<US-RACING>
レースウィーク二日目の土曜日は、日中の最高気温が35度を超える猛暑となった。なんでも観測史上でみたこの時期の最高記録を更新したそうで、そういえばコース・サイドで撮影中も日差しがかなり強く感じられた。CASCAR(カナダのストックカー国内選手権)やドリフティングのマシンが走行して路面には十分なラバーが残っていたため、この暑いコンディションでもタイムのほうは更新して、ブルデイは58.560秒のコース・レコードをマーク、通算22度目のポール・ポジションを獲得した。「明日は多少気温が下がるという予報らしいから、最後までミスを犯さずにいきたいね」とブルデイは語っていた。決勝レースのスタート時間は珍しく午前11時ということなので、最高気温に達する前にチェッカーとなることもドライバーにとって幾分楽かもしれない。
最終予選ではグリーンフラッグと同時に先頭を切ってコース・インしたトレイシーだったが、タイム・アタック中に電気系のトラブルが原因でギア・シフトがうまく作動せずにスピンを喫してしまい、マシン後部にダメージを負ってしまった。それでもフォーサイス・レーシングのクルーが赤旗中断中の短い時間に全力でマシン修復を完了させたため、再開と同時に再びコース・インすることができた。ペナルティによる最速ラップ剥奪でポール・ポジションこそ逃したものの、見事ブルデイに次ぐ2番手のタイムをマーク。今シーズン初となるフロント・ローのスターティング・グリッドを獲得した。トレイシーにとって最前列からのスタートは、実に昨年のデンバー以来となる。
前回のトロントではポール・ポジションを獲得しながらも表彰台を逃し、ランキングではオールメンディンガーに2位の座を明け渡してしまったウイルソン。今日の予選では最終的に3位のポジションを獲得して日曜日の決勝でさらに上位を狙う。とはいうものの横のグリッドにはA.J.が約0.2秒差のタイムで並んでいる。トップ4のタイム差は0.333秒以内ということで、このコースではこの4人は皆ほぼ同格といっていいだろう。記者会見の席でメディアの一人に「ウィル・パワーのブロッキングがなかったら、ポールを獲れたと思うか?」という質問には「なんともいえない。でもマシンがもてるポテンシャルを最大限に引き出したとは言えないのは確かだから、レース用に関しては良いマシンを手にすることができたと思う。明日はミスを犯さず全力を尽くすよ」と、なんとも彼らしい優しいコメントだった。横に座っていたブルデイに「今年はスピンしない?」と突っ込まれると「いや、しないよ」と笑っていた。
初日の金曜日は午前中のプラクティスでクラッシュしてマシンを破損してしまったため、第一予選の出走を見合わせることを余儀なくされたパワー。最終予選ではウイルソンをブロックしたことを指摘されてペナルティを科せられてしまい、最速ラップ剥奪、順位は6位から7位に後退となった。それでもルーキーで唯一人予選トップ10入りを果たした。「チームには本当に感謝している」と予選後にコメント。「路面の突起にナーバスだったマシンも、予選前のプラクティスで解決策を見つけることができたからよかった。これで明日のレースに向けて自信がついたよ」とまずは一安心のようだ。