INDY CAR

武藤、自己ベストとなる予選4位

<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ第7戦テキサスBOMBARDIER LEARJET 550>
【日 程】2008年6月5〜7日
【開催地】テキサス州フォートワース
【コース】テキサス・モーター・スピードウェイ
【距 離】オーバルコース:1.5マイル(2.414km)
【天 候】6日:晴れ/気温34℃
【時 間】午後5時45分〜(日本時間7日午前7時45分〜)
■■■6月6日予選■■■
<高速ハイバンクのテキサス>
 ルーキーたちにとって、今シーズンのIRLインディカー・シリーズのスケジュールは本当に難しい。シリーズで最もハイスピードであるインディ500を戦った翌週にフラットな1マイル・オーバルのミルウォーキーを走り、休む間もなく、次の週には24度のハイバンクを持つテキサス・モーター・スピードウェイでのレースを戦わねばならないのだ。
 今年もテキサスでのレースは3デイイベントとして開催されているが、去年までと違い、走行初日は夜間のプラクティスのみとなった。1時間半という長いプラクティスがレースと同じ時間帯に行われるのは理に適っている。昨年までは予選を夜間に行っていたが、今年から予選は金曜日の夕方になった。
<強風の中でのプラクティス>
 今年のテキサスはなぜか風に見舞われている。プラクティスの行われた金曜は特に強く吹き、マシンのハンドリングにも影響が出るほどだった。しかし、予選日、レースデイも風は吹き続けるとの予報が出ており、武藤英紀は難しいコンディション下でのドライビングへの習熟、マシンセッティングの向上を目指した。
<走行初日は10番手>
 決勝用セッティングの煮詰めを行う最初のプラクティス、武藤のベストラップは10位にランクされた。今回のレースにはインディ500を除くと今年最多となる28台がエントリーしており、その全車が一斉に走るプラクティスでは常にトラフィックが発生していた。レース用セッティングを試すには絶好のコンディションである。
 しかし、ここで武藤はマシンセッティングの評価を正確に下すことができなかった。バンクの傾斜角が24度と大きいテキサス・モーター・スピードウェイでは、サイド・バイ・サイドで走り続ける時間が長くなるが、武藤としては横にマシンがいる限り、常にそれを知らせる声をスポッターが発してくれるものと考えていた。ところが、横にいるマシンに関してスポッターが知らせなかったため、思い切った走りができない状況となっていたのだ。武藤は走行後のミーティングで自分の考え、リクエストをチーム、そしてスポッターに伝えた。
<期待を上回る武藤の予選パフォーマンス>
 予選は暑いなか、金曜の夕方に行われた。その前にプラクティスが1回あり、武藤は予選を想定したシミュレーションランを行った。走行初日の武藤のベストは24秒7132だったが、この予選前のプラクティスでは24秒4484までタイムを短縮。2番手につけた。
 武藤の今回の予選アタック順は13番手。ウォームアップの後の1周目、2周目に武藤は213.6mph(=約343.7km/h)台を記録し、後半の2周は213.3mph(=約343.2km/h)台に揃えた。吹き寄せる風と、変化するマシンのハンドリングと格闘し、武藤はキャリアベストとなる4位グリッドを手に入れた。このパフォーマンスはチームの期待を大きく上回るものだった。アンドレッティ・グリーン・レーシングは4台をエントリーしているが、武藤は先輩チームメイト3人より上位のグリッドを獲得したのだ。

■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「予選では考えていたとおりの走りができた」
「予選前のプラクティスで予選用のシミュレーションを行うことができました。それが生きましたね。風の強いコンディションではギヤのチョイスが難しく、バックストレッチではリミッターが働いていましたが、予選でのクルマはとても良いフィーリングに仕上がっていました。アタック後半はアンダーステアが出ましたが、ウェイトジャッカーなどを操作して対応しました。4周のアタックでは、良いドライビングができていたと思います。213マイル台を出すつもりでコースインし、そのとおりのスピードで走れたわけですから。予選4位という結果も良かったと思います。
 自分たちは決勝用でもいいセッティングが出ています。昨日と今日の走行データからもう一度セッティングを検討し直せば、いいマシンで決勝を戦うことができると思います」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「明日のレースはトップ5入りを目指す」
「今日の予選ではトップ10入りを目指していた。テキサスのコースは独特で、昨日のプラクティスから風が強く吹いていたため、ダウンフォースを少なくして行くこともしなかったし、マシンのハンドリングがオーバーステアにならないよう慎重になってもいた。ヒデキの走りは素晴らしかった。
 テキサスでのレースはマシン同士が接近したままでの戦いとなる。ヒデキが去年走っていたインディ・プロ・シリーズと似たレースともいうことはできるが、インディカーは時速40マイル以上も速く、そのスピードでのサイド・バイ・サイド・バトルは非常に難しい。明日も風が強く吹くという予報が出ており、レースはその点からも難しいものになるだろう。すでに6位フィニッシュを2回している我々にとって、次の目標はトップ5入りだ。明日はトップ5を目指して戦う。トップ5入りを実現したら、その次は表彰台を狙い、その先に我々が本当に目指す優勝がある」
■■■予選結果■■■
1.5マイル(2.414km)×4周=6マイル(9.654km)       出走28台
順位 No.  ドライバー     タイム    平均速度mph(km/h)
1位  9   S.ディクソン    1’37.5063   214.878(345.813)
2位  3   H.カストロネベス  1’37.5525   214.777(345.560)
3位  6   R.ブリスコー    1’37.9398   213.927(344.282)
4位 27   武藤英紀      1’38.1426   213.485(343.571)
5位  7   D.パトリック    1’38.2562   213.238(343.173)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン