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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第19戦 サーファーズ・パラダイス【決勝】レポート

<US-RACING>
金曜日や土曜日とは打って変わり、朝から快晴となったサーファーズパラダイス。気温27度、路面温度47度という絶好のコンディションの中、今年最後のストリートコースとなる第19戦が午後2時6分にグリーンフラッグ。ポールポジションからスタートしたモントーヤを、スタート&フィニッシュラインを過ぎてド・フェランがわずかにリードするが、第1シケインへのアプローチはモントーヤが先頭。

ところがそのモントーヤとド・フェランが接触し、モントーヤはウォールに激しくクラッシュしてマシンを大破。ド・フェランのマシンも壁に接触し、右サスペンションにダメージを与えてしまう。また、その背後ではフランキッティがバッサーに追突され、スピンを喫してタイヤバリアにヒット、リタイヤとなってしまった。

ポイントリーダーのド・フェランは傷ついたマシンでピットまで辿り着くものの、戦線に復帰できず。ここにきてチャンピオン獲得に赤信号が灯ることになった。レースはいきなり予選トップ3が姿を消す大波乱の幕開けとなり、この混乱をかわしてトップに躍り出たのは、4番グリッドからスタートしているランキング2位のポール・トレイシー。さらにランキング4位のアンドレッティ、前戦の覇者バッサーらが続く展開となった。

これでチャンピオ獲得の可能性がいっきに現実味を帯びてきたトレイシーは、10周目に2位のアンドレッティに9秒以上のリードを広げる。しかしそのトレイシーにも突然電気系のトラブルが発生してコースアウト。オフィシャルの押しがけでエンジンが再び目を覚まし、再スタートを切るものの最後尾まで順位を落としてしまう。

ランキング1位、2位がいなくなったことで、今度はアンドレッティにそのチャンスが巡ってきた。だがこの時のアンドレッティは不運にも無線トラブルが起きており、ピットの指示がまったく聞こえない状態。トレイシーのストップでコースがイエローとなった際、下位グループが一斉にピットへと飛び込んだが、アンドレッティはそのタイミングを逃し、トップグループもアンドレティを追従することに。

レースも中盤に差し掛かった22ラップ目、そのトップグループがグリーンの最中に続々とピットインを開始。ここで、すでにピットを済ませている下位グループと順位を大きく入れ替えることになる。ピット作業が落ち着いた27周目時点でのトップ5はブレック、タグリアーニ、バロン、フェルナンデス、そして第14戦を彷彿とさせる猛追で巻き返してきたトレイシーが5位、その後ろには中野がいる。

後半に突入した35周目を過ぎたところで、ブレックをはじめとするトップグループがこの日2回目のピットインを開始。これでバッサーがトップに躍り出て、アンドレッティ、フィッティパルディ、ダ・マッタらが続く。ところがアンドレッティは2位にポジションアップした直後にエンジンから炎が上がり、そのままコースアウト。ド・フェラン同様ノーポイントとなり、いったん浮上したチャンピオンへの望みが完全に途絶えてしまった。

また、36周目に5位までポジションを上げた中野も、電気系のトラブルでコース上にストップ。トップ5フィニッシュの可能性があっただけに、無念のリタイアとなてしまった。これらのアクシデントでコースは40周目に再びイエローとなり、トップ9位までのマシンが一斉にピットへなだれ込む。ここで再び順位に大きな変動が起きる。

この上位グループのピットで、トップに躍り出たのは燃料をぎりぎりまでセーブし、残った燃料で最後まで走ることを決めたフェルナンデス。これにバロン、パピス、ブラック、トレイシーらが続く展開となった。このイエローコーションは途中のモレノのスピン、クラッシュも重なって(ランキング3位のモレノまでリタイヤしてしまった)長くなり、燃料がきつかったフェルナンデスらにとって有利に。47周目、コースはようやくグリーンとなる。

ところがリスタートした直後、3位のパピスがトレイシーと接触してスピン。かろうじてコースに留まったトレイシーだったが、そのあと、不運にもセルビアにプッシュされてウォールに激突。最後尾から5位まで上がり、そのまま上位でフィニッシュしていれば、チャンピオン争いで大きなチャンスが得られていたトレイシーにとって、あまりにも手痛いリタイアとなる。

マニュファクチャラーズランキングにおいてフォードを3点差で追っていたホンダにとっても、3人がいなくなてしまったこの時点で、トレイシーに絶対に上位でフィニッシュして欲しかったのは言うまでもない。ホンダの中で唯一コース上にいるカストロネベスも、途中セルビアに追突されてタイヤを切り、下位にポジションを落としていた。

このトレイシーのクラッシュでコースは再びイエローに。度重なるコーションによって、ここでテレビ放送の関係上、規定の2時間内に終了させるために65周のレースが短縮し、繰り上げフィニッシュが確実となる。このイエロー時点でのトップはフェルナンデス、これにバロン、ブラック、セルビアらが続く。

51周目、イエローが解除。規定時間まであと7分と迫ったレース54周目、このままフィニッシュすればチーム設立以来の最上位フィニッシュとなるはずだったバロンが突如スローダウン、メカニカルトラブルによりあと一歩のところでリタイヤとなってしまった。

これでブラックが2位へ浮上。ブラックとしてはトップのフェルナンデスにプレッシャーを掛けたいところだが、レース終了時間が迫っている。結局レースは58周目に規定時間に到達し、59周で終了。最後まで逃げ切ったフェルナンデスが優勝し、ブラジルに続く今季2勝目を挙げることになった。

1周も走らずリタイアに終り、心中穏やかではなかったはずのド・フェランだったが、結局、トレイシー、モレノ、アンドレッティらがリタイアに終ったため、依然153点でポイントリーダーの座をキープ。だが今日のレースで優勝したフェルナンデスが148点となり、5点差の2位に浮上している。

このフェルナンデスを14点差でトレイシーが追い、4位にはルーキーオブザイヤーをすでに決めているブレックがトレイシーと同点。ランキング5位と6位のモレノとバッサーも131点と同点だが、こちらは獲得可能な最大ポイントである22点差であり、ポールポジションがとれなかった時点で脱落してしまう。

一方、エンジン別に上位結果を見ると、フォードがワンツーでトヨタが3〜4位、ホンダが6位、メルセデスは7位が最高という結果に終わった。エンジンマニュファクチャラーポイントではフォードが依然トップであり、これに16ポイント差でホンダ、さらに16ポイント差でトヨタが追っている。

ホンダの逆転の可能性だが、ポールポジションと最多リードラップを取って2点を得、優勝して20点、この22ポイントを現在のポイントに加えた320点が最終戦でホンダが獲得できる最大ポイントである。つまり、現在314点のフォードが、320点を上回るだけのポイント、すなわち8点以上を得ることができる6位以上に入れば、1995年以来となるフォードのタイトル獲得が決定する。

ホンダはポールポジション、リードラップ、優勝までした上で、5人のドライバーが全員でトップ5に入っても、6位がフォードの場合、すべて台無しと言う厳しい状況だ。トヨタやメルセデスもふくめて、トップ6にフォード以外が何台入るかで決まるが、最終戦は年に2回しかない過酷な500マイルレース。

すべての答えは、生き残ることさえ困難といわれる、その500マイル先にしかない。