン・カセレス(#19 サニーズ・バーベキュー フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)が、27周目にグラベル・トラップへ突っ込んだことでフルコース・コーションが提示。ブルデイのリードは舞い上がった砂塵とともに消えてなくなった。この間、ピット・ストップを見送ったジュンケイラが、同様にコースに残った3台のマシンをリード。一方でウイルソンとオールメンディンガーは素早くピット作業を終え、コースへと復帰してブルデイと戦い続けた。

2度の短いフルコース・コーションで順位に変動はなく、ウイルソンがオールメンディンガーとブルデイの前の3位を走行する。ネルソン・フィリップ(#4 CTEレーシング-HVM フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)が2位のポジションでピット・アウトした1周あとの38周目、オールメンディンガーがターン1でウイルソンをパス。ジュンケイラとともにピット・ストップを見送っていたフィリップだったが、このピット・インで致命的なトラブルが発生。なんとコースに復帰したばかりのフィリップのマシンの左リアホイールが脱落してしまったのだ。
フィリップは3輪となったマシンでかろうじてレーシング・ラインの外でコースを回りピットへ戻ったため、スターターのJ.D.ウィルバーがイエロー・フラッグを提示するには至らなかった。ここでフルコースコーションが出るものと予想してしまったジュンケイラ、ウイルソン、それにオリオール・セルビア(#6 ガルフストリーム フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)が、すぐにピットイン。オールメンディンガーとアレックス・タグリアーニ(#15 オージー・ヴィンヤーズ フォード・コスワース/ローラ・ブリヂストン)がその1周後にピットインした時点で、ブルデイがトップに返咲いた。
ブルデイは燃料補給のタイミングをオールメンディンガーよりも3ラップ遅らせることで、オールメンディンガーの交換したタイヤが十分に温まる時間を与えることになった。これによりオールメンディンガーが勝利へのパスを仕掛けることを許し、ピット・アウトしたブルデイをオールメンディンガーとジュンケイラがかわして前に出た。このあとバトルが続くかに見えたところで、レッグのマシンが大クラッシュ。マシンの撤収と、コース・サイドの修復に時間がかかり、レースは42分間の赤旗中断となる。幸いレッグに怪我はなく、検査を受けたあとまるで何事もなかったかのようにチャンプ・カー・メディカル・センターをあとにすると、安否を気遣っていたファンから安堵の喝采が沸き起こった。
レースは残り2周で再開となり、トップのオールメンディンガーにジュンケイラとブルデイが続く。しかしながらオールメンディンガーはいつもと同じようにすばらしいリスタートを決め、ニューマン/ハースのドライバー2人を抑えて今シーズン5勝目を獲得した。ジュンケイラは今シーズン・ベストの2位に入り、ブルデイがその後に続いてここまでが表彰台圏内。セルビアは最終ラップに唯一パスを成功させ、ウイルソンをかわして4位となった一方、ウイルソンは5位に入って数字上チャンピオン争いに留まっている。ポールシッターのクラークは6位に終わったが、より重要なことはロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・ランキングでパワーに対し、7ポイント差に迫ったことである。
チャンプ・カーは4週間後にタイトル争いが再開し、いつも予測のつかないオーストラリア・サーファーズのストリート・コースで、第15回レックスマーク・インディ300が行われる。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ、#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「マシンは十分速かったと思うんだ。だからチームメイトが前にいるというのは、いつも複雑な気分だね。残り2周で2台のマシンをかわすのはとても現実的ではなかった。トライすればブルーノが仕事して、こっそり譲ってくれると思っていたけど、そうはならなかったから3位を受け入れるしかなかったね」

ブルーノ・ジュンケイラ、#2ニューマン/ハース・レーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「僕にとっては楽しいレースだったよ。10番手からとても良いスタートを切れた。そのときすでにA.J.の後ろにいて、ポジションはわからないけど、たぶん8番手か7番手だったと思う。誰かがターン1で僕に当たってスピンしてしまった。アンドリュー・レンジャーが僕に強く当たり、スライドしてスピンしたんだ。サイドポットの間のアンダー・ウイングに少しダメージを受け、最後尾からリスタートした。ライバルを抜きまくって8番手まで追い上げることができたよ。7番手と8番手は「プッシュ・トゥ・パス」を使わずにかわして、セーブしていた」
A.J.オールメンディンガー、#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「僕はフロント・ストレートでトップに立ったんだ。一体どうやってやったのか自分でも信じられなかったよ。残りの2周はチャンプ・カーで経験したことがないくらいタフだったと思う。僕より速い奴が多いことがひとつ、もうひとつライバルが僕をかわすのに十分な「プッシュ・トゥ・パス」を残のこしていたのを知っている中で、ライバルからこのポジションを守りぬいたんだ。ぶつかってしまうこともあったけど、幸運にもコース・オフすることはなかったね」
主な注目のポイント
A.J. オールメンディンガーはマイケル・アンドレッティーが1996年にロード・アメリカで優勝して以来、初めてのアメリカ出身の優勝者となった。
ボーナス・ポイントを除き、今日の結果をうけてサーファーズ・パラダイスでセバスチャン・ブルデイが9位でフィニッシュすれば、2006年のチャンプ・カータイトルを獲得する。
この日ブルデイは28周をリードし、キャリア通算のリード・ラップが1616周となり、パーネリー・ジョーンズをかわして歴代17位となった。
ロード・アメリカでの今週末3日間の観客動員数は61