<US-RACING>
決勝レースは雲ひとつない快晴に恵まれ、気温32度、路面温度は55度のコンディョン。アメリカ西部時間午後2時10分にグリーンフラッグで112周の決勝レースがタート。
その直後、シケインの第1ターン“フェスティバル・カーブス”で予選4番手のダリオ・フランキッティに5番手のケニー・ブレックが接触。このためフランキッティが集団の中でスピンしてしまい、フルコースコーション。ブレックは11位、フランキッティはほぼ最後尾まで順位を下げる。
後続で巻き込まれたジミー・バッサーとマックス・パピスはリタイア。レースはいきなりオープニングラップから波乱の幕開けとなった。4周後グリーンフラッグが降られレースが再開、ポールポジションのエリオ・カストロネベスが2位のジル・ド・フェラン以下集団をリードする。
決勝前のウォームアップでプライマリーカーにトラブルが発生、急遽バックアップカーで最後尾からスタートした黒澤琢弥は11周目、突然マシンのエンジン付近で煙が上がる。黒澤はターン1のエスケープゾーンにマシンを止め脱出、そのままリタイアとなってしまった。
レース序盤はカストロネベスが徐々に後続を引き離し、30周目には2位のド・フェランに6秒以上の差をつける。36周目にトップのカストロネベス以下、同一周回のマシンが最初のピットインを行った後も、トップ5のオーダーはほとんど入れ替わらずレースは進行。カストロネベスはその後も独走態勢でレースをリードする。
一方、予選21番手からスタートした中野信治はスタート直後の混乱もなんとかかわし、着実にポジションアップ。最初のピットストップを終えたあたりには11位まで上がり、49周目には10位まで順位を上げた。
レースも前半を過ぎた60周目、その差が約3秒弱程となったカストロネベスとド・フェランとの差は、カストロネベスが周回遅れに引っかかりタイムをロスしたため、一気に1秒ほどに縮まり、ほぼテールツーノーズ状態となる。3位にはロベルト・モレノ、4位クリスチアーノ・ダ・マッタと続き、ブラジル人ドライバーが1〜4位を走行。
更にその後方ではマイケル・アンドレッティがファン・モントーヤに迫る。そして67周目にアンドレッティがモントーヤを捕らえ、ターン1でパスして5位に浮上。大歓声が上がる。70周を過ぎたあたりから、リードラップのマシンが次々と2度目のピットイン。71周目に2位でピットインしたド・フェランは、ピットクルーの9.3秒という迅速な作業に助けられ、その4周後にトップに立つ。
ピットアウトの後もド・フェランは後続との差を広げ、80周目には2位のカストロネベスに12秒以上の差をつけ引き離す。その間、72周目にポイントリーダーのポール・トレイシーが最終コーナーの出口で外側のコンクリートウォールにヒット、サスペンションアームに致命的なダメージを負い戦線を離脱、今回ノーポイントの18位に終わる。
また、88周を過ぎた時点で6位を走行中だったモントーヤが突然ピットイン。最後まであまりいいところがなかったモントーヤはマシンを降りてリタイア、17位でレースを終了した。
その2周後、ド・フェランが3度目のピットインをすると、カストロネベスがトップに。2位にはダ・マッタがつける。しかし余裕で3ストップ作戦を行うド・フェランに対し、カストロネベスは2回で走りきる作戦だったのか、あまりペースを上げられない。
トップを走行するカストロネベスと2位のダ・マッタ、それに3位のモレノはともに2ストップであり、この中でまず100周目にダ・マッタが2位の座をド・フェランに明け渡してピットイン、更に105周目にはトップを行くカストロネベスがピットへ。スプラッシュ&ゴーで戦列に復帰するが順位を4位まで落とす。
ここでトップとなったド・フェランはラスト2周の時点で周回遅れのパトリック・カーパンティエに行く手を阻まれ、2位モレノに迫られる。モレノは得意の燃費を抑えた走りで最後まで2ストップで行くつもりだ。ド・フェランは裏ストレートエンド手前で冷静にカーパンティエをパス。最終ラップでは、カーパンティエが1位のド・フェランと2位のモレノ間に入り、モレノはなかなか前に出ることができない。
結局そのままド・フェランがモレノに2.625秒の差をつけ優勝。開幕から8戦目にしてようやく今季初めて2勝を挙げたドライバーとなった。3位にはクリスチャン・フィッティパルディが入り、1位から3位までをブラジル人ドライバーが占める。
