ブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、2006年のブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード・シーズンの最初の4レースでこれ以上ないほどの不運を背負ってしまった。そこでこのブラジル人はこの日のG.I.ジョーズ・プリゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・オブ・ポートランドの最終予選から「運」という要素を取り除く決心をした。
ジュンケイラは1.964マイルのロード・コースを残り2周のとなったところで3つ順位を上げ、最終ラップでトップとなり、ブリヂストン・ポール・ポジションを勝ち取った。予選上位の3人がわずか0.15秒にひしめく接戦を制したジュンケイラは、57秒631のタイムで2004年の開幕戦以来となるポールを獲得。A.J.オールメンディンガー(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を0.008秒差で打ち負かし、ポイント・リーダーのセバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、その0.007秒後ろの3位となった。
セッションが始まると、今週末初めてポートランドのコースに太陽が照りつけ、気温の上昇に比例するように予選アタックもヒート・アップした。わずか3周で昨年のポール・シッターであるジャスティン・ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が金曜のベスト・タイムを更新。このイギリス人は序盤の主導権を握り、次の4ラップのうち3ラップでトップ・タイムを更新してこの週末に57秒台をマークした最初のドライバーとなった。
2セットのレッド・サイドウォールのオルタネート・ブリヂストン・ポテンザを自由に使えたブルデイは、最初のセットを使った4周目のアタックでトップへ躍進。ウィルソンはブルデイと初日のリーダーであるオールメンディンガーの後ろ3番手へ後退する。
大多数のチームが最終調整と新しいセットのブリヂストンに付け替えるためにピットへ戻り、最後の10分間は凄まじい争いとなった。
昨年のレース・ウィナーであるクリスチアーノ・ダ・マッタ(#10ルースポート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が最初にアタックへ出て、3番手にジャンプ・アップするが、すぐさま元#10のドライバーであるオールメンディンガーがベスト・ラップを記録し、ポールを奪う。このカリフォルニアンは次の周でフェスティバル・カーブへのアプローチに失敗してしまい、ハード・ブレーキとタイヤのスライドを強いられ、より良いタイムを記録するチャンスを逃してしまった。57秒639を記録していたオールメンディンガーは、ブルデイとジュンケイラにはまだ彼のタイムを更新してポールを得るに十分な時間があることを知りながら、最後の数分でピット・レーンへと戻った。
ウィルソンが彼の最終ラップとなる次の周で57秒818を記録する。その一方でジュンケイラとブルデイは2セット目のオルタネート・ブリヂストン・ポテンザをマシンに装着してコース・イン。ブルデイはスピードに乗り、2周目のラップで最終的に3位となる57秒646のベストタイムを記録し、大方の注目が序盤の4レースを制した男に集まる中で、ジュンケイラが徐々に順位を上げ始めた。
オールメンディンガーが安全策を取ってフォーサイスのピットで様子をみていた時、このブラジル人は8周目に4番手へと浮上する。ジュンケイラが次の周でトップに上り詰めたのは、セッションの残り1分を切ったところだった。
「僕はブルデイのタイム見ていた。そのとき偶然にもブルーノのラップ中のタイムが目に入った。そうしたら僕らの前のポジションになってしまったんだ。ほんとうにがっかりだよね」とオールメンディンガーは言った。
終盤の激戦から外れたウィルソンは、4番手から明日の105周のレースをスタートする。ダ・マッタは58秒018で5位に入り、2006年シーズン最高のスタート・ポジションとなった。
ダン・クラーク(#14CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、始まって間もないチャンプ・カー・キャリアで最高の予選パフォーマンスを披露。58秒214は6番手グリットへ入るのに十分なタイムだった。クラークに続いてロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント・リーダーであるウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が7位。ミルウォーキーで3位となったネルソン・フィリップ(#4ウェルボックス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は8位で予選を終えた。ニッキー・パストレリ(#8ロケットスポーツ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、快晴となった今日のセッションで自己ベストの予選結果となり、58秒826で11位となった。彼のロケットスポーツのチームメイトであるトニス・ケイスメッツ(#18フレクソビット・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、シリーズ・デビューとなる明日のレースを18番手からスタートする。
明日の105ラップのレースは現地時間午後12:30(アメリカ東部時間午後3:30)にグリーン・フラッグが振られ、その模様はCBSスポーツの生中継で観戦することができる。加えてレース・ファンはシリーズのオフィシャル・ウェブサイト、www.champcar.ws で、レース・ディレクターを通じて生中継で観戦することが可能となる。
トップ3インタビュー
ブルーノ・ジュンケイラ: 「長い不振の時期を経て、今日ポールを獲得することができてとてもハッピーだ。あのアクシデントのあと、初めてのポールを取れてとても嬉しい。特に前回のミルウォーキーでの試練の週末に続き、昨日の苦難を乗り越えたあとだけに、ニューマン/ハース・チーム全員の仕事に関しては、とても満足しているよ。ここに来て立ち直り、ポールを獲得できてほんとうに良かった」
A.J.オールメンディンガー: 「最後の2周で遅いマシンに引っかかってしまったことからも、おそらくまだ全力を出し切ってはいないと思う。でも昨日は僕が最後に暫定ポールを持ち去ったわけで、今日はそれを取り返されても仕方がないのかもしれないな」
セバスチャン・ブルデイ: 「ブルーノを祝福するよ。これまで彼は非常に大きな困難の時期を経験してきたと思う。彼がこの場に返り咲くことができたことはすばらしいことだ。ニューマン/ハースはチーム一丸となってベストを尽くしここまでやってきた。おかげで今回も最高のパッケージに仕上げることができた。マクドナルド・カーとホール・イン・ザ・ウォール・キャンプ・カーは両方とも、高いパフォーマンスを披露している。レースにむけて、完璧のセットアップに仕上がっていると思うよ」
主な注目のポイント
今日の予選では、トップ3のタイム差が0.015秒以内と、2002年のシカゴ・モーター・スピードウェイでダリオ・フランキッティ、アレックス・タグリアーニ、クリスチアーノ・ダ・マッタが、0.015秒以内で予選通過した時以来の僅差となった。
ブルーノ・ジュンケイラは過去15回のポートランドでの予選でポール・ポジションを獲得した15人目のドライバーとなった。ポートランドで複数のポール・ポジションを獲得したのは、エマーソン・フィッティパルディ(1992-93)以来。
ブルーノ・ジュンケイラは明日ポール・ポジションからスタートとなる。彼はこれまでにポートランドで2度2位のフィニッシュを果たしているものの、これまでに一度もポートランドでトップを走行したことがない。
ダン・クラークの予選6位という結果はチャンプ・カーのルーキーとしては、昨年のクリーブランドで、アンドリュー・レンジャーが4位からスタートした時以来の最高位のスターティング・ポジションとなった。
明日の決勝レースでは、スタート前の「ドライバーズ、スタート・ユア・エンジンズ」の一声を現在アフガニスタン駐留のオレゴン機動部隊フェニックス第5軍が、衛星中継により号令をかける。