CHAMP CAR

ルースポーツのA.J.オールメンディンガーが、チャンプ・カー・ワールド・シリーズ最終戦初日の予選で、0.5秒以上引き離してトップに

【Champ Car World Series:2005年11月4日 メキシコシティ】
35分のセッション中、12回もトップが入れ替わったチャンプ・カーの第1予選で、その名前は頂点に君臨した。男は太陽が照りつけるメキシコシティで、リザルトの最高峰を目指すバトルに、誰もが納得する方法で自ら終止符を打ったのである。A.J.オールメンディンガー(#10 ウエスタン・ユニオン・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は日曜日のグラン・プレミオ・テカテ/テレメックス・プレゼンテッド・バイ・バメックスに向けての第1予選で、誰よりも速い0.6秒以上のペースでトップ・タイムをマークし、人々を驚愕させた。オールメンディンガーは2.786マイルのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・ロード・コースを1分27秒349(114.822mph)で周回。セッションをリードしてチャンピオンシップ・ポイントを1点獲得し、日曜のブリヂストン・プレゼンツ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード最終戦で、フロント・ローのスターティング・グリッドを保障された。
セッションは2回のレッド・フラッグによって中断され、ピット・レーンでは様々な作戦が入り乱れる展開となった。各ドライバーに割り当てられた15周のうち、10周を超えることができたのは19台中6台だけ。オールメンディンガーのベスト・タイムは最後の6周目に記録されたものであり、2位となったポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の1分27秒962(114.022mph)のベスト・タイムも、今日のセッションで6周走ったうちの5周目にマークされたものだった。
オールメンディンガーはセッション序盤に、17ターンのこのコースで3周目にルースポーツのチームメイトであるジャスティン・ウイルソン(#9 インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)をトップの位置から引きずりおろした。朝のプラクティスと予選前のウォームアップのどちらもトップだったトレイシーは、ティモ・グロッグ(#8DHLグローバル・メール・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がピット・レーンの入り口でスピンし、赤旗が振り降ろされる1分前にオールメンディンガーからトップの座をもぎとった。
このスピンは2005年のシリーズ・チャンピオンであるセバスチャン・ボウデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)や、彼のニューマン/ハース・レーシングのチームメイトであるオリオール・セルビア(#2 パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を含む数台にとって不運な展開となり、彼らはコースインして今日最初の周回を終えたばかりだった。この赤旗は次の予選アタックに向けて数チームにレッド・ウォール・ブリヂストン・ポテンザを装着させる機会を与え、それはすぐに結果となって現れる。
地元で大人気のマリオ・ドミンゲス(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、そのブリヂストンの柔らかいタイヤを履き、彼のフォーサイス・レーシングのチームメイトからたった3分でトップを奪取、ストップ・ウォッチは1分28秒314(113.567mph)で止まっていた。トレイシーが彼をポールの位置からひき下ろすまでの3分間、メキシカン・ヒーローはリードを保っていたが、彼は最終的に2位にもなれなかった。
2分後にオールメンディンガーがポールウイニング・ラップを決め、ターン9でスピンしてストールしたアンドリュー・レンジャー(#27マイ‐ジャック/タイド・レーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)のタイヤからスモークが上がった時点で、ポジションが確定。このスピンでセッション2度目の赤旗となり、時間内にコースをクリアにすることができなかったために再開できず、残りの予選は終了することになった。
