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アメリカン・ル・マン・シリーズ 第12戦 ラグナ・セカ[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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アメリカン・ル・マン・シリーズ最終戦は、前戦のプチ・ル・マンを思い起こさせるレースとなった。アウディとペンスキー・ポルシェはスタートから壮絶な接近戦を演じ、0.41秒という僅差で1号車のアウディが総合優勝を手にする。緊迫したドッグファイトが始まったのは4時間レースの残り30分。5回目のリスタート時にリードを奪った1号車のアウディは、コース幅を目一杯使って7号車のペンスキーを押さえ込んでいく。レースが残り15分となったときからは、毎周のようにホームストレートでペンスキーに並ばれかけるが、アウディ持ち前のトルクとパワーを最大限に引き出し、ペンスキーのオーバーテイクを許さなかった。その後、2台はフィニッシュまで1秒以内の手に汗握る攻防戦を繰り広げ、最後まで隙を見せなかったアウディのステアリング握るディンド・カペッロに軍配が上がった。「最後の15分はほんとうにきつかったよ。どのラップでも並びかけられていたんだ。ミスをせず、出来るかぎりブレーキングを遅らせようとしていた。このレースはプチ・ル・マンよりうまくいった。少なくともロード・アトランタでは、ここにはない長いストレートでアドバンテージを得ていたからね」と興奮気味に語るカペッロ。2号車のアウディも6号車のペンスキーとの壮絶な3位争いを制し、今シーズン何度も苦汁を嘗めさせられてきたペンスキーを見事に打ち負かした。

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アウディにあと一歩及ばなかったペンスキー・ポルシェの2台。フロント・ローを独占し、序盤から激しいポジション争いを繰り広げながらも、最後はアウディの軍門に下った。終盤アウディにリードを許した後も果敢に攻め立て続け、何度もホームストレートで並びかけるが、ついに決定打となる突破口を見出すことができずにフィニッシュを迎える。7号車は1号車のアウディ、6号車は2号車のアウディにそれぞれコンマ4秒届かず、2位と4位で涙を呑んだ。「最高のレースだったね。アトランタではセーフティカーによってギャップを奪われたのが、少し残念だったけど、今夜はとにかく最高のレースだった。ベストを尽くして、何回もオーバーテイクするチャンスはあったと思う。来年はぜひホームストレート上にシケインを作って欲しいね。今日は最後までフェアにレースが出来たよ」と話すドライバーのロメイン・デュマス。有終の美は飾れなかったものの、残り30分のアウディとの死闘は、レーシング・ヒストリーに残る一戦と語り継がれるようなドッグファイトだった。

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アキュラ勢はアウディとポルシェの後に続き、フェルナンデス・レーシング(FR)の5位が最上位だった。アンドレッティ・グリーン・レーシングはFRに続く6位。ハイクロフト・レーシングは残念ながらリタイアに終わった。6番手スタートのFRは序盤からウエイト・バランスの問題に苦しみながらも、90周目の素早いピット作業に乗じて、総合3番手にジャンプ・アップする。ところが日が暮れて路面温度が下がると、タイヤの温度が上がらないためにマシンバランスが狂い始めた。これには幾多の歴戦を戦い抜いたオーナー兼ドライバーのアドリアン・フェルナンデスも苦戦を強いられ、コース上でポジションを6番手まで落としてしまう。126周目に行った最後のピット・ストップで再び順位を4番手まで取り返すが、タイヤ温度の問題は最後まで解消されず、苦しみながらも5位でフィニッシュした。「すばらしいレースだったよ。僕たちをサポートしてくれるすべての人にとってよい結果になった。スタートから幾つか問題はあったけど、マシンは速かった。最後の30分には親友であるトニー・カナーンともすばらしいバトルが出来たよ。できれば黄色いペンスキーを一台出し抜きたかったが、今日はちょっと運がなかったね。それでも良い結果を出せた。チームを誇りに思うし、また来年が楽しみだよ」と満足した様子のフェルナンデス。今週末はコンディション変化に弱いローラ・シャシーの弱点が出てしまったが、ベテランらしい味のある走りで結果を残した。

