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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ第11戦モントリオール【決勝】フォト&レポート

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雨のレースは生涯一度も経験したことがないというオールメンディンガー。彼はゴーカート時代からウェット・コンディションでのレース経験がなく、おそらく出走前は多少なりとも不安だったはずだ。昼食時にちょうどA.J.と話す機会があったので、「初めての雨のレースだね、幸運を祈るよ」と言ったら、「いやー、どうなるかなぁ」と照れるように笑っていた。ところがグリーン・フラッグから積極的にブルデイに並び、ターン2の立ち上がりでお互いにバランスを崩しながらも見事にパスを仕掛け、一気にトップに躍り出たA.J。高く舞い上がる水しぶきのために、当然リードするマシンが非常に有利となるので、このまま後続を引き離していくかに見えたのだが・・・。まさに勢いにのるA.J.ならではの走りっぷりだった。

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エドモントンの時点ではスポンサーの継続が定かではなく、地元モントリオールでのエントリーも危ぶまれていたレンジャー。だがカナダ・ウォルマートが最終戦までフルスポンサードすることを表明し、マシンカラーも一新して地元ファンの前で無事スタートを切ることができた。今後の成長が大いに期待されるヤング・ドライバーだけに、こういった企業スポンサーのサポートは、シリーズにとって大いにプラスとなる。ケベック州のファンにとっては、宿敵(?)トレイシーに対抗できるドライバーとして、フランス人のブルデイを応援しているようにみえるが、本来、フランス語圏といえどもやはり地元のドライバーに頑張って欲しいのが本音だろう。その中でレンジャーには特に期待をかけているようだ。

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悪天候の合間に小雨となったところで、なんとか予定通りにレースはスタートしたが、3ラップ目にレッグがタイヤバリアに激突してフルコース・コーションが提示される。さらに7周目に入ったところであまりの視界の悪さと、悪化する天候によりレッドフラッグが出されてレースは中断となった。主催者とチャンプ・カーは天候の回復を待ってレースの再開を試みたが、3時間以上経過しても良くなるどころか悪化する大雨に、レース継続を断念という苦渋の選択を余儀なくされた。午後5時過ぎになり、レースは翌日月曜日の午前8時にアトランティックのレースがスタートし、午後10時にチャンプ・カーのレースが7周目から再スタートすると発表があった。当初の予定ではテレビ中継は地上波ネットワークのNBCで生放送されることになっていたが、明日の決勝レースはチャンプ・カーのオフィシャル・サイトで生放送となる。チャンプ・カー・ファンはwww.champcar.ws でレースを観戦すべし。日本時間の月曜午後11時スタート、無料でーす。

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レース主催者代表のアラン・ラブロウスとチャンプ・カー代表のスティーブ・ジョンソンが、レース順延に関する記者会見に顔を見せた。金曜日・土曜日と多数の観客に恵まれたモントリオールだけに、なんとしてもレースを続行したかったそうだが、安全性の面から翌日に延期となったことを集まったメディアに説明。直線での視界ゼロという危険性に加えて、万一の際のヘリコプターの離着陸に支障が出る可能性も指摘した。本来、モントリオールでのチャンプ・カーは今回が最後だったのだが、ラブロウスは月曜日にレースを続行することについて、「チャンプ・カー代表のスティーブ(ジョンソン)が、できる限り早い時期にモントリオールにもどってきたいというコメントを述べていたが、これほど早くに戻ることになろうとは」とコメント。どちらかと言うと深刻になりがちなこの手の記者会見で、軽くポジティブでウィットの効いたコメントをもって、会見場の雰囲気を和らげた。

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雨の中集まった熱心なモントリオールのファンに、またしてもトレイシーはやってくれた。なんとレースのスタート前にマスクを被り、ケベック州の旗をマントにしてドライバーズ・パレードに参加。まるでほんとうにプロレスのヒール役になったかのようで、地元TVのアナウンサーとクルーにもからんでいた。残念ながらレースは雨で順延となったが、レース前のパレードでは大人も子供も一緒になってトレイシーにブーイングを送り、大いに盛り上がったのはいうまでもない。ESPNやTSNのスポーツセンターのハイライトでは、マルコ(IRL)やマッサ(F1)の初優勝よりも目立っていた。雨でレースはなかったというのに、またアンドレッティ家を食っちゃうなんて。