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インディカー・シリーズ 第11戦 ナッシュビル【予選】フォト&レポート

<US-RACING>

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日没になっても30度を越す暑さの中で行われた予選を制したのは、ペンスキーのエリオ・カストロネベスだった。今シーズンのインディ・ジャパン以来となるポールだが、その時は予選が雨で流れたため、ランキング順で確定。予選を戦ってのポール獲得は、昨年のデトロイト以来となる。昨シーズンの第11戦時点では、5回ものポールを獲得しているだけに、今年の苦戦状況がうかがい知れるものの、ようやくカストロネベスにも火が入ったようだ。ペンスキーにとっては37回目のポールで、意外にもナッシュビルでは初めての獲得。カストロネベスも最多記録を更新する24回目のポールとなった。「ポールを獲れて興奮しているよ。予選中にマシンがトラブルで止まってしまった先週のワトキンス・グレンを考えると、特にそう思うよ。ペンスキーのクルーはほんとうに一生懸命作業して、全てを素晴しいコンディションにしてくれた。もう、ほんとうに最高の4ラップさ」と興奮が冷めないカストロネベス。あとは一年以上遠ざかっている勝利を目指すだけだ。

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開幕戦以来、今シーズン2回目となる予選2位を獲得したダニカ・パトリック。ここのところ燃費作戦を取って中位グループにいることが多いため、久々にパトリックの速さを見ることが出来た。ポールのカストロネベスほどの速さがなかったことに悔しさを滲ませたが、それだけに決勝にかける意気込みも強い。「マシンはとても安定していて、とても楽だったわ。フロント・ローからスタートできるのは良いことね。最初の何周かはツー・ワイドのバトルになると思うけど、私はそれを望んでいないの。リスタートでアウトサイドに出て、コース外側のレーンにポジションを取るドライバーがいると思うけど、実際に抜くことはかなり難しいと思う。明日は良いスタートを決める必要があるわ」といつも通り強気のパトリック。キャリア2勝目を獲得できるか、カストロネベスとのスタート勝負に注目しよう。

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昨日のルーキーテストでトップ・スピードを記録した武藤英紀。今日もその調子を維持し、朝のプラクティスでは5番手につけ、まずまずの立ち上がりを見せる。午後のプラクティスではトップとコンマ3秒差の16位になってしまい、ここで武藤はトニー・カナーンのセッティングを参考にして予選に臨んだ。本人が「大胆なセッティング」と語るように、リアが滑りやすいリスキーなマシンとなったものの、武藤は見事に乗りこなし、15番目のアタックでカストロネベス、パトリックに次ぐ3番手につける。その後、最後まで武藤を上回るドライバーは現れず、テキサスの4位を上回るキャリア・ベストの予選3位を獲得した。

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「アウトラップからずっと全開で走れましたし、マシンはとても良かったですね。3位という数字が良いのかどうかわかりませんが、空気の流れに乱れがないと思うので、思い切ってスタートできると思います。スタートでなんとかうまくダニカを抜けると良いですね。大胆なセッティングだったので、上位に来るか、15〜6番手に沈むかのどちらかだと思っていました。最後の周にロールバーをフロント寄りに振ったのですが、それまではステアリングもあまり切れない状況でしたから、もう少し早い段階で変えておけばよかったかもしれません。かなりリスキーなセッティングではありましたけどね」

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前戦ワトキンス・グレンで悲願の初優勝を遂げたライアン・ハンター-レイ。このナッシュビルでもその勢いは続き、予選4位を獲得して2戦連続で予選トップ5に食い込んだ。予選2位のパトリックから4位のハンター-レイまでは、わずか0.0129秒差しかなく、さらに上位も狙えたが、アタック中のミスが響いての4位。マシンから下りたハンター-レイも少し悔しそうな表情を浮かべた。「今日のプラクティス中に何度かセッティングを変更したんだ。正直に言って、その中のいくつかは正確に機能しなかったから、もう一度確実な方にやりなおしてコースへ出た。先週のように、マシンをより良くして続けている。明日の夜も良い走りが出来ると思うよ」とハンター-レイ。ロード・コースを制したあとは、オーバル制覇を目指す。

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ナッシュビル3連覇を狙うスコット・ディクソンは、プラクティスを総合トップで終えるものの、予選は5位に沈んだ。日没近くから始まるシングルカーの予選では、日が暮れて気温が下るとダウンフォースが増し、スピード・アップにつながるのが一般的であるため、アタック順が後方であればあるほど有利とされている。そのため、2番目でのアタックを強いられたディクソンは、思うようにスピードをのばせなかったようだ。プラクティスの結果が良かっただけに、この結果には本人もがっくりきた様子。「2番目にアタックしなくてはいけなかったことが、ポールのチャンスを潰すことになったね。でも、こういうときもあるということだ。トップに近いグリッドを獲得したかったけど、レースではうまくやれそうだよ」と語った。2006年のワトキンス・グレンや昨年のナッシュビルと、エナジャイザーの特別カラーになると優勝しているディクソンだが、果たして今年はどうなるか?

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天候に恵まれたナッシュビル。空にまだら雲が広がることもあったが、雨の降る気配はなかった。照りつける日差しが強く、気温は午後4時の時点で33度にも達し、高い湿度とあいまって、外にいるだけで汗が出てくるほど。いよいよアメリカも真夏を迎えたということを実感した。日差しが雲に遮られると一瞬暑さを忘れることもできるが、再び太陽が顔を覗かせると耐え難い暑さで、このレースがなぜナイト・レースで行われているかあらためて思い知った。予選が始まってからも続いた暑さは、太陽が沈むとさすがに少し落ちついたものの、過ごしやすいといった気候ではなかった。