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●チャンプ・カー・ワールド・シリーズ第10戦モントリオール【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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95戦目で念願の初優勝を勝ち取ったセルヴィア。フルコース・コーション下、最後のピットストップでは異なるピットストップ戦略をとったロケット・スポーツのグロックにリードを取られたセルヴィアだったが、グリーン・フラッグ後のラストスパートで、わずかに残っていたプッシュ・トゥ・パスを使ってグロックをパスした。これがうまくいったと思われたが、グロックはコーナーをショートカットする格好でこれを阻止。同じことを2回もやってしまったグロックに、案の定ペナルティが科せられてセルヴィアが前に出る。ラストラップのみをリードしたセルヴィアが、うれしいキャリア初優勝を達成。セルヴィアのマシンはフィニッシュ・ラインを超えたとき、ギアボックス・トラブルが発生していたようで、エンジンもミスファイアしているきわどい状態だった。インディライツでチャンピオンを獲ったときでさえ、一度も勝利を手にしたことのなかったセルヴィア。名門ニューマン/ハース・レーシングへの移籍というビッグチャンスをしっかりとつかみ、プレッシャーをもコントロールしての初優勝だった。おめでとうオリオール。

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今年最初のルーキー・ウイナーになるかと思われたが、ラスト2周のところでコースをショートカットし、ペナルティを受けたグロック。プッシュ・トゥ・パスも使い切ってしまい、ああするしかトップを守る術がなかったのだろう。ストップ・アンド・ゴー・ペナルティは免れたものの、セルヴィアにトップを明け渡すことを余儀なくされて2位でフィニッシュ。でも本人は初表彰台に上がってとても嬉しそうだった。それもそのはず、49周目でプッシュ・トゥ・パスを使い切ってしまったグロックは、フル・コース・コーションまでの56周の時点で、11位だったのだ。チェッカード・フラッグを受けた後、メカニカル・トラブルでドーナッツができなかったセルヴィアの代わり、というわけでもないのだろうが、初表彰台ということでグロックがドーナッツを披露していた。「F1ではこういったファンサービスが少ないよね。そういった意味でもチャンプカーはファンと一体になれるからとても楽しいよ」と記者会見で語っていたのが印象的だった。

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予選3位からスタートしたウイルソンは14周目に2番手へ浮上、後半のフルコースコーションからの再スタート後、64周目にシケインをミスしていったん4位に下がるが、71周目にボウデイをパスして3位に返り咲く。終盤に入り、前のグロッグとセルヴィアが繰り広げたきわどいバトルを冷静に見ながらチャンスを伺っていたウイルソンだが、最終的にその機会は訪れず3位。今季2度目の表彰台に立った。ウイルソンの今シーズンのトップ4入賞は、トロントの優勝と今回の3位を含めてこれが7度目。ポイント・ランキングでは3位のトレイシーにあと7点と迫った。

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これまでポール・ポジションからスタートしたドライバーが、モントリオールで優勝したことはない。そのジンクスを打ち破るべく、好調なスタートを切ったボウデイだったが、悲劇は60周目、フルコース・コーション下のピット・ストップで訪れた。トップのポジションからピット・インし、ピット・ストップのタイミングをずらしていたグロックに次ぐ2位でコースへ復帰できるはずだったボウデイ。このときの様子をニューマン/ハースのピット横から見ていたのだが、ピット・ストップを前に、ボウデイのクルー・チーフが何やら声を荒げているのが聞こえた。どうやらタイヤ交換機材に不備があったようで、案の定、左後輪の交換が異常に長くかかってしまったのだ。なんとか5位でコースへ復帰し、4位でフィニッシュしたボウデイ。ライバルのトレイシーが8位でフィニッシュし、チームメイトのセルヴィアが優勝したことで、とりあえずポイント上ではさらにリードを広げる結果となった。とはいえ常に完璧を誇るニューマン/ハース・レーシングにしては珍しいミスだといえる。ボウデイは昨年もポールをとりながら、アクシデントに巻き込まれてリタイア、チームメイトのジュンケイラが優勝している。今年もチームメイトとなったセルヴィアが優勝と、このイベントでは最後の最後で運に恵まれない。

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5位でフィニッシュし、地元カナディアンのトップだったタグリアーニは、チェッカード・フラッグのあと、クールダウン・ラップでファンにドーナッツをサービスしていた。マシンの状態はベストとは言えず、ポジションを維持するのが精一杯だったというタグリアーニ。「あのイエローが無ければ、4位でフィニッシュできたとおもうよ」とレース後に語っていた。いずれにしても表彰台には届かなかったのだが、地元のドライバーの活躍がファンの維持につながるのだから、ぜひとも彼らにはがんばってほしい。でも午前中に行われたアトランティック・シリーズ最終戦では、地元選手のべセットが見事に優勝して今季2勝目。観戦していたお客さんも大喜びだった。今回レースプロモーターは意図的にグランド・スタンドの数を減らし、立見席の入場料金を下げたとのことだが、午前中の雨も手伝ってか、結果的に裏目に出てしまったようだ。実際グランドスタンド券はレースウィークが始まる前までに売切れたそうだから、来年はそのあたりを改善してほしいところだ。

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レース中盤まではトップからそれほど離れていなかったのだが、ピット・ストップでチームメイトのドミンゲス用に置いてあったタイヤに当り、ついでにピット・クルーまで引っ掛けてしまったトレイシー。さらにはピット作業自体も大幅に時間を要してしまったことで、4位から13位まで大幅にポジション・ダウンを余儀なくされた。その後上位復活を狙うが、最終的に8位でフィニッシュ。「今日の結果は、チャンピオンシップを狙う上で、非常に痛かった。ボウデイに大きなリードを許してしまったからね。この差を縮めるのはかなり困難だとおもうが、最後まで諦めずにベストを尽くすよ」とトレイシー。ここへ来るまではランキング2位を守っていたトレイシーだったが、ポイントで276:211とトップのボウデイからさらに大きく水をあけられ、セルヴィアが初優勝を飾ったことでランキングも3位へと後退。はたして最終戦のメキシコシティまでに、挽回は可能だろうか?