INDY CAR

武藤英紀、初のロードコーステストで精力的に走り込む

<ANDRETTI GREEN RACING>
2007 IRLインディカー・シリーズ・プライベートテスト・セブリング
【日程】2007年12月17日
【開催地】フロリダ州セブリング
【サーキット】セブリング・インターナショナル・レースウェイ
【距離】ロードコース:2マイル(3.2km)
【天候】晴れ
【気温】午前6℃・午後15℃
<合計80周を走破、チームメイトと僅差のタイムをマーク>
 2008シーズン、アンドレッティ・グリーン・レーシングからアメリカ最高峰のオープンホイールチャンピオンシップ、IRLインディカー・シリーズに参戦する武藤英紀が、セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われたプライベートテストに参加。同チーム加入後初となるロードコースで、インディカーマシンのテスト走行を行った。
 先月初旬にIRLインディカー・シリーズの強豪アンドレッティ・グリーン・レーシングとドライバー契約を交わした武藤は、11月21日にツインリンクもてぎのオーバルコースで同チームのマシンで初めて走行。およそ2週間前には開幕戦の舞台となるホームステッド・マイアミ・スピードウェイの合同テストにも参加していた。二度目の本格的なテストとなった今回は、フロリダ半島のほぼ中央に位置し、オフシーズンテストのメッカとも言えるセブリング・インターナショナル・レースウェイの1周2マイルのショートコースを使用した。武藤は2007年のシーズン中にミド-オハイオでインディカーマシンのロードコース走行経験はあるが、同チームに加入してからは初めて。2008シーズン全16戦中5戦あるロードコース戦もチャンピオンシップを争う上で非常に重要なものであり、武藤にとっては貴重なテスト機会となった。
 今回のテストにはダニカ・パトリックを除き、チームメイトのトニー・カナーンとマルコ・アンドレッティも参加。アメリカ北部を襲った大寒波が温暖なフロリダ半島にも影響を及ぼし、早朝の気温はわずか6℃という冷え込んだコンディションだったが、3人が一丸となり、チームは走行データの収集に専念した。赤、青、白の2008年シーズン用のカラーリングが施された27号車の乗り込んだ武藤は、テストが始まった午前9時過ぎから精力的に走行を重ね、タイヤウォーマーを投入した直後には53秒8のベストラップをマーク。午後になっても順調にテストプログラムをこなしていき、タイムも53秒6まで短縮した。その後テスト終盤の午後4時前、新しいセットアップを試した矢先に、フロントタイヤが十分に温まり切らず単独スピンを喫し、不運にもタイヤウォールにクルマをヒットさせてしまった。武藤のテストはここで終わったが、午前と午後を通じて合計80周を走破。アンドレッティ・グリーン・レーシングのドライバーとして行った初のロードコーステストで、十分な走り込みと価値ある走行データを入手することができた。
武藤英紀 コメント
「今日は序盤から比較的いいペースで走れました。あまりタイムを追わないで、チーム側がやりたいプログラムをまずはこなすことができたと思います。もう少しタイムを出せるセットアップも試してみたかったのですが、その中でも自分なりにいい走りができましたし、途中まではマルコよりもいいラップタイムをマークできていたので自信にはなりました。最後は、フロントタイヤが温まっておらずアンダーステアが出てしまい、カーブの縁石に乗ってそのままクラッシュさせてしまいましたが、全体を通して非常に充実したテストになったと思います。今日のプログラムは僕がルーキーだからそれに沿ったというものではなくて、参加した3人のドライバーがそれぞれ役割を分担し、セットアップを作っていくというプログラムを試しました。このデータが次のテストで生かされていくのだと思います。インディカーでロードコースを走るのは今年夏のミド-オハイオでのテスト以来ですが、そのときは自分用のシートではなかったですし、タイヤも1セットしか使えなかったので、今回は実質初めてのようなもの。得たものはすごく大きかったと思います。チームメイトとも徐々にいい関係を築けていけているので、今後もチームの一員として全力を尽くしていきたいです」
レイ・ゴスリン:チーフエンジニア コメント
「ヒデキは今日、本当にいいテストを行ったと思う。前回のホームステッドも含め我々チームと初めてのテストだったにもかかわらず、期待以上の仕事を見せてくれた。最後のアクシデントは不運だったが、タイムを見てもトニーやマルコとコンマ数秒差だったし、非常に素晴らしい1日だったと言える。チームのテストプログラムを順調にこなしてくれたし、エアロダイナミクスのテストもいくつか行うこともできた。今日の走りは、ヒデキがロードコースの予選で『ファスト6』に残れる可能性を十分示してくれた。もちろん、課題も多くある。特に、ピットアウト直後のアウトラップはもう少し練習する必要があるだろうし、それは予選でのシングルアタックにも影響してくることになる。しかし、ヒデキはIRLインディカー・シリーズを戦う上で十分なスピードを持っていることを今日のテストで証明してくれたし、才能豊かなドライバーであることは疑いようもない。今後何回ものテストを重ねて、彼はチームの雰囲気ややり方に徐々に慣れていき、そしてさらにいいパフォーマンスを示していってくれることを確信している」