<US-RACING>
2002年バーバー・ダッジ・プロ・シリーズ、2003年トヨタ・アトランティック・シリーズでチャンピオンとなり、2004年チームと共にチャンプ・カーにステップアップしたにオールメンディンガー。連続チャンピオン獲得はこの年に途絶えることになったが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2005年は表彰台に乗る回数が増えるものの、優勝にあと一歩というレースが続いた。参戦3年目となる今年、4戦を終えた時点で、苦労を共にしてきたチームから急遽離脱することになり、シリーズでのアメリカン・ドライバーの不在が危惧されたが、名門フォーサイスに抜擢。その初めてのレースとなるこのポートランドでなんと自身初優勝を飾った。ルースポートのこれまでの体制が悪かったわけではないが、オールメンディンガーが優勝するための条件をフォーサイスはすべて兼ね備えていた。ヘルメットを取ったオールメンディンガーは、涙を流して喜び、自身の初優勝をチームはもちろん、駆けつけた両親、フィアンセと共に喜んでいた。父の日だった今日、オールメンディンガーのお父さんにとっては最高のプレゼントになった。
朝のうち快晴となっていたポートランドは、お昼頃からまばらな雲が空を覆い始めた。気温は最高気温で23度と過ごしやすい気候の中でレースはスタートした。ポートランドのフロントストレートは、ドラック・レースも行われており、横幅が広いのが特徴。スタートでは、ターン1の進入まで横に5台のマシンが並び、一気にターン1に進入していった。予選2位からスタートしたオールメンディンガーがこのターンイン争いを制し、トップで進入。ポールポジションだったジュンケイラは4番手に後退した。その後、105周中100周をトップで走行したオールメンディンガーがレースも制することになった。昨年より約20パーセント観客が増加したという発表があったが、確かに昨年より観客席が埋まっていたと思う。1984年からチャンプ・カーのレースが20年以上開催され続けているパーマネントのロード・コースは、シリーズでもこのポートランドのみ。浮き沈みはあるものの今後もぜひ、チャンプ・カーのレースが続いて欲しいコースのひとつだ。
4位からスタートしたウイルソンは、2位にポジションアップしたあと、トップを走行する元チームメイトを追うことになった。すでに2回の優勝経験があるウイルソンを、どちらかというとオールメンディンガーが追う立場だった。しかし、オールメンディンガーがフォーサイスに移籍した今回のレースは立場が逆になった。結局、最後まで追い付くチャンスは訪れることなく、ウイルソンは2位でフィニッシュした。レース後、オールメンディンガーの元にどのドライバーよりも先に祝福しに来たのは、他でもないウイルソンだった。離ればなれとなった二人だが、より一層いいライバル同士の関係を保っていくことになるだろう。
2位を走行していたウイルソンに迫る勢いで3位を走行していたブルデイ。しかし、無理な追い抜きはせず、無難に3位でフィニッシュした。開幕戦から続く連続優勝は4戦でストップすることになった。表彰台では、いままでもらっていた大きなトロフィーに比べるとあまりにも小さいトロフィーに、ちょっとがっかりといった感じで、小指で吊るしてみたりポケットに入れてみたりと、おどけていた。現在、ランキング・ポイントで2位のウイルソンに30ポイント差を広げているブルデイは、レース後の記者会見で「残りのレースで完走さえすれば、僕はチャンピオンになれるよ」と、その自信に揺るぎはないようだ。しかし、まだシーズンは前半戦。今後、リタイヤすることがないとは言い切れない。今後のブルデイのレースが楽しみだ。
今回、オールメンディンガーの活躍の陰に隠れることになったが、クレークの走りはルーキーらしからぬものがあった。6位からスタートしたクラークは、スタートでベテラン勢をしりのけ、なんと2位にジャンプアップ。その後、タイヤがパンクするトラブルが発生するまで2位を走行した。このトラブルで後退してしまったが、その後確実にポジションを上げ、6位でフィニッシュ。ルーキー勢でトップとなった。スタートの撮影後、2位となったクラークを見て、隣で撮影していたアメリカ人のカメラマンが「スピーディ・ダン!」といっていたが、まさにネーミングとおりの走りだった。ミルウォーキーではチームメイトのフィリップが3位表彰台に上り、今年CTEレーシングの活躍が目立つ。トップチームを脅かすようなチームへの成長に期待したい。