ウイルソンは1分28秒564(113.247mph)のベスト・タイムで今日の4番目のスポットに終わり、ベテランのジミー・バッサー(#12ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が1分28秒773(112.980mph)を最後の6周目に記録し、5番目のポジションに入り込んだ。バッサーは2戦連続の表彰台を獲得してランキング6位に上がり、5位のオールメンディンガーまで2ポイント差に迫っている。
ボウデイとセルビアはトータルで9周走ったにも関わらず、6位と7位のポジション。レンジャーはスピンが赤旗となったことから8位に終わり、ルーキーのウイル・パワー(#5 オージー・ヴィンヤーズ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は9位のスポットでセッションを終了した。1分29秒445(112.131mph)をマークしたパワーはまだ2度目のチャンプ・カー・スタートであり、1分29秒496(112.068mph)で10位となったロシュフランズ・ルーキーオブザイヤーのグロックをほんのわずか上回った。
クリスチアーノ・ダ・マッタ(#21 ベル・マイクロ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は14位につけたが、これはチャンプ・カー・セーフティ・チームの迅速な作業により、最悪の事態を避けることが出来たことによる。ダ・マッタはターン14でスピンを喫して軽くタイヤバリアに衝突したが、セーフティ・ワーカーがすばやく彼のマシンを再スタートさせた結果、オフィシャルは赤旗の提示をせず、この2002年シリーズ・チャンピオンの最速ラップが剥奪されることはなかった。
初のチャンプカー・レースにエントリーして予選通過をめざすオメロ・リチャーズ(#50 ネクステル/HVM フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、1分31秒329(109. 818mph)のタイムで初日19位という結果に終わった。
日曜日の決勝スターティング・グリッドを決定する明日の最終予選は、北米中部時間の午後12時45分からスタートする。レースファンの方々は、オフィシャル・ホームページwww.champcar.wsのレース・ディレクター・パワード・バイ・インテルを通じて、その模様をライブ中継で観戦することが可能。
予選トップ2ドライバーのコメント
A.J.オールメンディンガー:
「レッド・タイヤとブラック・タイヤのどちらを選択するべきか迷って、ブラック・タイヤで通そうかと思ったが、マリオがレッド・タイヤを装着して僕よりも良いタイムをマークしたのを見て、さらにポールがブラック・タイヤで僕よりも少しだけ速いタイムだったこともあったので、ちょっと心配になった。そうしたらポールはレッド・タイヤを装着してタイムを更新し、自分もレッド・タイヤにするしかチャンスがないことが分かった。このレッド・タイヤを装着したマシンは別格だったね。あのまま2ラップ目に入れば、さらに速いタイムが出たかもしれないほど、マシンの挙動がスムーズになった。レースで安定して速く走るためには、ブラック・タイヤでのセッティングを煮詰める必要があるね。でも全体的にとても満足だ」
ポール・トレイシー:
「自分たちが望んでいた結果とはならなかった。グリップを得るのに少し苦労したんだ。予選中、セッティングを変えたことで、よい方向へと向かった。最初のタイヤ・セットは良かったね。我々は速いタイムをマークしたものの、かなりセッティングを変更しなくてはならなかった。2度目の走行ではダ・マッタがピットレーンから目の前に出てきた。彼はその時点からスロットルをあけてきたので、僕のアタック・ラップではずっと彼の後ろに着いてまわることを余儀なくされてしまったんだ。おそらくそれでエアロダイナミクスのタービュランスの影響があり、多少のタイムロスがあったに違いない。そのため少しスローダウンして彼との距離を開けて、新しくタイムアタックをしようとしたら、そこで赤旗中断となってしまったよ。明日はもう少しの幸運があれば、もうすこし良い結果となるだろう」
注目すべきポイント
ファブリツィオ・デル・モンテ(#4 HVM/CTEレーシング フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、昨日メキシコ・シティで行われたテスト走行中にクラッシュして脳震盪を負ったことで、チャンプ・カー・メディカル・スタッフの判断により、今週末の走行を見合わせることとなった。チームは#4のマシンに代替ドライバーを乗せないことを決定した。
チャンプ・カー・ツー・シーターは、メキシコ・シティで木曜日に行われたセッションで、最高時速190.8マイルの新記録を達成した。このセッションでマシンをドライブしたマリオ・ドミンゲスは、それまでの記録を一気に10マイル以上短縮した。