<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ 第9戦リッチモンドSUNTRUST INDY CHALLENGE>
【日 程】2008年6月27〜28日
【開催地】バージニア州リッチモンド
【コース】リッチモンド・インターナショナル・レースウェイ
【距 離】オーバルコース:0.75マイル(1.207km)
【天 候】28日:晴れ/気温29〜34℃
【時 間】午後8時30分〜(日本時間6月29日午前9時30分〜)
■■■6月28日決勝■■■
<今年から50ラップ増えた決勝レース>
IRLインディカー・シリーズ第9戦が首都ワシントンDCの南、バージニア州リッチモンド郊外にあるリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで開催された。
01年に始まり、今年で8回目を迎えるナイトレース、サントラスト・インディ・チャレンジは、今年一気に50ラップも周回数が増やされた。全長0.75マイルのショートトラックではドライバーたちは4Gにも及ぶ大きなGフォースにさらされ続ける。今年からのレースは、距離が伸びた分、体力的により厳しくなった上、燃費などを含めた作戦面でも新たな戦いぶりが求められるものとなった。
<荒れた展開の中、正攻法のピットストップ作戦を採用>
ショートトラックでのレースはマシンのハンドリングが極めて重要で、マシンがいったんオーバーステア傾向に転ずるとコントロールをし続けるのは難しい。オープニングラップに1台がスピンしたのに始まり、レース序盤にはアクシデントによるフルコースコーションが頻発した。そうした中、武藤はスタートポジションと同じ7位をキープして序盤を戦っていた。
コース上でのオーバーテイクが難しいとなれば、ピットストップの重要性は増し、ピットストップのタイミングが勝敗の鍵を握るケースが出て来る。今回のレースでも序盤のフルコースコーションを利用してピットストップを行ったチームの中には、大きく上位へとポジションを上げて来たところがあった。しかし武藤はトップグループと同じピットタイミングを採用する正攻法の戦い方でレース前半を戦い続けた。
<オーバーテイクの難しい戦い>
リッチモンドはアクセルのオン・オフがあるため、アイオワでのレースよりオーバーテイクは容易になるとも見られていた。ところが、その読みは外れ、タイヤの消耗が進んでからもオーバーテイクは難しいままだった。武藤のピットは7位から10位にとどまり続けていたポジションを何とか上位へ進めようと、8回目のフルコースコーション中だった158周に武藤をピットへと呼び入れた。
<終盤のピットでまさかのトラブル>
武藤の順位は11位まで後退した。しかし、雨雲が近づいているという情報もあったため、トップグループがピットに向かった直後に雨が降ることも期待された。アクシデントが多発したため、コース上に残っているマシンも少なくなっていたことから、ここから先ゴールまでフルコースコーションが出ない確率が高まり、158周目のピットストップが功を奏することは十分に考えられた。
しかしレース展開は武藤陣営の期待する方向に変わることはなかった。アクシデントが発生し、武藤は最後のピットストップをトップグループと同じ220周目に行うこととなった。
ここで作業を終えた武藤がコースへと戻ろうとした時、マシン後方下部で火花が散り、マシンはストップした。ドライブシャフトが2本とも折れており、武藤の第9戦はリタイアという結果となった。
<完走は12台、トップと同一周回でのゴールはわずか8台>
武藤はゴールまで80周を残した220周でリタイア。それでも順位は13位にランクされた。完走を果たしたのが12台だけで、そのうちトップと同一周回でゴールできたのは8台だけというサバイバルレースにとなったからだ。08年のIRLインディカー・シリーズは現在17戦がスケジュールされており、今回のレースがちょうど折り返し点だった。武藤は開幕戦ホームステッド以来の2回目のリタイアを喫しながらも、2位1回、6位3回、7位1回という安定して高い成績を収めて来たことによってポイントスタンディングは第8戦終了時点からひとつ下げただけの6位に踏みとどまっている。そして、ルーキーポイントでは依然としてトップを保ち続けている。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「厳しい戦いだったが、5位を狙える位置で走ることが出来た」
「いつもと同じようにピット作業が終わって、マシンが落ちてからアクセルをオンしたのですが、ドライブシャフトが壊れてしまいました。ビデオモニターでもチェックしたのですが、マシンが落ちる前にタイヤは回っていませんでした。マシンが地面に降りてから走り出そうとしたら、2本とも折れてしまった。原因はまったくわからない状態です。インディアナポリスに戻ってからデータを調べます。今日のようなパターンでドライブシャフトが折れてしまうとなると、自分としてはどうやってピットアウトをしていいのかがわからないですね。
それまでのマシンのハンドリングはかなりルーズで、厳しい戦いになっていました。アクシデントが多いレースでしたが、自分もいつスピンしてもおかしくないというぐらいリヤが滑っていました。それでも5位でフィニッシュできる可能性があるポジションで走ることが出来ていました。ドライブシャフトが折れた原因はわかりませんが、長いシーズンを戦っていれば、こういうレースもあるのかな、と思います」
<レイ・ガスリン:レース・エンジニア>
「来週のワトキンスグレンでこのリタイアを挽回したい」
「マシンのハンドリングは狙いとは違ってオーバーステアとなっていたが、ヒデキはポジションを保つ戦いを続けてくれていた。リッチモンドでのレースはオーバーテイクが難しく、そのチャンスはリスタートにあるのだが、レースを重ねて来てヒデキのリスタートは良くなっており、今回もポジションを上げることこそできなかったが、ポジションを奪われることのない戦いを続けていた。
ピットストップでドライブシャフトが折れたのは、その原因がわからない。地面に降りる前にアクセルをオンしてドライブシャフトを壊してしまうことはあるが、今回はビデオでも確認したが、マシンがちゃんと降りてからのアクセルオンとなっていたように見えた。ワークショップに戻ってからデータをチェックし、何が原因でマシンが壊れたのかを解明しなければならない。トップ6、もしくはトップ5でのフィニッシュが可能だった状況でのリタイアだけに残念だ。
来週のワトキンスグレンでは去年ダリオ・フランキッティが2位に入賞したセッティングをベースに戦う。ヒデキはロードコースを得意としているし、我々のマシンも競争力は高いものと期待ができるので楽しみだ」
■■■決勝結果■■■
0.75マイル(1.207km)×300周=225マイル(362.102km) 出走26台
順位 No. ドライバー タイム 平均速度mph(km/h)
1位 11 T.カナーン 2:04’05.5111 108.790(175.080)
2位 3 H.カストロネベス +4.7691 108.721(174.969)
3位 9 S.ディクソン +6.6504 108.693(174.924)
4位 10 D.ウェルドン +7.7270 108.678(174.900)
5位 5 O.セルビア +10.7701 108.633(174.827)
13位 27 武藤英紀 -65Laps 101.338(163.087)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 9 S.ディクソン 351 リーダー
2位 3 H.カストロネベス 308 -43
3位 10 D.ウェルドン 299 -52
4位 11 T.カナーン 269 -82
5位 7 D.パトリック 220 -131
6位 27 武藤英紀 216 -135