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アメリカン・ル・マン・シリーズ 最終戦 ラグナ・セカ【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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LMP2の独壇場となった予選から一転、10番手スタートのLMP1クラス2号車アウディが大逆転の勝利を収めた。昨日の予選で苦汁をなめたアウディの2台だが、土曜日の決勝は昨日と見違えるスピードで快走する。アウディの助けとなったのは、この日12回におよんだフル・コースコーション。リスタートを得意とするアウディは、レース再開のたびに順位を上げ、レース開始から一時間足らずで、2号車を駆るルーカス・ルアーが総合トップを行くジル・ド・フェランを攻略した。9番手スタートの1号車も2号車に続き、5列目スタートのアウディがあっというまにワンツー体勢を構築してレースをリード。ルアーからステアリングを引き継いだマルコ・ベルナーは、途中1号車にトップを奪われるが、最後のリスタートでエマニエル・ピロを抜き去り、総合優勝のチェッカード・フラッグを受けた。「ほんとうに素晴らしいレースだった!チャンスはリスタートしかないと思って、どのリスタートでもアドバンテージを得ることができた。最後のリスタートでマルコ(ベルナー)がエマニエル(ピロ)をパスしたときは最高の気分だった。言葉では言い表せないほど嬉しい。チームのみんなありがとう!」と喜びを爆発させるルアー。アウディが予選を支配したLMP2を蹴散らし、2008年の締めくくりをワンツー・フィニッシュという最高の形で決めた。

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LMP2クラスは序盤トップを快走していたハイクロフト・レーシングが脱落後、同じアキュラ勢のド・フェラン・モータースポーツ(DFM)とアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)が激しいトップ争いを演じた。抜きつ抜かれつを繰り返すAGRのトニー・カナーンとDFMのシモン・パジノウは、レース時間残り15分を切った時、カナーンがターン6でパジノウをパスしてトップに躍り出る。だが、パジノウも諦めずカナーンの背後にピタリとつけると、ラスト3周のコーク・スクリューでサイド・バイ・サイドに持ち込んだ。しかし、ここはベテランのカナーンしのぎきり、レースはいよいよファイナルラップへ。猛烈なプレッシャーを与え続けるパジノウに、百戦錬磨のカナーンはまったく動じず、フィニッシュまでのホームストレートで再びパジノウがカナーンに並びかけるものの、わずか0.054秒届かなかった。激しいトップ争いを終え、「楽しかった。素晴らしいバトルができたよ!」と興奮気味に語るカナーン。残念ながらアキュラの表彰台独占はかなわず、マニュファクチャラーズ・タイトルはポルシェへ譲ったが、最終戦で1-2フィニッシュを決め、大躍進を遂げた2008年シーズンの有終の美を飾った。

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ドライバーズ・チャンピオンを獲得した7号車がアキュラ勢のトップ3独占を阻止し、見事にポルシェへマニュファクチャラーズ・チャンピオンをもたらした。予選での接近戦同様、コース上でアキュラ勢とポジションを入れ替えながらの激しいバトルを展開するペンスキー。レース開始から2時間53分後に6号車を駆るサーシャ・マーセンがLMP2クラスのリードを奪い、クラス優勝に向けてひた走る。ところがその9分後、あろうことかマーセンがターン2でコースアウトを喫し、グラベル上でストップ。これでクラス・リーダーは再びアキュラのものとなり、ペンスキーの最上位は7号車の3位となる。それでも表彰台の一角を奪ったことで、マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップは1ポイント差でアキュラを下し、3年連続でペンスキー&ポルシェがLMP2クラス完全制覇を成し遂げた。

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トラブルが相次ぎ予選出走がかなわなかった野田英樹が所属するエコ・レーシング。決勝進出が危ぶまれたものの、オーガナイザーから出走許可がおり、チームの初レースにこぎつけた。スタートから順調に走り始めたラジカル・シャシーのマシンは、ペースが上がらずGT2クラスの集団に埋もれてしまうため、ラジエターに風が当たらず、油温の上がりすぎを知れせるアラームが鳴っていたとのこと。それでも完走を目指し、走り続ける野田だったが、途中でドライブ・シャフトが壊れてしまい、ガレージで一時間の修復を強いられる。なんとか修復を終え、再びコース・インする野田を今度は駆動系のトラブルが襲い、46周目で無念のリタイアとなった。

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「チームにとって初レースということでデータがなく、走り始めるといろいろ問題点が出てきました。幸いイエロー・コーションがたくさん出たことで、だましだまし走れていたのですが、駆動系が壊れてしまいリタイアせざるを得ませんでした。最初から互角に戦えないことはわかっていましたし、チームの開発が目的だったので、ドライバーとしての僕の力がチームのプラスになったのであれば、今回の挑戦は良かったと思います。今後も一緒に仕事をするかどうかわかりませんが、チームもマシンを良くしようと参戦しているわけですから、今後も頑張ってもらいたいですね。また、ひさびさにアメリカに来て昔のドライバー仲間に会えたことも良かったですし、いつかアメリカでレースをしたいという気持ちもありますので、今回のチャンスはありがたかったです」

