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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第20戦 フォンタナ【最終予選】レポート

<US-RACING>
初日に引き続き曇り空のもと、午前10時45分に今シーズン最後のクオリファイが開始された。気温は20度まで上がり、路面温度は16度というコンディション。オーバルのクオリファイは1台ずつのタイムアタックによるシングルカー・クオリファイとなるが、レースウィーク初日の午前中のプラクティスが中止されたことにより、今回はチャンピオンシップポイントの低いドライバーから順にタイムアタックが行われた。

まず始めに、ここカリフォルニア・スピードウェイでデビューとなるメアーズがコースイン、CARTで初めてのクオリファイに挑み、31.298秒を記録する。続いてバロン、マルケス、ガルシアJRがタイムアタックを行い、中野信治が今シーズン最後の予選に臨む。しかしなかなか思うようなタイムアップを図ることができない中野は、2ラップ目に記録した32.314秒がベスト。明日の決勝は24番手からのスタートとなる。 その後、ジョルダインJR、ブランデル、ギドリーがタイムアタックするが、メアーズのタイムは依然として破られない。そんな状況の中、カナーンがコースインしてタイムアタック。ここでようやくメアーズのタイムを破る31.101秒が記録され、暫定ポールの座はカナーンへ。

次にコースインしたのはカリフォルニア・スピードウェイの最速ラップ記録保持者、グージェルミンだ。しかしグージェルミンはウォームアップラップの際にエンジンがミスファイアを起こしたため、直ちにエンジンをシャットダウン。すべてのドライバーのタイムアタック後に1ラップだけ再チャレンジしたグージェルミンは、22番グリッドを得る。 続いてタグリアーニがコースインし、予選セッションで初めて30秒台に突入する30.999秒を叩き出して暫定ポールの座が再び入れ替わる。さらにセルビアのタイムアタックを挟んで、フィッティパルディがコースイン。スムーズなライン取りで果敢にアタックしたフィッティパルディは、タイムを一気に0.4秒以上縮める30.553秒を叩き出して、暫定ポールポジション獲得。ニューマン/ハースは決勝レースに向け順調な仕上がりを見せているようだ。

その後パピス、フランキッティ、カーパンティエ、ダ・マッタのタイムアタックを挟んだ後、CART最後の予選となるモントーヤがトヨタの片バンクターボ・エンジン(全トヨタドライバ−が搭載)とともにコースイン。モントーヤは昨日記録したこれまでのプラクティス最高タイム、30.152秒のトラックレコードを記録(非公式)しているだけに注目が集まる。 しかしながらタイムは思いのほか伸びずに30.731秒。決勝レースは5番グリッドからCART最後のレースをスタートさせる。インディ500、ミシガン500に続く3連覇達成なるか? 続いて今度はホンダの予選用片バンク・ターボ・エンジン(中野を除く全車に搭載)を使用するカストロネベスがコースイン。だがフィッティパルディのタイムには一歩及ばない30.561秒、この時点で2位のタイムだ。

予選も終盤に入り、朝のプラクティスでトップタイムを叩き出しているアンドレッティがコースイン。この時点でトップにいるチームメイトのフィッティパルディを上回る30.255秒を叩き出して観客から大声援が飛ぶ。これで暫定ポールにアンドレッティ、2番グリッドはフィッティパルディと、ニューマン/ハースの2人がこの時点のワンツー。 1998年のフォンタナの覇者、バッサーのタイムアタック(30.792秒)を挟んで、モレノがコースに入る。ポールポジションを獲得しなければチャンピオンの可能性が途絶えてしまうモレノだったが、今ひとつスピードを載せることができない。結局31.529秒でタイムアタックを終了し19番グリッドという不本意な結果に終わってしまった。モレノの今シーズンわずかに残されたチャンプへの望みはクオリファイで途絶えることに。

また、次にコースインしたブレックも結果次第ではチャンピオンの可能性がある。しかしポールには届かず、30.912秒をマークして7番手とまずまずのポジションから決勝に臨むことになった。一方、ブレックと同ポイントのトレイシーも、ポールポジションを獲得して1ポイントを獲得したいところ。だがトレイシーは30.923秒をマークして予選8番グリッドに留まった。 ここで予選はいよいよクライマックスに入り、総合ポイントでワンツーの2人、まずはランキング2位のフェルナンデスがコースへ。5ポイント差で充分にチャンピオン獲得のチャンスが残っているフェルナンデスは、予選よりもレースに重点をおいているのか、31.261秒で13番グリッドから決勝レースに挑むことに。だが手堅いレースが得意なフェルナンデスにとっては、充分なポジションと言えるかもしれない。

そしてチャンピオンに一番近い男、ド・フェランが登場し、観衆の注目は一気に赤と白のナンバー2マシンに集まった。観衆の期待に応えるかのようにド・フェランはタイムアタック1ラップ目にして、なんとコースレコードを破る30.255秒というスーパーラップを披露してトップに大躍進。2ラップ目を走ることなく早々とピットに戻ることとなった。 1周の平均が時速241.428マイル(388.457キロ!)に達したそのスピードは、クローズドコースにおける世界新記録達成。これまでグージェルミンが保持していたその記録は、ハンドフォードデバイスを装着していないときにマークされているだけに、今回ド・フェランのタイムは驚異的と言えよう。ホンダは今レースで2回目となる片バンクターボシステムの予選スペシャルエンジンを投入し、それが見事に反映された結果となった。ド・フェランは念願のチャンピオン獲得に向けて貴重な1ポイントを追加し、最高のポジションからレースに臨むことになった。

エンジン別のクオリファイ・トップ10の結果は、ホンダがポールと4、7位、 フォード が2、3、8、10位。トヨタが5、6位に入る。メルセデスベンツはカナーンの12位が最高位。エンジンマニュファクチャラータイトル争いで1点を獲得したホンダは、フォードとの差を15点にすることができたが、はたして逆転なるか?

明日の決勝は250ラップ、第11戦のミシガン戦以来の500マイル(800キロ)レースとなる。コースレイアウトが非常に似ているミシガン戦では、非公式ながら162回にもわたってトップが入れ替わるというスーパーバトルが繰り広げられただけあって、明日のレースは迫力あるサイドバイサイドのレースが期待できる。そしてチャンピオン争いは最後にいったい誰が笑うことになるのだろうか? 最後まで何が起こるかわからない、それがCARTなのである。