安定して周回を重ねてきた中野信治は最終的に11位に入賞、ホームステッドの開幕戦以来のポイント獲得だ。
チャンピオンシップポイントでは、2回のピットインで走りきって2位表彰台をゲットしたモレノが、ド・フェランを1ポイント抑えてトップに。今回無得点に終わったトレイシーはこれで3位となった。またエンジンマニュファクチャラーズ・タイトルのポイントランキングもここで逆転し、ホンダがトップ(138点)で2位フォード(136点)、3位がトヨタ(118点)で4位がメルセデス(39点)となった。
8戦を終え、ますます混戦の度が高まってきたCARTフェデックスチャンピオンシップシリーズ。次回は1週間後の7月1日、オハイオ州クリーブランドで開催される。
●優勝したジル・ド・フェランのコメント
「いや〜あ今日は本当にファンタスティックなレースだった。 給油のタイミングもうまくいったしね。 それに加えてマシンの調子が本当に良かった。 特にレース中盤以降もボクのマシンは本当に速かったよ。 また終盤でのロベルトとのレースはとてもエキサイティングだった。 彼はとてもタフなライバルであり、いい友達だからね。 これからのレースもエリオと一緒にペンスキーのためにどんどん勝ち抜いていきたい」
●2位に入賞したロベルト・モレノのコメント
「今日は上を狙うためにハードにドライブしたよ。 ピットクルーのみんなもいい仕事をしてくれてポジションアップを図ることができた。 今日の結果が得られたのはチームが一体となってレースをできたからだと思うよ。本当にありがとう。 これからのレースもチャンピオン争いの上位を狙うためにチーム一丸となって頑張っていくよ」
●ロベルト・モレノのコメント2
「今日はトップグループのポジションをキープするのと ピットインを2回で済ませるために燃料をセーブために非常にハードなレースだった。 残念ながら2回目のピットインで燃料補給に手間取ってしまいタイムロスしてしまったが、 もしそれがなかったら今日の結果がどうなっていたか興味深いね。 今日のチームは本当にいい仕事をしてくれたよ。なんて言ったってレース開始前1時間で エンジンを載せ換えてくれたからね。マシンには全く問題なかったよ」
●3位に入賞したクリスチャン・フィッティパルディのコメント
「今日は表彰台に上がることができてとてもラッキーだよ。 スタートの大混乱で、ボクがミスしてタイヤにフラットスポットを作ってしまい、 ポジションを落としたからね。 でもピット戦略が功を奏して今日3位に入ることができた。 今日はグレイトだったよ」
● 4位でフィニッシュしたマイケル・アンドレッティのレース後コメント
「今日のマシンは予選セッションの時よりもかなり良くなっていたよ。 我々は予選でいいタイムを出すマシンより、レースでいい働きをするマシンを 目指してセッティングしているからね。 チームは今日3位と4位に入ってポイントを多く獲得することができ、 これでトップにプレッシャーを掛けることができるよ。 チームのみんなも今日はとてもいい仕事をしてくれた。 今チームはとてもいい状態だよ。 次のクリーブランドさらに上を狙って頑張っていきたい」
●中野信治のレース後コメント
「今日のマシンは序盤タイヤの空気圧にちょっと問題があったことを除けば、 いい仕上がりを見せてくれたと思う。この問題は2回目のピットである程度調整して良くなったしね。 ピットクルーをはじめとするチームのみんなもボクのポジションを落とさないようにいい仕事をしてくれた。 そのおかげもあって今日はいいレースができたと思う。 オーナーのデリックもスタート直後に起きたターン1でのアクシデントを即座に無線で教えてくれたおかげで、 巻き込まれることもなく切り抜けることができた」
●87ラップ目でリタイヤしたモントーヤのコメント
「ターン1で突然エンジンのパワーが無くなってしまって、 アクセルを踏んでも反応が無くなってしまった。 今週はセッティングのためにみんなで一生懸命やってきただけに残念だよ。 チャンピオンシップ争いに残るためには 次のクリーブランドでいい成績を残さないといけないね」
●レース開始直後にアクシデントに巻き込まれたジミー・バッサーのコメント
「最初は何が起こったのか全くわからなかったよ。 あの状況では全くアクシデントを避けることができなかった。 これのせいでサスペンションにダメージを与えてしまってね、 残念ながらリタイヤとなってしまった」