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今朝は霧がかかり、12度と冷え込んでいたラグナ・セカ。ウォームアップが始まる頃には霧や空を覆っていた雲も消え去り、日差しが戻ってきた。晴れあがると自然と気温もあがったが、昨日のような日陰を探したくなるほどの暑さはなく、観戦にはもってこいといった気候となる。レースはフィニッシュが夕暮れとなるように午後2時45分からスタート。アキュラ勢のハイクロフト・レーシングが序盤のレースを率いた。

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総合ポール・ポジションからスタートしたハイクロフト・レーシングは、レース中盤の電気系トラブルが響き、6周遅れの総合15位。2戦連続で下位に沈んでしまったが、アキュラ勢のトップとなるドライバーズ・ランキング2位を死守し、2008年シーズンを終えた。今シーズンのライム・ロックでアキュラに初めての総合優勝をもたらし、前戦までタイトル争いを演じるなど大躍進したハイクロフトは、来シーズンからいよいよ念願のLMP1クラスにステップ・アップ。アキュラのLMP1マシン、AXR-02aは11月にシェイクダウン予定で、LMP1でどんな活躍を見せてくれるのか楽しみでならない。

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表彰台独占がマニュファクチャラー・タイトル獲得の最低条件だったアキュラ勢。予選での好パフォーマンスは決勝でも続き、レースの残り1時間までクラス・トップ3を固めていた。ところがクラス3位を走るフェルナンデス・レーシングが最後のピット作業を終えた直後、突然マシンがストール。クルーはあわててエンジンを始動しようと試みるが、全くマシンが動く様子はなく、バッテリーのトラブルが判明する。大急ぎでバッテリーを交換して再びコースへ送り出すが、無情にもラップ・ダウンとなってしまいペース・アップで挽回を図ったが、ラップ・ダウンを取り戻すことはかなわず。クラス7位でフィニッシュし、マニュファクチャラーズ・タイトルは夢と消えた。「今シーズンを象徴するようなレースだったよ。ファステスト・ラップを記録し、速いペースで走っていてもまったく問題がなかったのに・・・。でも僕達はすでに2009年へ向けて準備をしているし、1月にはテストが始まる。来年は僕達の年になるはずさ」とオーナー兼ドライバーのアドリアン・フェルナンデス。来シーズンLMP2に継続参戦するフェルナンデス・レーシングが、P2のアキュラを牽引してくれることは間違いないだろう。

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このレースを持って引退する1号車アウディのエマニエル・ピロは、最後のレースを2位で終えた。多くのドライバー同様、レーシング・カートからレース・キャリアをスタートさせたピロは、F3、F3000を経て1989年にF1へ参戦し、ベネトンとスクーデリア・イタリアで活躍。1999年にアウディのスポーツカー・チームへ加入してからは、ル・マン24時間で5度の総合優勝、アメリカン・ル・マンでは通算18勝、2度のドライバーズ・チャンピオン獲得という輝かしい成績を残してきた。名実ともにアウディのエース級ドライバーなった46歳のピロだが、今回そのシートを後進にゆずり、25年におよぶレースキャリアに幕を下ろす。いまだ一線級の走りができるだけに、今回の引退は非常に惜しまれることだ。「レースを心から楽しめたよ。9番手と10番手グリッドからワンツー・フィニッシュができるなんて素晴しい。レース・キャリアの中で何度も良いスタートを決めてきたんだけど、最後のリスタートではその実力が眠ってしまったようだ。でも、とてもポジティブなレースだったよ。クリスチャン(アルバース)にはとても感謝している。彼は初めてのスポーツカー・レースだったにも関わらず素晴らしい仕事をしたんだ。多くの励ましのことばをかけてくれたすべてのひとに心から感謝します」と感慨深く話すピロ。涙を隠すようにチームメイトとシャンパンを掛け合うピロの姿がとても印象的だった。

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3月22日にセブリングで開幕した2008年のアメリカン・ル・マン・シリーズも、このラグナ・セカで全ての日程が終了した。毎年恒例となった各クラスのチャンピオンによる表彰式。今シーズンの激闘を制した顔ぶれが一同に会す。それぞれのチャンピオンは、LMP1がアウディのルーカス・ルアーとマルコ・ベルナー、LMP2はペンスキーのティモ・バーンハードとロメイン・デュマ、GT1はシボレー・コルベットのヤン・マグネッセンとジョニー・オコネル、そしてGT2はポルシェ911GT3のジョーグ・ベルグマイスターとウルフ・ヘンツラーとなる。今シーズンはレギュレーション改定によりLMP2クラスの優位性が消え、アウディの独壇場となると思われたが、いざシーズンが開幕するといきなりP2クラスのペンスキーが開幕戦を制すなど、10周年を迎えたアメリカン・ル・マンは2007年以上に激しい戦いとなった。来シーズンはLMP1にアキュラやハイブリッドのザイテックが加わるなど話題が豊富。2008年以上の激闘を期待し、来年の開幕戦セブリングを待とう。