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アメリカン・ル・マン・シリーズ 第10戦 プチ・ル・マン【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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アウディR10VSプジョー908のクリーン・ディーゼル対決プチ・ル・マン・ラウンドは、またしてもアウディが制した。優勝した1号車のアウディは予選2番手を獲得しながら、グリッドへ向かうレコノサンス・ラップ中にクラッシュを喫し、マシン修復で2周遅れからスタートしての大逆転。レース序盤で立て続けにコーションが起こったことがタイム・ロスを最小限に抑え、スタート・ドライバーのアラン・マクニッシュによる驚異的な追い上げもあり、レース開始2時間45分後にはトップへ上り詰める。開幕戦セブリングでは圧倒的なペースを誇るプジョーの自滅に助けられての優勝だったアウディ。しかし今回のロード・アトランタは、見事にプジョーをねじ伏せて栄冠を勝ち取った。「あのアクシデントがあったとき、今日の僕らにチャンスはないと思っていた。ヨーロッパのル・マン・シリーズでは不運なことばかりだったけど、ここでは幸運が待っていたよ」と大喜びのマクニッシュ。信頼性だけでなくプジョー以上のスピードを見せ付けたことで、アウディ帝国の時代がまだまだ続きそうだ。

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プジョーは目立ったトラブルがなかったにも関わらず、優勝を逃してしまった。予選でしのぎを削った1号車のアウディがレース前にアクシデントを起こし、07号車のプジョーは余裕のスタートでトップを快走するが、レースの3分の1も経たないうちにアウディの先行を許してしまう。“速さはあるが、信頼性に乏しい”といわれていたプジョーは、いつもの速さを見せることなく、アウディに総合優勝を奪われた。

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LMP2クラスは予選同様ペンスキー・ポルシェが快進撃を続け、ライアン・ブリスコー/エリオ・カストロネベス組の5号車が、クラス・ポールからクラス優勝を勝ち取った。一時は総合トップに躍り出る活躍を見せたものの、今回はLMP1クラスの壁が厚く、総合4位でフィニッシュ。クラス2位にはアキュラ勢のハイクロフト・レーシングとタイトルを争う7号車が入り、ハイクロフトがレース序盤で戦列を去ったため、見事に2008年のシリーズ・チャンピオンを確定させた。さらに6号車のペンスキーが3位に入り、ペンスキーがトップ3を独占。6号車は“グリーン・チャレンジ”のプロトタイプ・クラスでの優勝も果たし、ペンスキーにとっては最高の週末となった。

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ブリスコーとともに優勝の喜びを体で表すエリオ・カストロネベス。実はこのレースが行われる前日、脱税の容疑で起訴され、マイアミで裁判を受けていた。ロイター通信によると、カストロネベスは妹や弁護士と共謀し、アメリカ国内の所得555万ドル(1ドル105円で約5億8000万円)を隠していたとのこと。検察当局によれば最高で35年の禁固刑になる可能性もあり、カストロネベスはレースどころではなかった。なんとか億単位の保釈金を納めてレースに出場したカストロネベスは、レース外のごたごたをまったく感じさせず優勝を飾った。脱税に関してカストロネベスは無実を主張し、徹底抗戦の構え。裁判期間中はアメリカ国外への渡航が許されず、2週間後に迫ったサーファーズ・パラダイスのインディカーも出場が微妙となっており、今後の動向に注目が集まる。

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ペンスキーとは対照的に厳しいプチ・ル・マンとなってしまったアキュラ勢。完走できたのはド・フェラン・モータースポーツのみで、他の3台は不運なアクシデントやトラブルによって戦線離脱を余儀なくされた。7号車ペンスキーとタイトルを争うハイクロフト・レーシングは、木曜日の大アクシデントから復活を遂げるが、スコット・シャープがレース開始から1時間も経たないうちにターン11のウォールにヒットしてしまう。ガレージに戻って必死の修復に取り掛かるものの、最後までコース上に戻ることができず、無念のリタイア。最終戦を残してチャンピオンの可能性が消えてしまった。

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フェルナンデス・レーシングは、ルイス・ディアスがレース中盤にGTクラスのマシンと接触。マシンはそのままターン3のウォールにも当たってリアサスペンションに大きなダメージを負ってしまい、ハイクロフトと同様にリタイアへ追い込まれた。「不運としか言いようがないね。今日のために一生懸命作業してくれたクルーには申し訳ないよ。フェラーリを問題なくパスしたと思ったんだけど、そのときにとても悪い事が起こっていたようだ。最悪な気分だけど、ラグナ・セカでは良いレースができると良いね」とアクシデントを振り返るディアス。アキュラはレース中盤で早くも2台がリタイアで姿を消した。

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さらに不運は続き、LMP2クラスの優勝争いをしていたアンドレッティ・グリーン・レーシングにも悪夢が襲った。レースは残り1時間を切り、フィニッシュに向けて快走を続けていたフランク・モンタニーの前で、ローラを駆るジョージ・フォージスがスピン。モンタニーはこのアクシデントを避けることができず、フロント・サスペンションに致命的なダメージを負ってしまい、見えていたクラス優勝を棒に振った。「一台のマシンが右側でスピンし、もう1台が左側でスピンしたんだ。なんとか避けようと思ったけど、デブリがマシンに当たってしまった。僕にできることは何もなかったよ。LMP2クラス優勝のチャンスがあっただけに不運だったね」とうなだれるモンタニー。デトロイトの総合優勝から一転して失意のプチ・ル・マンとなったが、最終戦ラグナ・セカではリベンジを果たして欲しい。

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アキュラ勢唯一の完走を果たしたド・フェラン・モータースポーツ。レース序盤でスピンを喫し、イグニッション・トラブルにも見舞われるなか、苦しみながらもクラス5位(総合8位)でフィニッシュした。今シーズン第4戦から参戦しているド・フェラン・モータースポーツにとっては、初めてとなる8時間以上のレース。オーナー兼ドライバーであるジル・ド・フェランは、2003年のインディ500以来となる長丁場のドライビングとなった。1999年以来のスポーツカー・レースを終えたスコット・ディクソンは、「素晴らしい体験になったよ。できればセブリングに時間を戻したいくらいだね。インディとデイトナ24時間では優勝したから、セブリングでも優勝したいんだ。この機会を与えてくれたジルとチームは感謝してる。楽しいひと時だったよ」と満足げに語る。残念ながらアキュラ勢のチャンピオン獲得は夢と消えてしまったが、最終戦ラグナ・セカでは今シーズンの有終の美を飾ってくれはずだ。

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レース・ウィークの4日間をとおして天候に恵まれたロード・アトランタ。朝のうちの冷え込みがあるものの、日中は29度まで気温が上昇し、まるで夏に戻ったかのような暑さとなった。決勝日ということもあって、コース内は多くのファンがあつまり、スポーツカー・レースに酔いしれる。今年は予選レコードが2.5秒も更新されるなど、各マシンのスピードアップが著しい。そのため10時間/1000マイルに設定されているレースは、多くのコーションが発生したにも関わらず、トップの1号車は10時間掛からずに1000マイルを走破した。今シーズンも残すところあと1戦。最終戦ラグナ・セカではどんなドラマが用意されているのだろうか。