<US-RACING>
終盤、めまぐるしくトップが入れ替わる白熱したタイム・アタック合戦となった初日のプラクティス。最後にトップに立ったのは、現在ポイント・リーダーを堅持しているダリオ・フランキッティだった。この日、40周を走りこんだフランキッティは、38周目にそれまでトップにいたチームメイトのトニー・カナーンを、コンマ2秒上回る1分7秒3629を記録。ポイント・ランキングで34ポイント差に迫っている、現在2連勝中のスコット・ディクソンより先行する良い形で初日を終えた。「今朝は、先月ここでテストしたときと近いマシンの状態でスタートしたんだ。運転できないといってもいいくらいに、マシンは良くなかったよ。それから僕たちは多くの作業をこなして、セット・アップを変更してからかなり良くなったね。体力的にはとてもきついレースになりそうだよ」と初日を振り返るフランキッティ。3戦ぶりのポール・ポジションに向け、視界は良好だ。
1分7秒5476で2位につけたトニー・カナーン。前戦はベテランらしからぬ単独クラッシュでレースを終え、前々戦はサム・ホーニッシュJr.との乱闘騒ぎと、ここ2戦は厳しい週末が続いていた。だが、今日は午前中のプラクティスからトップに立ち、好調をアピール。最後にフランキッティの逆転を許したものの、コンマ2秒差の2位という好結果で初日を終えた。「いい感じだね。今朝のセッションはとても良かったよ。午後はいくつか変更を加えて進歩したけど、ラップ・タイムを上げることは出来なかった。チームとしても良くやっている。ダリオと僕はとても強いから、明日も良い結果になることは間違いないよ」と自信たっぷりのカナーン。ここ2週間の不運を払拭するためにも、良い結果が欲しいところだろう。
3位で初日のプラクティスを終えたエリオ・カストロネベス。第2戦で優勝して以降はトップ10圏外のレースが4回もあり、なかなか安定した成績を残せないでいる。しかし、ここミド-オハイオはCART時代の2000年、2001年と連覇している得意のコースだけあって、今日はしっかり速さを見せた。「確かにもっと速く走りたかったけど、トップ3にいることは良いことだよ。まだマシンのセット・アップが合っていないんだ。でも、明日の朝にもう少し作業して、予選までには良くなっているはずさ」と語るカストロネベス。トップはフランキッティに譲ってしまったが、まずは3位に付け、明日のポール・ポジションを狙う。
まだらな雲が青空に広がり、その雲から太陽が見え隠れしていたミド-オハイオ・スポーツカー・コース。2002年にチャンプ・カーの取材で訪れたときには、蒸し暑いイメージがあったが、初日は8時45分の時点で13度と肌寒かった。午後から気温が上がったものの、さほど暑いといった感じがなく、思っていたより過ごしやすい一日だった。今回、コースは久しぶりのメジャーなオープン・ホイール・レースとなるIRLの開催に向け、路面の再舗装や大きな改修を行い、万全の準備をしてきた。IRLはもちろん初開催となるが、1980年から2003年までチャンプ・カーの開催実績があるため、初日のプラクティスは予想通り、チャンプ・カー経験者が上位を占めることになった。
今シーズン、3回も松浦孝亮をリタイアに追い込んだジェフ・シモンズが更迭され、替わりにレイホール・レターマンのシートを獲得したライアン・ハンター-レイ。ミド-オハイオはチャンプ・カーのルーキー・イヤーに初めて表彰台を獲得したゲンの良いコースだったものの、今日は初ドライブのインディカーにてこずり、14位と振るわなかった。昨年、フォーミュラのレースから遠ざかっていたことも影響しているようだが、本人はインディカーのドライブを楽しんでいた。「初日にしては良い結果だよ。今日まで一度もインディカーに乗ったことがないんだから、トップ10からコンマ2秒ほどの位置にいるのは、まあまあだと思うね。今日得たたくさんの情報を今夜分析して、明日の予選に備えるよ」と喜ぶハンター-レイ。チャンプ・カーで通算2勝をあげているアメリカ人ドライバーは、ここから調子を上げてくるはずだ。
前戦のナッシュビルは、今シーズン3回目となるジェフ・シモンズとのアクシデントでレースを終えた松浦。今週末は得意のロード・コースであることに加え、因縁のシモンズがシートを喪失したことで、好結果が期待されたが、今日は12位にとどまった。「いくつかセット・アップが見つかっています。先月テストしたときには最悪だったので、それに比べるとかなり進歩していますね。今日は苦戦しましたが、チームメイトのヴィットールは走るたびに良くなっているので、明日は僕も良くなれると思いますよ」と話す松浦。今シーズン3回目のトップ10入りを目指し、明日の予選に挑む。
先週に続き、今週末もIRLと併催されるIPSはプラクティスが行われ、武藤英紀は10位で初日を終えた。今シーズンは初めて走るコースがほとんどのなかで、このミド-オハイオはテストでの経験がある数少ないコースだったが、思った以上に良いタイムを出すことが出来なかった。「セット・アップを大きく変更してグリップは得られたんですが、前後のバランスを合わせきれていない感じですね。ここはインフィールドが難しくて、インフィールドを速く走るためにはハイ・ダウンフォースでいきたいのですが、もともとストレート・スピードが遅いから、ロー・ダウンフォースにもしたいんです。そのセット・アップが合えば、もう少しいけると思います。マシンのバランスが合ってないせいで、ダウンフォースをつけても速くならないのが課題ですね」と厳しい表情を見せる武藤。予選でどこまで巻き返してくれるかに期待がかかる。