2人のドライバーによるタイムアタック合戦となったモルソン・グランプリ・オブ・トロントの土曜日最終予選。快晴となったカナダの大観衆の前でジャスティン・ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が会心の走りを見せて予選は終了した。彼は最終ラップで4番手から1番手へ浮上し、日曜日のチャンプ・カー・ワールド・シリーズ・イベントのブリヂストン・ポール・ポジションを奪い取った。
ウイルソンは1.755マイルのエギジビション・プレイス・ストリート・サーキットを、彼の最終ラップとなった12周目に58秒182の最速ラップで駆け抜け、2度のブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード・チャンピオンである、セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と、金曜日の予選リーダーであるA.J.オールメンディンガー(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を凌駕した。
ウイルソンは渾身の走りで、今シーズン初、チャンプ・カー・キャリア3度目のブリヂストン・ポール・ポジションを獲得。これは彼とルースポート・チームにとって、昨年ウイルソンが優勝した昨シーズン最終戦のメキシコ・シティ以来のポールとなる。
このルースポートのドライバーは11ターンあるこのコースでクリア・ラップを見つけるために、30分ある予選セッションのほとんどを費やす。30分セッションが27分を過ぎるまで、ウイルソンは金曜日の予選初日から自己ベスト・タイムを更新できていない唯一のドライバーだった。しかし、昨年のトロント・ウィナーは11周目にタイムを更新し、最終アタックでポールを勝ち取ったのである。
そのほかにこのセッションでは、ブルデイとオールメンディンガーよるバトルがあり、彼らは4回も暫定ポール・ポジションの座を入れ替える。ブルデイはオールメンディンガーが記録した昨日のリーディング・タイムをたった3周で塗り替え、このカリフォルニアンもコース・インして4周目にトップへと返り咲く。その2周後にブルデイが再度トップに立ち、オールメンディンガーは新しいブリヂストン・タイヤへ履き替えるためにピット・インした。
フォーサイス・チームは金曜日とほとんど同じように、コース上が空くアドバンテージを得るために、オールメンディンガーを早めにコース上へ送り出す。今日のセッションではオールメンディンガーとチームメートのポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、この激しいポール争いへ戻る前に十分な時間を使って、レッド・リム・オルタネート・ブリヂストン・ポテンザに交換していた。
この作戦は成功し、昨日をほぼ再現するように、フォーサイスの2人は空いているコース上に出て、残りのほとんどのマシンはまだピットにいた。オールメンディンガーは再びこの戦略を有効に使うことで、ピット・アウト後の2周目にブルデイから暫定ポールを奪い、彼の最終予選渾身のアタックは58秒264を記録した。
金曜日と同じく、オールメンディンガーは少し早めにタイム・アタックを切り上げ、ピットからセッションの残りの周回を見守った。一方でウイルソン、トレイシー、ブルデイ、そしてクリスチアーノ・ダ・マッタ(#10ルースポート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はそれぞれ最終ラップへと突入する。ブルデイは渋滞でまったく空いたスペースを見つけることができない中で、ポールにチャレンジしなければならず、最終ラップも以前に記録した58秒345のタイムに接近するだけで精一杯だった。トレイシーは最終スティントでタイム・アップできずに結局4位となり、58秒576のタイムで明日のグリッドの4番手に入った。
オリオール・セルビア(#6ベル・マイクロ/ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、2戦連続でトップ5のスタート・ポジションを記録し、58秒920で5位。カナダ人のアンドリュー・レンジャー(#27タイド/マイ-ジャック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、6位となる走りで地元のファンを興奮させ、セッション終盤の自己ベスト・ラップでトップ6に入った。このスタート・ポジションはレンジャーにとって今シーズンずばぬけて良い予選結果となる。レンジャーは2006年のこれまで6レースのどれもトップ10スタートがなかった。
金曜日3位のネルソン・フィリップ(#4CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は土曜日には7位となり、ダ・マッタは8位で終えた。ブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は9位。続いてカナダ人・スターのアレックス・タグリアーニ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と、ここまでがトップ10となる。
タグリアーニのチーム・オーストラリアのチームメートであるウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、ルーキー中トップの予選結果で、59秒687の12位となった。ロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・リーダーのダン・クラーク(#14CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は16番手スタート。クラークはターン3で接触してセッションの序盤にレッド・フラッグを出してしまう。彼は最初のフライング・ラップでアクシデントを起こしたことで、タイムを記録することができなかった。
明日の86ラップあるモルソン・グランプリ・オブ・トロントはアメリカ東部時間午後12:30に始まり、その模様をアメリカではCBSスポーツの生中継で見ることができる。また、レース・ファンはシリーズの公式ウェブサイトwww.champcar.ws にあるレース・ディレクターを通じて、チーム無線とともに様々なカメラ・アングルからこのイベントを見ることができる。
トップ3インタビュー
ジャスティン・ウイルソン: 「トラック上で僕に何か問題があったとしたら、僕の前にいつもオリオール・セルビアがいたことだ。これはちょっとフラストレーションがたまったけど、じっと我慢しなければならなかった。幸運にも彼は早めにいなくなった。そう、彼がいなくなってから2周クリア・ラップをとれ、うまく全力をだして走ることができた。マシンはかなりいい感じで、週末ずっとよく走っている。最終的にあの1ラップをうまく走ることができて、ほんとうにうれしいだけだよ」
A.J.オールメンディンガー: 「すべての週末でこのマシンはかなり理想に近い。ポートランドを振り返えっても、週末ずっと理想的で、レースではばっちりだった。僕のエンジニアリング・スタッフは信じられないくらいすばらしく、今年これまでのレースでマシンは完璧だ。マシンはただ-−僕たちはジャスティンを捕らえるには十分ではなかったけど。明日はすばらしい日になるだろう。僕たちはすべてのラップを通して良いレースができると思うよ」
セバスチャン・ブルデイ: 「まぁ、今日のマクドナルド・カーは最高の状態に戻ったと思う。だからドライブするのがとても楽しかったよ。最初の走行はタイミングがよかった。何度かトラフィックにあって、後ろに下がらないといけなかったけど、たぶんそれは他のみんなも同じだろうね。トラックは確かに良くなっていった。このマシンでいつもこの順位だとしたらがっかりするはずだよ。今日、ポールの可能性があったのはたぶんこの3台だったと思う。だから2人のドライバーはいい仕事をしたってことだ。いずれにしろ明日僕たちはハードに戦うよ」
主な注目のポイント
トロントで最速だったジャスティン・ウイルソンが今日記録したポール・ウィニング・タイムの58秒182は、2002年にクリスチアーノ・ダ・マッタがポールを勝ち取った58秒135に次ぐものである。
A.J.オールメンディンガーは明日のレースをフロント・ローからスタートし、3年のキャリアで初めて3戦連続フロント・ロー・スタートを記録する。
アンドリュー・レンジャーは自身の金曜日予選タイムを1.4秒近くも更新し、最終予選に1秒以上タイム・アップした唯一のドライバーとなった。また、この奮闘で5つスタート・ポジションをあげて、金曜日の予選11位から今日は6位となった。
6人のルーキー全員が日曜のレースのスターティング・グリッドで、最後尾から6ポジションの中に収まり、今シーズン初めてどのルーキーもベテランを超えることができなかった。