【チャンプ・カー・ワールド・シリーズ:2005年10月23日 オーストラリア】
ニューマン・ハース・レーシングのセバスチャン・ボウデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、オーストラリア・サーファーズ・パラダイスで行われた“レマックス・インディ300”での勝利で、2005年シーズン“ブリヂストン・プレゼンツ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォード”のドライバーズ・タイトルを獲得した。ボウデイは今シーズン6度目の優勝でタイトルを確定。最近4年間、タイトルを決めたレースで優勝を飾った3人目のドライバーとなった。ボウデイは57周のレースのうち38周をリードし、かつて2度チャンピオンを獲得したアレックス・ザナルディが7年前に記録したレース中の最速ラップ・レコードも塗り替えた。この優勝でボウデイは2000〜2001年のジル・ド・フェラン以来、96年間のチャンプ・カー・レーシング史上15人目となるシーズン連続チャンピオンとなった。ボウデイはキャリア・ベストとなる2位でフィニッシュしたA.J.オールメンディンガー(#10 ウエスタン・ユニオン・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)に9秒以上の差をつける快勝。3位にはベテランのジミー・バッサー(#10インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が続いた。バッサーのポディウム・フィニッシュはこれで通算33回目となった。
しかし、ボウデイにとって10万5297人もの観客で埋まった15回目となる1周2.795マイルのサーファーズ・パラダイスの市街地コースでの優勝への道のりは、決して平坦なものではなかった。スタート直後の1コーナーで、ポールシッターでニューマン・ハース・レーシングのチームメイトでもあるオリオール・セルビア(#2パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、4位スタートだったクリスチアーノ・ダ・マッタ(#21ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と接触するアクシデントが発生。しかし、ボウデイはこのアクシデントを何とか回避。セルビアとダ・マッタは接触後、シケイン右側にスピン、このレースで優勝経験を持つ3位スタートのマリオ・ドミンゲス(#7インディック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)をも巻き込むことに。このアクシデントでコーション・フラッグが出された。
ボウデイはダメージを逃れたものの、代わりに天敵ポール・トレイシー(#3インディック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がボウデイの後ろ2番手まで浮上。そして4周目のリスタートでこのフランス人をパスすると、トレイシーはその後19周目までトップを維持した。ボウデイもプレッシャーを掛け続け2秒差以内にピタリとつける。ルー・スポーツのチームメイト、オールメンディンガーとジャスティン・ウイルソン(#9 インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が3−4番手に続いていた。
トレイシーは19周目にピットインするまでトップを死守。しかし、翌周にピットインしたボウデイは給油時間を短くする作戦でピット時間を短縮させトレイシーを逆転し、逆に2.8秒もの差をつけることに成功した。トレイシーの追撃はその後すぐに終焉を迎える。24周目にギヤボックス・トラブルが発生しリタイアとなり、リザルト上17位という結果に終わった。
トレイシーのリタイアによってオールメンディンガーが2番手に浮上。するとまもなく、チーム・オーストラリアのチームメイト同士のアクシデントにより、リーダーのボウデイのすぐ後ろにマシンをつけることに成功する。29周目にアレックス・タグリアーニ(#15オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、このレースでの新しいチームメイト、ウィル・パワー(#25オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とターン3で接触、これによりこのレース2度目のフルコース・コーションとなった。
レースがリスタートされたとき、オールメンディンガーとリーダーのボウデイの間には周回遅れのマーカス・マーシャル(#5オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がいたものの、オールメンディンガーはこの周回遅れをすぐさまパスし、ついにボウデイの背後にマシンをつけることに成功する。一方で、オールメンディンガーのチームメイト、ウィルソンはタイヤにスローパンクチャーが発生しピットインを余儀なくされトップ争いから離脱することに。トップ2台はその後ファステスト・ラップを連発し、後続1周につき2秒もの差をつける走りを見せる。
最後のピットストップ後もトップ2台の順位に変化はなかった。しかし、セルビアの表彰台フィニッシュへの追撃は、ピットストップ時での右リヤタイヤのトラブルによるタイムロスで終焉を迎えることになる。セルビアはスタート直後の接触で余計なピットストップを余儀なくされ一時17番手までポジションダウンしたものの、その後猛烈な追い上げを見せ5番手にまで浮上していた。
