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インディ・カー・シリーズ 第14戦 ケンタッキー[予選日]フォト&レポート

<US-RACING>

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今シーズン最後のナイト・レースとなるケンタッキーは、トニー・カナーンが前戦ミシガンで優勝した勢いそのままに、ポール・ポジションを奪取した。プラクティスから総合トップに立ち、今週末はまさに絶好調のカナーン。予選は11番目にアタックを行い、それまでトップだったスコット・シャープを1.5マイル近く上回る218.086mphのスピードを記録する。この圧倒的なスピードに誰一人迫ることが出来ず、カナーンは今シーズン2回目のポールを確定させた。「予選の結果には満足しているよ。チームのみんながすばらしい仕事をしてくれたね。ここのコースはとてもバンピーで簡単ではないから、明日は長い一日になるはずさ。レースに向けて良いスタート位置が確保できたのが嬉しいよ。チームメイトのダリオが僕の隣にいてくれることも心強いね」と喜ぶカナーン。ポイント・ランキングでも3位につけている2004年王者が、シーズン終盤を迎えていよいよ本領を発揮してきた。

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前戦ミシガンでマシンが宙を舞う壮絶なクラッシュを演じたダリオ・フランキッティは、アクシデントの影響をまったく感じさせない走りで、フロント・ローを獲得した。この日、16番目に登場したフランキッティは216.810mphを記録。圧倒的な速さを見せたチームメイトのカナーンには及ばなかったものの、タイトルを激しく争うスコット・ディクソンをきっちり抑えこみ、2位をキープした。「とても忙しい一週間だったよ。先週のクラッシュでマシンは全損してしまったから、クルーはゼロから新しいマシンを作らなくてはならなかった。彼らはほんとうに良くやってくれたよ。トニーのマシンほど速くはないけど、すごく安定しているから、とにかくそれで満足なんだ」とほっとした様子のフランキッティ。先週のクラッシュは一歩間違えば大惨事となっていただけに、今日のフランキティは今週も変らずインディカーをドライブできることを喜んでいた。

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このところすこぶる調子が良い39歳のスコット・シャープ。前戦のミシガンでは3位でフィニッシュし、このケンタッキーでも予選3位に飛び込む活躍を見せた。開幕前はアンドレッティ・グリーン、ペンスキー、チップ・ガナッシの3強に比べると、戦闘力が見劣りしていたレイホール・レターマンだが、この大ベテランとともにしり上がりに調子をあげ、いまやこの位置も常連となりつつある。「すばらしいよ。チームのみんなが一生懸命にマシンを仕上げてくれたんだ。エンジニアも細かいところまで気を使ってくれた。プラクティスではほとんどレースのセット・アップに集中していたから、これが成功に繋がると良いね。明日はこの予選結果を良いレース結果に変えなくてはいけないよ」と自信を見せるシャープ。ケンタッキーでは2005年以来の優勝となるか、パトロン・カラーのマシンから目が離せない。

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抜けるような青空に白い雲がくっきり浮かび上がるケンタッキー・スピードウエイ。大きな雲は日差しをさえぎることも多かったが、一日を通して天候に恵まれていた。気温は午後5時の時点で33度。太陽が照り付けるとそれ以上に暑さを感じ、加えて湿度が高かったので、かなり蒸し暑かった。このケンタッキーは24.5mという広いコース幅が特徴で、毎年3ワイド、時には4ワイドのバトルが見られる。そのため各ドライバーは集団で走り、トラフィックでのセット・アップを煮詰めていた。

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前戦のミシガンはキャリア・ベストに並ぶ4位でフィニッシュした松浦孝亮。このケンタッキーはデビュー・イヤーの2004年に4位フィニッシュを飾った場所であり、松浦にとって相性の良いコースだった。ところが、予選では期待していたスピードが得られず、17位に留まった。「狙っていたタイムよりコンマ2秒ほど遅かったですね。ギアも合っていなかったです。プラクティスでは24秒7前半まで出ていたのでいけると思っていたし、空気抵抗を減らすなど、バランスを変えてスピードが上がるはずだったのですが、全然走れなかったです。トラフィックでのバランスはまあまあ良いのでレースは戦えると思いますけど、基本的なスピードが足りないのが辛いですね」と厳しい表情の松浦。悔しい結果となってしまったが、前戦で見せた14番手から4位に入った追い上げの再現を期待したい。

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ミド-オハイオ以来となるIPSは、シリーズ史上初めてナイト・レースで行われることになった。現在ポイント・ランキング2位につけている武藤英紀は、7月26日にこのケンタッキーをインディカーで81周も走りこんでおり、最初から手ごたえ十分で臨んでいた。その期待通り1回目と2回目のプラクティスでトップ・タイムを叩き出し、予選では更なる期待が高まった。迎えた予選、2番目という早い順番で登場した武藤は、いきなりコース・レコードとなる191.276mphをマークする。その後、最大のライバルと目されたランキング・トップのアレックス・ロイドも武藤のスピードには及ばず、今シーズン2回目、オーバルでは初めてのポール・ポジションを獲得した。

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「手ごたえはありましたね。先日テストしたインディカーと比べると速度感がゆっくりに感じるので、多少リアが滑っても落ち着いて走れるようになりました。今日はもともと僕のエンジニアであるブレアが自信を持っていて、その言葉通りマシンはすごく良かったです。タイムはかなり良かったので、誰かが上回ることはないだろうと思っていたのですが、それでも不安でした。ずっとオーバルでポールを獲りたかったので、自信になりましたし、今後に活きてくるポールになったと思います。初めてのナイト・レースであり、先週ここでテストをしたときにはかなり暗く感じたから不安はあります。それでもポールからスタートできるということで、落ち着いてレースをすることが重要だと思います。明日はフィニッシュまで全開で行きます」と意気込みを語る武藤。オーバルでの初優勝を狙う。