ニューマン/ハース・レーシングは全てのオープン・ホイール・レーシングの中で、最も格式の高いチームのひとつである。チームが輩出したトライバーにはアンドレッティー、マンセル、フィッティパルディ、ダ・マッタなどを含み、まさにレース界の名士録とも言えるほどだ。
過去のドライバーがこのチームに栄光をもたらした一方で、現在のスターもチャンプ・カー・ワールド・シリーズのチームの中で上位を維持するために、大きな役割を果たしている。そして今日、このシカゴに本拠地を置くチームは、また新たな伝説を作った。2度のブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードのチャンピオンであるセバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、チーム通算100度目のチャンプ・カー・ポールを獲得し、全17人のライバルを打ち負かして明日のチャンプ・カー・グランプリ・オブ・モントリオールのブリヂストン・ポール・ポジションを勝ち取った。
ブルデイは2.709マイルのサーキット・ジル・ビルヌーヴを1分20秒005で駆け抜け、3年連続のグランプリ・オブ・モントリオールのポールを記録し、今シーズン7回目のポールを獲得。ブルデイにとってキャリア通算25回目のブリヂストン・ポール・ポジションとなり、歴代最多ポールで7位のポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)に並んだ。また、ブルデイはこのポールでチャンピオンシップ・ポイントも獲得し、4レースを残してランキング2位との差を34ポイントに広げている。
チャンピオンを争う3人のドライバーは接近したポジションからスタート。A.J.オールメンディンガー(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はフロント・ローのアウトサイドとなり、今シーズン5回目のフロント・ロー・グリッドを獲得した。ジャスティン・ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は3番手から明日のレースをスタートする。
30分の最終予選は空に雲一つない快晴のなか、ドライバーはモントリオールのイル・ノートル・ダムの素晴らしい天気を最大限に利用して走行した。グリーン・フラッグ直後に7人のドライバーが15ターンあるコースへコース・インし、ベテラン・ドライバーの何人かはピット・レーンで最初の数分間、待機することを選択した。
どのドライバーも金曜日の予選タイムとくらべて1秒以上のタイムアップがあったものの、ブルデイが金曜日に記録したタイムには届かず、アメリカ人のオールメンディンガーが5周目に暫定トップに躍り出るまではブルデイがトップのままだった。エンジン不調のために金曜日の予選タイムを出せなかったオールメンディンガーが暫定トップとなり、その後ろにチームメートのトレイシーも続いてセッション中盤にこの2人が暫定のトップ2だった。
しかしながら、ピットで待機していたドライバーが1回目の予選アタックを走り始めると、このアドバンテージはすぐに消えてしまった。金曜日の予選で2位に入ったオリオール・セルビア(#6ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、最初にトレイシーのタイムを上回るが、ウイルソンがオールメンディンガーの暫定トップ・タイムを塗り替えたため、すぐに後退した。ウイルソンは次のラップで自己ベストの1分20秒587を記録するが、ブルデイが5周目にタイトル争いをする2人のライバルを抜き去り、7周目ではさらにタイムを更新した。
トレイシーはモントリオールのロード・コースを走った13周目にペストタイムを記録し、1分20秒669のタイムで4番グリッドに入った。彼のチームメートのオールメンディンガーは、最後の望みをかけてブルデイに挑んだが、渾身のアタックは僅かに及ばず、1分20秒361で2位に終わった。オールメンディンガーはブルデイを捉えることができず、ブルデイはその1分後に前述したポール獲得タイムを記録し、彼の13周目のラップにポールを確定させたのである。
4位からスタートするトレイシーはモントリオールで過去5回スタートした中でベストのポジションとなり、昨年のモントリオールの優勝者であるセルビアが5位に入った。このPKVレーシングのベテランはここまでの6レースで5回のトップ5グリッドを獲得している。ブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は1分20秒772で6位となり、3列目から日曜日のレースの完走を目指す。
ロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを争う2人のドライバーは4列目からスタートし、ウィル・パワー(#15オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、1分21秒156で7位に入った。ルーキー・ポイントで彼に接近しているダン・クラーク(#14CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は8位からスタートし、ポートランドで6番グリッドを獲得して以来のベスト・ポジションになった。
地元で大人気のアンドリュー・レンジャー(#27ウォルマート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は9位に入り、5戦連続のトップ10スタート。ネルソン・フィリップ(# 4CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がその後ろに続き、ここまでがトップ10となる。
明日の2006年ブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード第11戦、チャンプ・カー・グランプリ・オブ・モントリオールは、アメリカ東部時間の午後1時30分に始まり、NBCスポーツでは生中継を観ることができる。またレース・ファンはレース・ディレクターを通じて、その模様をライブ・タイミング、スコア・ボード、好みのドライバーの無線や映像を選択して観ることが可能だ。レース・ディレクターはチャンプ・カー・ワールド・シリーズの公式ウェブ・サイトwww.champcar.ws からアクセスできる。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ: 「このチームは僕にとって家族のようなものだ。たった4年間でこのチームの通算ポールポジションを4分1も獲得できたんだからね。これはここ数年でこのチームがいかに良くなったかを示してくれる。これをやってのけたチームのみんなには頭が上がらないね。マシンの中では僕は孤独ではない。良いドライバーも良いマシンがなければ何もすることができないんだ。彼らにはたくさんの恩返しをしないといけないね。今は最高の気分だよ」
A.J.オールメンディンガー: 「プラクティスの後が良かった。マシンはほんとうに良い調子だ。予選では少し苦戦したけどね。フォーサイス・インデック・チームは昨日のエンジン・ブローからほんとうに良く修復してくれたよ。良いラップはたった1周しか取れなかったから、素直にとてもうれしいんだ。この前の予選もこのポジションで、ここからスタートして勝っているから大丈夫。デンバーでも勝っているからね」
ジャスティン・ウイルソン: 「日曜日に雨が降る可能性については心配してないよ。降るときは降るだろうし、ウェット・レースを楽しみにしている人もいるよね。雨になればみんながマシンのバランスに苦しむと思う。ただ集中することだけが大切だ。雨の中をレッド・タイヤで走らなければならないかは確かじゃないけど、何が起きようとも僕たちはうまくやって見せるよ。ウォールにぶつからないようにして、チャンピオン争いに留まるんだ」