来シーズン、強豪アンドレッティ・グリーン・レーシングからIRLインディカーシリーズに参戦する武藤英紀が、12月17日にセブリング・インターナショナル・レースウェイでのプライベートテストに参加しました。ツインリンクもてぎでのデモ走行用テストを除くと、今回が取材許可の下りた最初のテストとなったため、早速当地まで足を運んで武藤の仕事ぶりを取材してきました。あれだけの強豪チームへの加入ですから果たして武藤がチームとうまくやっていけるのかちょっと心配ではありましたが、テストを見る限り予想以上にチームに溶け込んでおり、すっかり“AGRの一員”になっているように見えました。
武藤がチーム加入後にテストを行うのはこれで3回目。前述のツインリンクもてぎでのデモ走行用テスト、そして12月6日にホームステッド-マイアミ・スピードウェイで行われたIRL合同テスト、そして今回のセブリングでのプライベートテストといったものです。ホームステッドの合同テストは非公開だったため泣く泣く取材を断念せざるを得なかったのですが、今回のテストはAGRとスーパーアグリさんのご協力もあって僕ら日本人メディアのみが現地での取材を行うことができました。
舞台となったセブリング・インターナショナル・レースウェイは伝統のセブリング12時間耐久レースが行われるコースとして有名ですが、今回のテストでは1周2マイルのショートコースを使用。実際、今回に限らずセブリングでのテストはこのショートコースで行われることがほとんどなんです。アスファルト、コンクリートがミックスされた路面は非常にバンピーでオープンホイールマシンにとってはかなりタフなコースではあるのですが、低速&中速コーナーがミックスされていることもあって、走行データ取りにはかなり適しているコースといえます。
さて、気になる武藤ですが、朝9時のテスト開始から精力的に走行を重ねていました。チーフエンジニアのレイ・ゴスリンとのコミュニケーションも良好のようで、ピットスタンドで手取り足取りを交えながらクルマのフィードバックを伝えていましたね。「やっぱりAGRは独特の雰囲気がある」と語っていた武藤の表情も生き生きとしていて、やる気に満ち溢れているようでした。チームと本当にひとつになっている感じで、取材していてとても頼もしかったですね。テストの内容は「フォト&レポート」に詳しいのでここでは省かせていただきますが、クラッシュを除けば非常に充実したテスト内容だったと思います。
今はとにかく走り込んでインディカーのクルマの特性を把握することが大事。テストを重ねることによってチームスタッフとの仕事量も増え、自然とチームの仕事の進め方も覚えていくでしょうし、エンジニアとのコミュニケーションもよりスムーズになっていくはずです。シーズン中に比べて英語も格段にうまくなっていましたし、見えない部分で努力を怠っていないことを実感しました。この日のテストは夕方にクラッシュを喫しジ・エンドとなってしまいましたが、「非常に得るものが多かった」と武藤自身も手ごたえを感じた様子。この調子で、開幕戦までにチームの仕事の進め方を完全にマスターしていってほしいですね。
テスト終了後に、ルーキーシーズンの具体的な目標について尋ねたら「とにかく優勝したい!」と力強く語ってくれた武藤。その目には自信が漲っていて、でっかい花火を打ち上げてくれそうな予感を感じさせてくれました。まだ見ぬ日本人ドライバーのインディカーレース優勝を期待して止みません、がんばれ、武藤!