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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第5戦 ラウジッツ【初日】レポート

<US-RACING>
■初優勝で勢いにのるボウデイがポール・ポジション
今季初のオーバルとなったヨーロッパ2連戦の最後、ジャーマン500。プラクティス、予選ともブランズ・ハッチで初優勝を決めたボウデイがトップとなり、初のオーバルにもかかわらず絶好調だ。前戦と同じウイングパッケージにしなければならない今回、ルーキー勢が上位に入り、ベテラン勢が下位に沈むという意外な予選結果となった。

■初オーバルで第1プラクティスから絶好調のボウデイ

2日間の“2デイ・イベント”となった今回、初日が土曜日となったユーロ・スピードウエイには、2万人もの観客が訪れた。2001年は初日から雨に見舞われたユーロ・スピードウエイだが、今日も朝から曇り空と少し心配な天気だ。今回のヨーロッパ・ラウンドでは前戦のロード・コース、ブランズ・ハッチと同じウイングを使用することが決まっており、各チームがどのような戦略を立てたかも明らかとなる。

午前9時15分、天候は曇り、気温12度というコンディションの中で始まったルーキー・オリエンテーション・テスト。前戦のブランズ・ハッチで初優勝を遂げたボウデイをはじめ、9人のルーキーによる事前テストが行われた。9時44分にマニングがバックストレートで止まってしまったためにイエロー・コーション、セッションはそのまま終了となり、トップはボウデイが記録した37.808秒(192.626マイル)となった。

マニングのフォード・レイナードが回収されて9時50分から全車による第1プラクティス開始。10時4分にジョルダインが37.692秒を記録してトップに立ったが、その2分後にボウデイが37.330秒でトップにカムバック。初めてのオーバルでのレースとなるボウデイだが、開始から30分が経過しても、まだ誰もボウデイのタイムを上回れない。10時31分、ボウデイは34周目に37.174秒までタイムを上げ、ジョルダイン、ジュンケイラ、マニング、トレイシーと続いている。

10時40分、タグリアーニがターン1でストップしてイエローとなるが、このときボウデイは37.064秒までタイムをアップ。間もなく11時になろうとしていた10時59分、ボウデイは初めて36秒台に入れる36.794秒を叩き出した。2番手はタグリアーニの37.358秒と、ボウデイが依然好調だ。結局誰もボウデイのこのタイムを破るものは現れず、11時59分にチェッカードフラッグ。2番手はジュンケイラで36.882秒と、ニューマン/ハースの二人が唯一36秒台に突入した。

■ボウデイが今シーズン3度目のポール・ポジションを獲得

予選は朝のプラクティス・タイムの遅い順に一台ずつコースインしてタイム・アタックを行う“シングルカー・クオリファイ”。各マシンはコースインして一周のウォームアップ走行のあと、2周アタックしてどちらか良い方のタイムをとり、決勝のスターティング・グリッドが決まる。

初めて走行したスーパー・スピードウエイにもかかわらず、朝のルーキー・プラクティスに続き午前中のプラクティスでもトップ・タイムをマークしたボウデイ。群を抜くスピードを見せ付けたボウデイは、最後のアタックとなる。相変わらず曇り空の下、気温は15度前後と朝とほとんど変わらない。心配されていた雨はまだ降る気配はなく、まずまずのコンディションだ。

2時32分、予選開始を知らせるグリーン・フラッグが振られる。3分後、スタンバイしていた最初のドライバー、フェルナンデスがコースインして予選アタックがスタート。今回のユーロ・スピードウエイにまったく合わないウイングを持ち込んだフェルナンデスは作戦ミスで、プラクティスでトップから11マイルも遅く、最下位になっていた。5番手にコースインしたバッサーが一足先に38秒を切る37.911秒で暫定トップに立つが、7番手にアタックしたルーキーのハバーフェルドがアタック2周目に37.392秒をマークし、トップを奪う。

その後ポイントリーダーのトレイシーとチームメイトのカーパンティエが続くが、ハイダウンフォースのシャシーではドラッグ(抵抗)が多く、38秒台が精一杯。一方で10番手に出走のルマリエが37.806秒を出し、この時点で暫定2番手に上がる。さらにラビン、マニングらも37秒のタイムで上位につけるなど、ルーキーの活躍が目立つ。

ラスト5番手からアタックのジョルダインが37.274秒で暫定トップに浮上。タグリアーニが終わり、ドミンゲスがコースインしたところで一時小雨がぱらつくが、路面を濡らすほどではない。ラスト2番手のジュンケイラが37.211でジョルダインのタイムを更新して暫定トップに上がり、残るは最後の一人、ボウデイのみ。

フランス出身のボウデイは地元ヨーロッパでそのスピードを思う存分披露するかのように、2周目のアタックで37秒ジャストの予選コース・レコードを叩き出し、見事今シーズン3度目のポール・ポジションを獲得。大勢の観客が集まったグランドスタンドから拍手と大歓声が湧き上がった。ジュンケイラは2番手をキープし、ニューマン/ハース・レーシングのフロントローを独占。トレイシーのフロントローは4戦連続でストップした。

ルーキーがオーバルでポールを取ったのは1999年のモントーヤ以来で、ニューマン/ハースがオーバルでポールをとったのは、意外にも1999年のリオ・デ・ジャネイロ(クリスチャン・フィッティパルディ)以来のことだった。

順調に終わったかにみえた予選だったが、3番手のタイムでグリッド2列目を確保していたチーム・レイホールのジョルダインが、予選終了後シャシーにルール規定違反が判明して失格。CARTオフィシャルはチームに1万ドルの罰金を科すると共に、ジョルダインの予選結果を無効とすることを表明した。

チーム・レイホール側はこれを不服としてアピールしたが、もしこの結果が最終的に確定となると、予選順位は繰り上がり、ルーキーのハバーフェルドが予選3位、そして同じくルーキーのマニングも4位に上がり、上位4台中3台がルーキーという結果になる。

さらにシャシーの結果においてフロントローはローラで変わらないものの、結果が変わればハバーフェルドの3番手を筆頭に、レイナード勢が上位10台中4台を占める。いずれにしても今シーズン初のオーバルでの予選は、トップ10にルーキーが5人と意外な結果となり、ポール・ポジションから10位までのタイム差は0.911秒。今回、ハイダウンフォース仕様にしたベテラン勢はほとんどが下位に沈んだ形となり、明日のレースではオーバルのレースが初めてとなるルーキーたちを、ベテラン勢が後方から追い上げる展開となるだろう。