INDY CAR

松浦孝亮、1.3マイルの高速コースでセッティングに苦しみ、予選で13位に

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IRLインディカー・シリーズ 第11戦 ファイアストン・インディ200>
【日 程】7月13日〜7月14日
【開催地】テネシー州ナッシュビル
【コース】ナッシュビル・スーパースピードウェイ
【距 離】1.33マイル(2.140km)×200周=266マイル(428.085km)
■■■7月13日予選■■■
天候:晴れ/気温:29℃/時間:17時15分〜(日本時間14日7時15分〜)
<小さなスーパースピードウェイ>
 カントリーミュージックのメッカ、テネシー州ナッシュビルのダウンタウンからクルマで西へ30分ほど、緑の豊かな丘陵地帯にナッシュビル・スーパースピードウェイはある。全長は1.33マイルと短めだが、コンクリート舗装のオーバルはタイヤラバーが乗るとグリップレベルがグンと上がる。それはもちろんレースの高速化に繋がる。ナッシュビルは自ら名乗っている通り、“小さなスーパースピードウェイ”なのだ。
 ナッシュビルは全長に対してコーナーの占める割合が大きいため、高いコーナリング性能が求められる。ハイスピードな上にトリッキーという難しさを備えたテクニカルコース。スーパーアグリ・パンサー・レーシングの55号車でIRLインディカー・シリーズに出場している松浦孝亮は、大きな期待とともにナッシュビルへとやって来た。昨年のここでのレースでパンサー・レーシングは良好なパフォーマンスを見せ3位フィニッシュを記録していたからだ。今シーズンのこれまでのレースの中でも、ショートオーバルでのマシンセッティングは決して悪いものではなかった。
<イニシャルセッティングの重要性>
 好天に恵まれ、プラクティスは予定通りに2回が行われた。プラクティス1回目、松浦は23秒2038のベストをマークし10番手につけた。マシンが完全なるワンメイクとなっている現在のIRLインディカー・シリーズでは、今年からさらにレース前の走行時間が短くされている。与えられたこの条件下では、走行をスタートさせた時のセッティングが正しい方向性にあり、小さなファインチューニングによってポテンシャルを高めて行くことが理想とされている。しかし、今回のスーパーアグリ・パンサー・レーシングは、この“イニシャルセッティング”がパーフェクトではなかった。プラクティス2回目、さらにセッティングを模索した松浦と55号車のクルーたちだったが、日中の気温の上昇による悪影響もあってかラップタイムは逆に下がってしまった。松浦は23秒2577がベストで、18台出場中の14番手にランクされた。
<予選ではマシンはニュートラルに>
 松浦とエンジニアリングスタッフは、プラクティスで得たデータから予選用のマシンセッティングを決定した。予選が始まるのは夕方に差し掛かった5時15分。その上、松浦のアタック順は遅く14番手の予定である。太陽が西に傾き、予選が始まってからも気温は下がり続けるものと見られた。そうなれば、日中よりも高いダウンフォースを自然に得られるものとの読みが立つ。気温、そして路面の温度の下降具合、そして、マシンバランスに与えられる影響を予測してマシンに最後のファインチューニングは施された。
<ほぼ同一タイムだった2周のアタック>
 松浦は予定より1人早い13番目のアタッカーとなった。マシンにトラブルが出て、くじ引きで決まった順番通りにアタックを行えないドライバーが出たためだった。3周のウォームアップの後に松浦のアタックはスタートした。1周目のラップタイムは23秒2405。そのまま走行を続けた松浦は2周目に23秒2433を記録。わずかながら速い1周目のタイムによってグリッドは13番手と決まった。予選でドライバーに与えられる仕事は、ミスなくレコードラインをトレースし切ること。松浦はそのタスクを完璧にこなした。しかし、あと一歩のスピードの伸びを獲得することができなかった。

■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「タフなレースだからチャンスは絶対にあるはず」
「今日はプラクティス1回目を走り出した時のセッティングがあまり良くなかったですね。プラクティス2回目にはいろいろとセッティングを試しましたが、逆に1回目のプラクティスよりもタイムは悪くなっていました。セッティングの方向性にミスがあったとか、プラクティスで違う方向に進んでしまったということではなかったのですが、全体的にスピード不足でした。予選でのマシンは、ハンドリングもニュートラルでしたし、バランスは悪くなかったと思います。しかし、まだスピードが足りていなかった。ナッシュビルのコースはコーナーがタイトですから、小回りができるクルマに仕上げていくことが必要です。しかし、今週末のパンサー・レーシングは、それをうまく達成できていません。ここで去年、パンサー・レーシングはとても良いレースを戦っていたし、今年の僕らはショートトラックでのセッティングを良いものにできていますから、ナッシュビルではもっとずっと高い競争力を発揮できると考えていたんですけどね。今のところ、その期待の通りになっていません。しかし、レースでは僕らにもチャンスは十分にあるはずです。走行時間も少なく、みんなレース用のセッティングを十分に仕上げられているとは言えない状況のはずです。オーバーテイクはかなり難しいでしょうから、ピットストップとかも重要になってくるし、暑さで体力的にもタフなレースになると思います。だからチャンスは絶対にあるはずなんです」

<ロン・キャット:チームマネージャー>
「最後まで絶対に諦めることなく、トップと同一周回で戦い続けたい」
「今日1日の間にプラクティス2回と予選が行われたが、我々のパフォーマンスは13番手と決して芳しいものではなかった。マシンセッティングが思うように進められず、自分たちの目指しているポイントまで到達できなかった。今日の予選でのコウスケのマシンは、スピードが足りていなかった。マシンのハンドリング自体は決して悪いものではなかったが、まだどこかでスピードをロスしている。
 我々は昨年のナッシュビルで3位フィニッシュを果たしている。その時のデータを取り入れたセッティングを今日も採用していたが、狙った通りの効果は出ていなかった。しかし、明日のレースでも去年得られたデータは有効であることに間違いはなく、我々はそうしたセッティングで戦うことを考えている。そして、さらなるセッティングの向上を施したマシンで戦うために、今晩これからコウスケとエンジニアたちはディスカッションを行うこととなる。
 レースではオーバーテイクが極めて難しいだろう。しかし、前を行くマシン、そしてトップグループに食らいついて行く戦いを続け、粘り走り続ければチャンスは必ず巡って来るはずだ。最後まで絶対に諦めることなく、トップと同一周回で戦い続ける。そして目指す上位ポジションでのフィニッシュを達成したい」
■■■予選結果■■■
1.33マイル(2.140km)                 出走18台
順位 No.  ドライバー     タイム   平均速度mph(km/h)
1位  9  S.ディクソン    22.8947   204.414(328.902)
2位 27  D.フランキッティ  22.9555   203.873(328.031)
3位 11  T.カナーン     22.9668   203.772(327.869)
4位  6  S.ホーニッシュJr. 22.9815   203.642(327.660)
5位 10  D.ウェルドン    22.9911   203.557(327.523)
13位 55  松浦孝亮      23.2433   201.348(323.969)
※全車、シャシーはダラーラ、エンジンはHonda、タイヤはファイアストン