Interview

武藤英紀インタビュー「自分にも優勝できるタイミングがあると思います」(後編)

<US-RACING>

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月曜日にお送りした武藤英紀インタビューの後編。昨年インディ・プロ・シリーズを経験したとはいえ、インディカーにステップ・アップした今シーズンは経験がないコースでの開催も多く、初めて走るコースをどう攻略していくのかを聞いた。また、第8戦アイオワでダン・ウエルドンやマルコ・アンドレッティと激しい争い、日本人初の2位表彰台という快挙を成し遂げてから1ヶ月がたった現在の心境、そして今シーズン終盤戦へ向けての展望を語ってもらった。(インタビュアー:川合啓太)

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Q:第8戦では日本人初の2位表彰台を獲得し、レースが終わった瞬間は勝てなかった悔しさがあったということですが、レースから1ヶ月がたったいま、あの2位はどんな意味があったのでしょうか?

MH:「そうですね、あれを超える成績を出せていないんですが、いま振り返れば2位になれたことは良かったと思います。ただ、他にも表彰台に乗れそうなレースがいくつかあったにもかかわらず、レースを落としてしまっているのは悔しいですね」

Q:今シーズンはグラハム・レイホール、ダニカ・パトリック、ライアン・ブリスコーやライアン・ハンター-レイなどが初優勝をあげていますが、他のドライバーが初優勝していく中で、優勝できない焦りというのはありますか?

MH:「焦りはないですね。みんな良いドライバーなので、誰が勝っても焦りはないです。自分にも優勝できるタイミングがあると思いますから」

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Q:2位をとってから何か変わったことはありましたか?

MH:「普段まったく連絡をくれない人から連絡がきたり、ウェブ・サイトへのファンメールを100件以上もらいました。改めてたくさんの人が応援してくれていることを実感しましたし、今回の結果でインディカーを多くの人に知ってもらえたのは良かったと思います」

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Q:ここまでの12戦でインディ・プロ・シリーズ(IPS)を戦ったコースもいくつかありましたが、まったく経験のないコースもあるなかで、経験があるコースとないコースでは取り組み方は違いますか?

MH:「インディ・プロとインディカーではスピード差があるので、どのコースも初めて走るように感じます。昨年のIPSでも走りこんだサーキットがそれほどないのですから、基本的には同じスタンスで取り組んでいますね。覚えるのが簡単なところもあるし、そうでないところは下見をじっくりして、エンジニアと昨年のデータを見比べています。下見はルールで歩いてやることになっているので、ここ(エドモントン)は結構大変でした。でも、歩くとおうとつやコンクリートのつなぎ目などが良く分かりますよ」

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Q:エドモントンのような空港仮設のコースは日本にないですが、どのように感じますか?

MH:「面白いですね。面白いんですけど、今週末はマシンが決まっていないので、イライラします。人と争わず、純粋に一台だけで走れば、すごく面白いコースです。日本でも羽田空港でやってもらいたいですね」

Q:同じ仮設コースとしてストリート・コースもシリーズの中にあるわけですが、一般的なロード・コースとストリートでは意識的な違いはありますか?

MH:「路面のミューが違うので、当然ドライビング・スタイルが違います。ロード・コースみたいに思い切ってブレーキも踏めないですし、ミスすればすぐにコンクリート・ウォールですから、かなり緊張した中で走りますけど、僕はすごく好きですね。ロード・コースよりストリートの方が乗っていて楽しいです」

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Q:現在276ポイントでランキング7位、ルーキー・オブ・ザ・イヤーではウィル・パワーに31ポイント差のトップを走っていますが、残り5戦をどのように戦いますか?

MH:「ルーキー・オブ・ザ・イヤーは獲りたいですね。それには結果が必要なんですが、戦略は特にないので、一戦いっせん一生懸命やるだけです」

Q:日本人初の2位を獲得し、日本のファンの期待はますます高まってきていますが、最後にファンへメッセージをお願いします。

MH:「まだルーキー・イヤーなので、あまり期待しないでください(笑)。もちろん一生懸命やりますが、期待されてすぐに勝てるほどあまいレースではないので、簡単に勝てるという目で見ないで欲しいですね。やはり、すごく大きいチャレンジだと思うし、今まで何人もの日本人がチャレンジして勝てなくて、チームメイトのマルコだってオーバルでは1勝もしていないわけですから、絶対に簡単ではないんです。特に今年はAGRがロード・コースで速くないことが余計に難しく状況を作っています。なので、ほどほどに期待していてください」

約20分間のインタビューで冗談を交じえながら話した武藤。どんな状況でも焦らず、一歩いっぽ確実に自分のペースで進むのが彼の強さといえる。「ほどほどに期待していてください」と武藤は言ったが、日本人初優勝という大きなチャレンジを成し遂げてくれるのは彼に違いない。