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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ第8戦エドモントン[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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昨年の最終戦メキシコシティ以来となる勝利を手にしたウイルソン。今シーズンは4度にわたり2位に甘んじていたが、8戦目にして見事初優勝を飾った。厳しいコンディション下、多くのドライバーとチームが何らかのミスを犯す中、ジャスティンとルースポートのチームは目立ったミスを犯すことなく85周を走りきった。54周目のバック・ストレートでプッシュ・トゥ・パス・ボタンを使いターン9の手前でブルデイをパスしたウイルソンは、トップに立ったあと去年のレースが脳裏に浮かんだという。「かなり緊張したけれどミスを犯すことだけは避けたかった。2度目のスティントではマシンはかなりいい状態だったから、スピードでは負けない自信はあったよ。去年みたいに勝利を逃すことはしたくなかったからね」と優勝後のコメント。ランキングでは2位に返り咲きトップのブルデイとの差は23ポイントとなった。残り6戦で巻き返しなるか。

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ここまで表彰台に上がらなかったのはクリーブランドのみ。最初のスティントではブリヂストンのレッドタイヤを装着したマシンは非常にバランスが良く、タイヤの磨耗すらコントロールできたと語ったブルデイだったが、最初のピットインで交換したブラック・タイヤを装着したとたんに、マシンの性格ががらりと変わってしまったらしい。スティントの最後ではまた元に戻ったとのことだが、その間にウイルソンに先行を許してしまう。さらに2度目のピットイン直前の63周目、ターン5でタグリアーニと接触してしまい4秒近くのタイムロスとなってしまった。「終盤は無理をすることなく2位をキープすることにしたよ。チャンピオンシップ・ポイントでは、2位に対してレース前の同じ23ポイントの差を保つことができたからね」とレース後にコメント。

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カナダ人ドライバーの最高位フィニッシュは5位でレースを終えたトレイシー。序盤はリーダーのブルデイの背後についてチャンスをうかがっていたが、最初のピット・ストップで交換したタイヤの空気圧が思うように上がらず苦戦。コース各所でボトミングするマシンと格闘しながらポジションをキープしようと懸命だったが、フロント・ストレート前のシケインでスピンを喫するなど、マシン・コントロールに手一杯だった。チーム・メイトのオールメンディンガーは風邪で体調不良ながら3位でフィニッシュ。彼が4連勝したら頭を坊主にすると約束していたチーム・オーナーのジャラルド・フォーサイスは、「40年間、同じヘアスタイルをたもってきたから、まずは一安心だ」と言って胸をなでおろした。

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開幕戦のロングビーチで3位に入ったものの、そこから表彰台には届いていないタグリアーニ。今回のDNF12位という結果で、ポイント・ランキングでは4位から7位まで下がってしまった。本人にとってもそうだが、ブルデイとのアクシデントはこの日のレースの流れを変える大きな要素となった。アクシデント直後にピット・インしてレース復帰を試みたものの、右フロントサスペンションにダメージがあり78周目にリタイアとなった。「あのコーナーはかなりタイトなので、2台が並んで抜けることは無理だった。彼が次のコーナーまで待ってくれれば、先行させたよ」と残念そうに語っていた。

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このレースが自己通算100回目の記念すべきスタートとなったダ・マッタ。レースの前にルースポートのホスピタリティ・テントで、これまでに100回目出走を記録したドライバー仲間たちに祝福されてケーキを前にしての記念撮影があった。気持ちも新たにスタートしたレースだったが、なんとオープニング・ラップのターン1で同じブラジル人ドライバーのジュンケイラと接触してしまいタイヤ・バリアに衝突。残念ながらリタイアという結果に終わってしまった。一方のジュンケイラは再スタートして周回遅れになることなく復帰したものの、54周目に致命的なギアボックス・トラブルでリタイアとなってしまった。

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この日の最高気温は土曜日ほどではなかったものの、30度を超える暑さだった。一年前と比べると、グランドスタンドに空いている席も少し見られたものの、それでも入場者数は三日間合計で17万人以上と、記録的な暑さとなったにもかかわらずレースは大盛況だった。とにかく金曜日朝のプラクティスからかなりの観客が入っていたのには感心した。前の晩にレストランで順番を待っているとき、年配のカップルが「ビジネスで付き合いのあるクライアントにグランプリのチケットをプレゼントしたんだ。彼はレースファンではないが、一年に一度やってくるお祭りのようなものだから、喜んで観にいったよ。来年は自分たちもいってみることにする」と語っていた。レースファンのみならずごく普通の市民と一体になるイベント。やはり街中で開催される仮設ロード・コースのレース成功の秘訣はこのあたりにあるのだろう。