INDY CAR

第13戦ソノマのベスト・ショット&撮影裏話!

シーズンも終盤に入って3連戦がスタート。その緒戦となったソノマのレースを終え、無事にLAまで車で戻ってきたのも束の間、現在はシカゴに向かっていますよ。インディ・ジャパン開催が近づくにつれ、なにかと忙しくなってきている今日この頃。今回の3連戦はけっこう大変ですが、がんばりどころなんでね、しっかりこなしていきたいと思います。
 
今シーズン、最後のロード・コースとなったソノマのインフィニオン・レースウエイ。サンフランシスコのダウンタウンから北に向かい、ゴールデンゲートブリッジを通って101号を北上し、サン・ラファエルという街を通過します。その後37号線を東に向かうとカリフォルニア・ワインの産地として有名なソノマやナパ・バレー方面へ行く121号が出てくるので、それを北上するとすぐ左手にサーキットがあります。サンフランシスコから車で1時間くらいの場所ですかね。
 
ちょっと長めの休暇が取れて、しかもワインとレースが大好きといった人たちにとっては最高の場所だと思います。ワイナリー巡りをしたあとに、そこで購入した地元のワインなんかを飲みつつ、レース観戦もできるような場所はそうないです。一度に二度も楽しめちゃう。サンフランシスコも良い街ですし、来年の夏休みにどうでしょう?
 
このインフィニオンは、2005年にインディカー・シリーズが初めて常設ロード・コースのレースを開催した場所です。僕もこの年に行われたテスト走行で初めて撮影をしたのですが、第一印象はやはり、同じ西海岸沿いのサンフランシスコから車で2時間ほど南にあるラグナセカに似ているなと思いました。
 
ラグナセカはCART時代に何度も取材をしましたが、このインフィニオン・レースウエイは取材するチャンスがなかったんでね、初撮影の時はコースマップとにらめっこ。良さげな撮影場所に目星をつけてその場所を目指したのですが、ターン1から2までの急勾配の坂道を歩いただけでね、簡単に息が上がりました。このコースは身体には優しくないなって思いましたよ。
 
それでもその頂上付近からはコース全体が見渡せ、その先に広がるカリフォルニアならではの光景といい、他のロードコースにはない特徴がありました。いざ撮影を始めてみると、アップダウンの激しいコースだけに、きれいな空抜けの写真が撮影もできます。ある意味、アメリカ的で奥行きのある、開放的な背景が広がる写真が撮影できるコースだなと思いますね。
 
今回はそんなインフィニオンならではの写真を選んでみました。
 

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シリーズ新記録となるシーズン8度目のポールを獲得したウィル・パワーは、レースでも危なげない走りを見せ、勝つことが当たり前かのようにポール・トゥ・ウィンを達成。今年から設けられたロード・コースでのチャンピオンに与えられる、マリオ・アンドレッティ・トロフィを受け取りました。
 
ロード・コース最終戦となるこのインフィニオンでその授賞式が行われことになっていたのですが、このコースはウィナーがゴールしてチェッカー・フラッグを受けるシーンが撮影できて、そのあとに大急ぎで走って行けば、ウィナーよりも先にビクトリー・サークルにたどりつくことができるのです。
 
息を切らせながら、人ごみを掻き分けて表彰式を撮影するための指定されたひな壇にたどりつくと、まだウィルはマシンの中。ふー、と一息ついて、フラッシュなどをカメラに装着し、マシンから飛び出るウィルを待ち構えます。
 
いつもクールな感じであまり喜びを見せないウィルですが、このときばかりはね、とても良い笑顔。まだシーズンは終ってないのですが、まず、完璧なレースで勝てたこと、そしてひとつの区切りでもあるロード・コースでのチャンピオンを獲れたことが、ほんとうに嬉しかったんでしょう。
 
チャンピオンシップではリードを広げていますが、残り4戦はまだ優勝したことのないオーバル戦。ウィルのオーバルでの活躍、楽しみですね。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 24-105mm f/4 L IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/125
絞り値: F6.3
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 28.0mm
露出補正: +1
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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最後のロード・コースとなったこのインフィニオンで、予選14位からスタートし、17位でフィニッシュした武藤英紀。終盤に他のマシンと接触し後退してしまったので、次戦から続くオーバル戦では無事に走って欲しいですね。
 
この写真はターン3aを駆け上がってきて、次のくだりのターン4に向かう前、このコースでは最も高い頂上付近となります。背景がぱっと広がって、とても見晴らしの良い場所ですね。
 
このような、その土地の感じが伝わる背景をバックに入れ込んだ写真というのも、高低差の激しいインフィニオンならでは。緑に囲まれたワトキンスグレンやミド−オハイオとはちょっと違う、西海岸ならではの乾燥した景色が広がっていますね。
 
今後オーバルのレースが続きますが、次戦のシカゴランドは英紀のアメリカでの地元であり、チームの地元でもあるだけに期待しましょう。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/400
絞り値: F11.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 110.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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このインフィニオンではめずらしく伸び悩んだ佐藤琢磨。これまでのロード・コースの予選ではすべてファスト6まで残っていただけに、予選17番手はある意味とても意外でした。それでも決勝では10番手までポジションアップしたのですが、不運にもレース終盤にマシントラブルに見舞われ、ダニカとの接触で後退を余儀なくされて18位フィニッシュとなりました。
 
この写真は英紀のカットの撮影ポイントにとても近い場所で、これからターン4に向かって駆け下りる直前のマシンを、ターン4側から撮影したものです。アップダウンが激しいインフィニオンならではの、空抜けカットですね。
 
この撮影場所ですが、午前中はほぼ逆光となるので、いつも午後に撮影に行きます。空抜けの写真はやはりバックの空の色が重要なのでね、カリフォルニアならではのブルー・スカイとなるよう、タイミングを見計らって行かないといけません。
 
移動用のバイクやゴルフカートがあればいいんですけど、ここまで来るのはけっこう大変。レース中に一度試したことがありますが、あの時はかなり走りましたし、とっても疲れました。機材をもって走るのはね、通常のジョギングとはもう桁が違うほど疲れがどっと押し寄せるので、身体にやさしくないです。はい。
 
ともあれ、この写真もインフィニオンでは欠かせないカットのひとつです。琢磨も凱旋前に続くこれからのオーバル・レースでの活躍に、期待したいですね。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F9.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Text & Photo by Hiroyuki Saito
 
※こちらが今回のPick the Winnerの当選者の方にプレゼントする写真です!