2度目のピットストップ後、ボウデイは徐々にオールメンディンガーとの差を広げ優勝を飾った。レース終盤、バッサーは自らの最速ラップをたたき出し食い下がるタグリアーニを退け、表彰台最後の一角を占めた。このチーム・オーストラリアのドライバーはバッサーに続く4位でフィニッシュ。セルビアは5位となった。
ロケットスポーツ・レーシングのティモ・グロック(#8DHLグローバル・メール・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は6位でフィニッシュし“2005ロシュフラン・ルーキー・オブ・ザ・イヤー”のタイトルを確定、史上初のドイツ人ドライバーによるルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得となった。ウィルソンは7位となったもののチャンピオンシップでは3位をキープ。しかしトレイシーとのは差わずか10ポイントで、最終戦メキシコ・シティで雌雄を決することになる。
ロニー・ブレマー(#19アメリカン・メディカル・レスポンス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は8位で5戦連続でルーキー最上位フィニッシュを果たした。リカルド・スペラフィコ(#11アメリカン・メディカル・レスポンス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とアンドリュー・レンジャー(#27タイド/マイ-ジャック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が残るトップ10のスポットを占めた。
シリーズは2週間のオフを経て最終戦“テルメックス/テカテ・グランド・プレミオ・デ・メキシコシティ・プレゼンテッド・バイ・バナメックス”が11月4日から6日にかけてアウトドローモ・ヘルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われる。
トップ3フィニッシュのコメント
ジミー・バッサー #12ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「すべては僕らPKVレーシングのおかげだよ。彼らはモントリオール戦以来本当にハードな仕事をしてくれていた。3回もシェイカー・リグを試したし、トラックでのテスト走行もやった。データ上ではクルマは本当に素晴らしく進化したんだ。僕らはチームをさらに向上させる成績を獲得するためハードな仕事を続けてきた。このレースの結果は僕らの仕事ぶりが結果となって表れ始めたんだと思う。実際、シーズンを通じて市街地レースは僕らのウイークポイントだったんだけど、ポディウム・フィニッシュができた。僕らのハードワークが成果を上げ始めているんだと思うよ」
AJオールメンディンガー #10インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「チームが僕に素晴らしいクルマを与えてくれた。チームに感謝しきれないよ。彼らはクルマを向上させるため戦い続けてくれている。とにかくセバスチャンについていこうとした。2度目のピットストップ後、セバスチャンは僕に10秒ものアドバンテージがあった。でもレース終盤には差を縮めるべくプッシュし続けた。表彰台に立てて満足している。このシリーズの誰もがサーファーズ・パラダイス戦での表彰台に立ったときの気分について話をしているし、それを実際に楽しめてほんとうにうれしいよ」
セバスチャン・ボウデイ #1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン:
「優勝できて良かったよ。すべてはピット戦略がうまくいったことだね。このコースで僕らがどれだけ速かったかを見せられて本当にハッピーだよ。この優勝はハードな仕事を続けてくれたチームへの報酬だよ。もちろん、2年連続チャンピオン獲得についても話さないとね。でもチーム、スポンサーを含む僕の周りすべてのものなしには何も成し遂げられなかった。すべてのハードワークに十分感謝しきれないよ。チャンピオンシップを1回だけでなく2回も、しかも連続で獲得できるなんて、信じられない。ニューマン・ハース・レーシングは来年またこの結果を再現させるためにタフな時間を過ごすことになると思う。やり続けるってことは本当にタフなことだからね」
主な注目のポイント
セバスチャン・ボウデイは優勝でシリーズタイトルを確定させた最近4年間で3人目のドライバーとなり、またサーファーズ・パラダイスでそれを成し遂げた最初のドライバーになった。ボウデイはまた9戦連続トップ5フィニッシュを果たした。
決勝日の観客数は10万5297人で、イベントトータルでは31万6459人となり記録を更新した。
ポール・トレイシーは決勝レースを19周をリードし、シーズン・トータル・リードラップが512周となった。これによりトレイシーは4シーズン連続で500周以上のリードラップを記録した。
ボウデイはこのレースで全周を走行。今シーズンの全レースイベントの全周回数1240周をわずか1周を除いてすべて走行している
今日のレースの結果、フランスがネイションズ・カップ・スタンディングでカナダに32ポイント差をつけリード。フランスはこのタイトル初獲得を目指す
ボウデイは15人目のシリーズ連続チャンピオンとなった。テッド・ホーン(1946-1948)が唯一の3年連続チャンピオン獲得ドライバー。