<US-RACING>
ホームステッドのオープンテストは最終日を迎え、ライアン・ブリスコーがディフェンディング・チャンピオンのスコット・ディクソンを抑えてトップ・スピードをマークしました。トータル109周を走りこんで、212.156マイルを記録。212マイルに突入したのはブリスコーだけでした。昨年のミルウォーキーでシリーズ初勝利をあげてからのブリスコーの成長は、目を見張るものがありますね。今シーズンはタイトル争いに加わってシリーズを盛り上げてくれるでしょう。
わずかにブリスコーに及ばなかったスコット・ディクソンですが、こちらも仕上がりは順調のようです。今日、ディクソンが走った周回数は誰よりも多い182ラップ。ロード・コースの1レース分を軽く超える436.8キロを走行しているんですよ。チャンピオンとなってもおごらずにテストに打ち込むまじめさが、ディクソンの強さの源なんだと改めて思いました。
マルコ・アンドレッティが3位につけて、ペンスキー、チップ・ガナッシ、そしてアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)という三強が揃い踏みとなりました。昨日はスピードが伸びずに“今シーズンのAGRは大丈夫か!?”と思いましたが、やはりAGRはAGRでしたね。チームメイトのトニー・カナーンは4位、武藤英紀が10位となり、トップ10に3台のマシンが入りました。アンドレッティのマシンは大幅にカラーリングが変更されて、気持ちを新たに今年こそオーバル初勝利を狙いたいところです。
武藤英紀は前日に続いて決勝用のセット・アップを煮詰めていました。序盤は昨日と同様にスピードの伸び悩みがあったようですが、中休み明けからAGR全体にスピードアップが見られ、武藤も昨日の16位から10位にジャンプ・アップ。レース用のセットアップも良い仕上がりだということで、コメントからも自信が伝わってきます。今年の活躍がますます期待できますね。
「今日は予選の練習もしましたが、時間がなくて完璧にはできませんでした。もう少しスピードが上がっても良かったけど、マシンは良い仕上がりになっていますね。前半では思ったよりもスピードが伸びず、速度を上げたらマシンが安定しない状況でしたが、今では両方とも問題点が解決していると思います。ライバルの状態はわかりませんが、走行中にディクソンを抜くこともできたので、かなり良い仕上がりになっていますよ」
KVレーシングを離れ、ペンスキー入りを決めたウィル・パワー。ただし、今シーズンのレースに出場できるのかは、脱税容疑で起訴されているカストロネベスの公判しだいとなります。今日はチームメイトのブリスコーから0.1930秒差の6位で、チーム加入最初のテストから良いところを見せています。カストロネベスにはぜひ戻ってきて欲しいですが、若手のパワーがペンスキーでどんな走りを見せるかも興味があるところ。カストロネベスが無罪になることと、ペンスキーが3台体制になってくれないかと願うばかりです。
チャンプ・カーで活躍したロバート・ドーンボスが、ニューマン/ハース/ラニガン・レーシング(NHLR)からインディカーに参戦します。オランダの銀行であるINGがスポンサーになると噂されていますが、詳細は後日決定されるということで、今回は彼のアメリカでのニックネームである、ボビー・ディ(Bobby D)というロゴがでかでかと貼られていました。トップ・チームに優秀なドライバーが加わったわけですから、当然速い。ドーンボスはオーバルの経験がないにも関わらず、初日から7位の結果を残し、関係者をあっと驚かせていました。
ロジャー安川をインディ・ジャパンに出場させるドレイヤー&レインボールドは、マイク・コンウェイをレギュラー・ドライバーに指名しました。昨年のチーム体制を一新して、若手ドライバーにチームを託したようです。コンウェイはGP2で活躍するかたわら、ホンダやスーパーアグリといったF1チームのテスト・ドライバーも務めた経験があり、早くからその速さに定評がありました。今日のテストではルーキー勢トップの8位に入っています。マトスやドーンボス、そしてコンウェイなど、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーも激戦が予想されます。
ミルカ・デュノがNHLRからテストに参加しています。正式な契約にはいたっていませんが、CITGOのスポンサーをバックに、契約はほぼ合意に至っているということで、NHLRはチーム創設から初めて3台体制になりそうです。台数拡大にともない、シャシーはヴィジョン・レーシングから調達し、クルーのメンバーのほとんどは元チャンプ・カーで活躍した人たちが集められました。マシンが良くなれば走りもかわるのか、デュノのスピードも見違えるほどです。今回のテストがNHLR加入の最後の一押しになると良いですね。
デイル・コイン・レーシング(DCR)では意外な人がテストしていました。昨年までNHLRのエースとして戦っていたジャスティン・ウイルソンです。スポンサーの関係で残念ながらNHLRのシートを失っていましたが、今年もアメリカでのレース活動を続けたいようで、DCRに最後の望みをかけています。一方、DCR側も引き続き2台体制を敷く予定があり、その一人にウイルソンを迎えることを熱望しているとのこと。オーナーのデイル・コインはチームの戦力アップに自己資金を投入しているそうで、今年にかける意気込みが伝わってきます。
今日もホームステッドは朝から快晴。一日を通して少し蒸し暑い感じはありましたが、やはり日陰になると薄手のシャツが必要です。それでも、両日とも天候に恵まれて今シーズン最初のオープンテストを行えたことは、チームにとって良かったでしょうね。次回のオープンテストは、3月22日と23日にアラバマ州バーバー・モータースポーツ・パークに移り、ロード・コースのテストが行われる予定です。開幕2戦のセント・ピーターズバーグとロング・ビーチはどちらもストリート・コースですから、レースの結果につながる重要なテストになるはずです。今回は21台のマシンが参加しましたが、次のテストではさらに台数が増えることを期待しましょう。