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アメリカン・ル・マン・シリーズ 第1戦 セブリング[予選]フォト&レポート

<US-RACING>

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セブリング12時間レースの公式予選が行われ、記者会見には各クラスのトップが出揃った。LMP1クラスを制したのはやはりアウディ。ドライバーは昨日のプラクティスでもトップ・タイムを出したマルコ・ワーナーだ。「準備は万端だったんだ。昨日から幾つか進歩したからね。予選前のプラクティスもマシンが良くて45秒台は出ていたけど、予選はそれよりも良かった。たぶんいくらか改良できると思うが、現時点で僕らができるベストのマシンだよ」と話す。ワーナーが記録した1分44秒974のタイムは、一昨日同じアウディのアラン・マクニッシュがマークしたコース・レコードをコンマ2秒も上回るものだった。LMP2は下馬評どおりペンスキーのポルシェRSスパイダーがポール・ポジション。「マシンはほんとうに完璧だよ」と話し始めるポール・タイムをマークしたバーンハード。「長い間アタックするタイミングをうかがっていたんだ。1周目の後にすべての条件が揃い、僕たちもマシンのポテンシャルをすべて引き出すことが出来た。レースに向けてベストな戦略もある。LMP2でのレースはタフになるはずだよ」と抱負を語った。決勝レースがLMクラスとの混走で行われるGTクラスの予選では、GT1でコルベットC6Rを駆るヤン・マグヌッセンが、そしてGT2ではフェラーリ430GTベルリネッタに乗るジェイミー・メロがそれぞれポールを勝ち取った。

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いよいよ土曜日の決勝でALMSのレース・デビューを飾るアキュラが記者会見を開き、HPD社長のロバート・クラーク、シャシー開発担当のニック・ワースが出席した。これにあわせてクラージュ・シャシーを発展改良したアキュラARX01Aが正式にお披露目された。「ここまでの道のりは長く、険しいものだった」と話すクラーク。「11ヶ月前の参戦発表から、アキュラ、HPD、チーム、そしてスポンサーの皆さんのおかげでここまで来ることが出来た。私はこのプログラムを誇りに思う」と続けた。アキュラがレース活動を行うのはIMSAシリーズ以来となるが、100%メーカーによるワークス活動はALMSが初めてとなる。また、日本のホンダが一切かかわらない初めてのレース活動でもあり、「ホンダにとって、とても大きな一歩だ」とクラークは強調する。今週末のレースに向け、「HPDでデザイン、開発、生産のすべてを行った世界初のエンジンで、土曜日にいい結果を出したい」と抱負を語った。

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そのアキュラ勢のトップはハイクロフト・レーシングのデイビッド・ブラバム。マークされた1分47秒109のタイムは、今週のテストを含めたアキュラ勢のトータル・ベストだった。順位もポルシェ勢に割ってはいるクラス2位の活躍。「クルーはほんとうに一生懸命働いてくれたよ。ずっとプレッシャーがかかっていたと思うけど、予選のために素晴らしいマシンを用意してくれた。そしてマシンを限界まで走らせることができ、良い予選結果を出すことできたんだ。これはチーム、アキュラ、スポンサーにとってほんとうに素晴らしい結果だよ」とブラバムは語り、決勝レースに向けて大きな期待を持たせてくれた。ここまで好調を維持し続けるアンドレッティ・グリーン・レーシングはクラス4位に入り、ローラ・シャシーを使うフェルナンデス・レーシングはクラス6位。トップから7位までポルシェとアキュラが交互に並ぶ結果となったため、決勝でも白熱したレースが見られそうだ。

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LMP1、LMP2の予選タイムアタックがスタートしてわずか3分後、1周目のタイムアタックに挑んだLMP1クラスのカーナンバー37、ジョン・フィールドが最終コーナーでスピン。マシン後部からタイアバリアに激しく接触した。ほぼ減速できない状況で接触したため、タイアバリアのブロックが二つも吹き飛び、そのひとつはなんとさらに奥のタイアバリアの上に乗ってしまうほどだった。ドライバーはなんの問題もなかったようで、セーフティ・クルーと一緒にマシンを引きずりだしている姿は健気だった。

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午後7時45分から行われる予定だったナイト・プラクティス。しかし、6時ごろからセブリングを襲った嵐の影響で、セッションのスタートが延期される。再開予定の8時10分にはすでに嵐が去って路面は乾きだしたが、さらに20分予定が延び、ようやくグリーン・フラッグとなったのは8時30分だった。90分のナイト・セッションでは、全車ウエット・タイヤでの走行を強いられた。9時になると34台中30台ものマシンがコース上を走り、トラフィック状態となる。その中でトップとなったのはカーナンバー1のアウディを操るリカルド・カペッロ。同じアウディのエマニエル・ピロをコンマ1秒で退ける2分1秒602をマークするが、9時38分にターン11で他のマシンとの接触を避けようとしたところ、次のターン12でクラッシュしてマシンを大破させてしまった。幸いカペッロは自分でマシンを降り、体に問題はなかったが、ここまで順調だったアウディ勢は最後に手痛いダメージを負う羽目になった。LMP2のトップはオーナー兼ドライバーのダンカン・デイトンが操るハイクロフト・レーシングのアキュラ。2位にはアンドレッティ・グリーンのトニー・カナーンが入り、アキュラのワン・ツーでセッションを終える。ウエット・セッションだったとはいえ、アキュラが今週初めてポルシェ勢を上回るパフォーマンスを見せる結果となった。

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ALMSはアウディやポルシェといったメーカーが中心となって参戦しているので、ヨーロッパからも多くのメディアが来ている。メディアセンターでは、フランス語、ドイツ語などの会話も聞こえてきて、写真を見る限りはいつもと一緒だけど、IRLなどのいつものメディアセンターとはちょっと雰囲気が違う。客層もNASCARなどとは違い、なんというか身なりのいい人たちが目立つ。観戦スタイルこそ同じだけど、ル・マンだけに少しヨーロッパ風な雰囲気があります。

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コース内にちゃんとエスプレッソが飲める出店があるのが、ちょっと他のコースと違うところ。アメリカ国内の他のレースやサーキットで、このような出店はあまりみたことありません。飲んでみたが、これが結構美味しい。今週末、何度か飲みに行くことになるでしょう。

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夕方から凄く激しい雨が降り出して、もうコースはちょっとした小川になっていた。外のテントで雨宿りをしていたのだが、横殴りの雨だったのでトイレに非難。そこでちょっと気になるものを発見した。

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ひとつはこのポスター“24 Hours of America”。これゴーカートの24時間レースなんですね。今年はすでに終了したようで、来年は1月11日から13日まで開催されます。セブリング12時間は今年で55回目ですが、このイベントは来年で2回目という新鮮さ。しかも参加者の平均年齢は39歳と高め。大人の趣味にしては、結構ハードな耐久レースです。

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もうひとつはチップの国アメリカならではのワンカット。アメリカでは飲食店を中心としたサービス業でチップを支払うのが常識ですが、たまにトイレの清掃係にもチップを渡すことがあります。ここでは洗面台脇のハンドソープボックスの上にチップ缶が意味ありげにおいてありました。このような場合は、設置した清掃係もチップが入っていればいいなぁ、程度で置いているのでしょうね。ミルウォーキーのように、本気でチップを貰いたい清掃係は、入り口に居座っていますから。