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アンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)はアキュラ勢最上位の3番手からスタートしたが、アウディとのポジション争いでアグレッシブになりすぎ、スタート直後のターン2でスピンを喫してしまう。幸いグラベル上に止まったマシンは、他者から接触を受けずに済んだため、再び戦列に復帰した。いったん最後尾近くまで順位を落としたが、ブライアン・ハータとトニー・カナーンのコンビが凄まじいリカバリーを見せ、次々に前車をかわして6番手まで挽回。ピット・タイミングの違いから一時は3番手を走ることもあった。だが、アウディとペンスキーの牙城は崩せず、結局6位でフィニッシュ。奇跡的な追い上げを見せていただけに、序盤のスピンが大きな痛手となってしまったが、来年に繋がる力走だった。ちなみドライバーを務めたトニー・カナーンは、この後11月18日に鈴鹿で行われるフォーミュラ・ニッポンの最終戦へ出場することが決まった。2004年のIRLチャンピオンが、もてぎ以外の場所でどんな走りをするのか非常に興味深い。

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4番手からスタートしたハイクロフト・レーシングは、スタート・ドライバーのデイビッド・ブラバムがいきなりスピンを演じてしまうが、なんとか挽回して1回目のピット・ストップ後には3番手までポジションを上げた。ところが90周目、ステファン・ヨハンソンの走行中にタイヤがパンクし、スローダウン。さらにターン6では16号車のダイソン・ポルシェから追突され、グラベルに止まったマシンはそのままリタイアを強いられた。「ほんとうに何て言ったら良いのかわからないよ。かなりがっかりしている。今日はレースに勝つことが出来ると思っていたんだから。最初の接触はすごい衝撃で、運悪く完全にコースの外に押し出されてしまった。ダメージはボディだけで、サスペンションは問題ないように見えたが、コースに残れたとしても、そのまま走れたかどうかはわからない。速さはあるけど、優勝にはなかなか届かないね」と落胆するヨハンソン。最終戦は残念な結果に終わってしまったが、今シーズンの活躍によってLMP2クラスのドライバーズ・ランキング3位を確定させた。

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唯一の日本人ドライバーとして、ザイテック・モータースポーツからALMSに参戦した下田隼成。13番手スタートから順調に周回を重ねていたが、レース終盤の112周目にターン6の立ち上がりでバランスを乱し、ターン7のウォールに激突してしまう。マシンは大きなダメージを受けそのままリタイア。幸い下田自身に怪我はなかったが、今週末は終始マシンのパフォーマンスに苦しめられ、2年前の再現とはならなかった。

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毎戦フェラーリとポルシェが一進一退のバトルを繰り広げているGT2クラス。最終戦もこれまで以上の激しい戦いとなり、レースの残り25分でポルシェからリードを奪い取ったフェラーリのミカ・サロが、クラス優勝を決めた。同時に今シーズンのクラス・チャンピオンシップのタイトルも獲得した。一方GT1クラスは再びコルベットのみの参加となり、オリバー・ベレッタとオリバー・ガヴィンのオリバー・コンビがクラス優勝を手にした。

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快晴となったラグナ・セカ・スピードウエイ。気温は一日中17〜18度で安定していたが、日が暮れてくると、さすがに寒さが増した。体感温度では10度前後に感じられ、手が冷え切ってしまうほどだった。写真はターン1を正面から撮ったもの。ALMSのマシンがホームストレートを駆け下り、タイトなヘアピンへ飛び込んでくる。アメリカ伝統のオールド・コースだけあって、コースの脇に集まった観客は、やはりキャンピングカーでやってくるアメリカン・スタイルの人達が中心だった。

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気持ちよいほどの秋晴れのなか2時45分に4時間レースの幕は開け、6号車のペンスキー・ポルシェがホールショットを奪う。2番手には7号車のペンスキーが続いた。アウディと2ワイドになった3番手スタートのAGRのマシンは、この直後にスピンを喫してしまう。4時間にも及ぶ長丁場のレースでありながら、アウディとペンスキーがスタートからフィニッシュまで激しく総合優勝を争い、フィニッシュ・シーンは前戦のプチ・ル・マンよりもさらに僅差の0.41秒差だった。

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最終戦は偶然にも今シーズンのクラス・チャンピオンシップを獲得したドライバーがレースを制した。彼らはまさに有終の美を飾って、今シーズンを終えることになった。レギュレーションの変更によって2007年シーズンはより接近したレースが演出され、いくつものドラマが生まれた。特にプロトタイプ・クラスのアウディとペンスキー、GT2クラスのフェラーリとポルシェは、毎戦のように激しく火花を散らした。長かったシーズンの最終戦が終わったばかりだが、すでに2008年シーズンの開幕が待ち遠しい。