<US-RACING>
注目のアウディVSプジョーによる予選対決は、セッション終盤に渾身のスーパーラップを決めたプジョーに軍配があがった。ドライバーのステファン・サラザンはコース・レコードとなる1分6秒242を記録。昨年アウディのマルコ・ベルナーがマークした1分8秒906を2.564秒も更新する驚異的なタイムで、開幕戦セブリングに次ぐ総合ポール・ポジションを獲得した。「ほんとうに嬉しいね。僕たちにとっても、チームにとっても良い結果を残すことができた。すでに明日のレースで良いスタートを切って、長いレースを戦うことに集中している。今は3月のセブリングとは違うんだ」と自信を見せるサラザン。今シーズンのプジョーはセブリング12時間、ル・マン24時間と、いずれもポール・ポジションを獲得しながら、いつもトラブルに泣かされてきた。今年最後のビッグ・イベントで3度目の正直となるだろうか?
わずか0.075秒差で惜しくもポールを逃したアウディ。1号車のアラン・マクニッシュがセッション開始早々に1分6秒327の素晴しいタイムをたたき出すが、そこからタイムを縮めることができず、最後にプジョーの逆転を許すことになった。開幕戦セブリング以来となるアウディとプジョー対決は、今のところ両者の実力が拮抗している。セブリングでは驚異的なペースで逃げるプジョーをアウディが追いかけるという展開となったが、明日の決勝で両者の関係がどう変化していくのか注目だ。
LMP2クラスはペンスキー・ポルシェがトップ3を独占。ライアン・ブリスコーが駆る5号車を先頭に、7号車、6号車と続き、アキュラ勢を圧倒した。昨日からトラブルが続出しているアキュラ勢に対し、ペンスキーはトラブル・フリー。チャンピオン争いの観点でも絶倒の位置からスタートを切ることになった。「またポルシェに乗れたことを楽しんでいるよ。このコースで僕たちのマシンが速いことは明らかだね。僕たちが少しずつ前進し続けていることが分かると思う。ポルシェは前に進み続けているんだ」と喜ぶブリスコー。明日の決勝はLMP2クラスの天王山となる。
アキュラ勢のトップはアンドレッティ・グリーン・レーシング。午前のプラクティスでフランク・モンタニーがクラッシュを演じるハプニングがあったものの、クルーによる懸命の修復で予選には何とか間に合った。クルーの期待に応えたいドライバーのモンタニーは、すぐさまペンスキーと互角のスピードを見せ、クラッシュの悪夢を払拭。残念ながらペンスキーの牙城を崩すにはいたらなかったが、P2クラス4位(総合7位)のグリッドを獲得した。「クルーは素晴しい仕事をしてくれたね。ブレーキに引っかかりがあって十分スピードを上げられなかったけど、マシンはとても良い状態だよ。明日は僕たちに何ができるか見てほしい。レースは長いし、いろんなことが起こるだろうからね」とモンタニー。決勝ではLMP2トップ3を独占したペンスキー勢をなんとか追撃したいところだ。
昨日のプラクティスで大クラッシュを喫したハイクロフト・レーシング。シャシーをタブごと交換しなくてはいけないほど、マシンに深刻なダメージを受け、丸一日修復に費やさなくてはいけなかった。一夜明けた金曜日、午前のプラクティスの車検までにマシンの準備が整わず、結局予選はぶっつけ本番で挑むことに。それでもステアリングを握るデイビッド・ブラバムは、ベテランらしくラップ・タイムをまとめあげ、苦しみながらも総合12位のグリッドを確保した。ドライバーズ・タイトルを争う7号車ペンスキーは予選5位と溝をあけられているが、10時間の長丁場となる決勝で逆転を誓う。
午後の予選を控えた午前11時、アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)から来年のスケジュールに関する発表が行われ、カンファレンス・ルームには多くのメディアが集まった。まずALMS創設者ドン・ペイノズ博士が挨拶を行い、続いてALMSのCOOティム・メイヤーが来年のスケジュールを発表。2009年シーズンは昨年、一昨年とほぼ変らないが、11月に行われる富士と上海のノン・チャンピオンシップ・レースにアメリカン・ル・マンからも出場することが明らかになった。気になるインディカー・シリーズとの併催は4レース。セント・ピーターズバーグ、ミド‐オハイオ、デトロイトは今年と同じだが、来年からインディカー・シリーズを開催するロング・ビーチが新たな併催イベントとなる。その後、ALMSのCEOスコット・アサトンが今後の方向性を話し、1時間ほどのカンファレンスはグリーン・チャレンジのトロフィーが紹介されて終了となった。
■アメリカン・ル・マン・シリーズ2009年シーズン
・1月26日―28日 ウインター・テスト セブリング
・3月21日 セブリング12時間レース
・4月4日 セント・ピーターズバーグ
・4月18日 ロング・ビーチ
・5月17日 ミラー・モータースポーツ・パーク
・7月18日 ライム・ロック・パーク
・8月16日 ロード・アメリカ
・8月30日 モスポート
・9月5日 デトロイト
・8月26日 プチ・ル・マン
・10月10日 ラグナ・セカ
■ノン‐チャンピオンシップ・アジア・ル・マン・シリーズ
・11月1日 富士スピードウェイ
・11月8日 上海
今朝は雲が多い空となったロード・アトランタ。曇っていたおかげで、昨日より朝の寒さが和らいだように感じたが、13度しかなく上着が必要だった。それでも日中は28度まで気温が上昇し、まだ夏の暑さが後を引いているように感じる。昨日から増えだした観客は、今日の予選日には溢れんばかりに膨れ上がり、コース敷地内には多くのキャンピングカーが並べられ、長時間に及ぶ耐久レース観戦のためにテントもたくさん設置されていた。ロード・アトランタではかつてのIMSAシリーズも行われており、観客は耐久レースの楽しみ方をよく心得ている。今年で11年目を迎えるプチ・ル・マンを大いに盛り上がりそうだ。