INDY CAR

速さを見せるも、武藤は悔しい6位でフィニッシュ

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IPS インディ・プロ・シリーズ  第10戦コーニング・ツイン100s>
【日 程】7月6〜8日
【開催地】ニューヨーク州ワトキンスグレン
【コース】ワトキンスグレン・インターナショナル
【距 離】3.37マイル(5.422km)×29周=97.73マイル(157.238km)

■■■7月8日決勝■■■
8日決勝 天候:晴れ時々曇り/気温:30℃
 時間: 8日12時15分〜(日本時間 9日01時45分〜)
<5番グリッドから第2レースに挑む>
 ワトキンスグレン戦の週末はダブルヘッダーが予定されており、前日に続いて同じ1周3.37マイルの伝統のコースを29周する決勝レースが行われた。スタート時間も前日と同じ12時15分で、天候もやや雲が多くなったものの快晴が続いていた。レース開始時の気温は30度とやや高かったが、前日の第9戦とほとんど変わらないコンディションでレースが行われることになった。
 第10戦のスターティンググリッドは、インディアナポリスでの第7戦と同じ方式が採用された。第1レースの優勝者がレース後にクジを引き、その数字に応じてグリッドが決まる。優勝したドライバーが引いた数字は「6」。これにより第1レース優勝者は6番グリッドとなり、以下トップ6の順位がそれぞれリバースされることになった。第1レースを2位でフィニッシュした武藤英紀は5番グリッドでスタートを迎える。
<セットアップ変更でプラクティストップ>
 この日は決勝レースを前に、朝9時15分から10分間のファイナルプラクティスが行われた。前日のレースで武藤の55号車はクルマが硬すぎる傾向にあり、シケイン進入時に縁石に乗れないほどだったが、問題を解消すべくセットアップにいくつかのアイデアを試みると、それはトップタイムという結果になって表れた。武藤の出した1分40秒5748は2番手に0.5秒近い差をつけるものでセットアップ変更の方向性が正しかったことが証明された。コース初走行に加え、走行時間が限定されてしまった初日から、クルマも武藤自身も徐々にコースに適応し、第2レースの決勝を前に、さらに自信を深めていった。
<スタート直後のアクシデントで苦しい展開に>
 迎えた決勝は、スタート直後の1コーナーで先頭のクルマがスピンする波乱の幕開けとなった。イン側5番手スタートだった武藤はポジションキープのまま1コーナーへと進入していったが、すぐ前で発生したアクシデントを避けるためアクセルを戻さざるを得ず、スピードダウンを余儀なくされてしまう。結局この間に順位を3つ下げ、苦しい展開となってしまった。しかし武藤はすぐさま反撃に転じ、2周目が終わるころには7番手まで順位を挽回。ここからさらなる追い上げを図るべくペースを上げていった。
<最終ラップで1台を抜き、意地を見せる>
 しかし、その後は武藤の前に同じペースで走行する2台のクルマが現れ、そこから抜け出すことはできなかった。前を行く2台は1台がストレートスピード重視、もう1台はコーナリング重視と、まったく異なるセットアップだったことから、パッシングはさらに難しい状況になっていた。毎周のように前車のテールにつきパッシングを試みるものの、なかなか抜くまでには至らない。単独ではトップグループと同等のスピードを有していただけに、武藤にとっては非常に歯がゆいレース展開となってしまった。迎えた最終ラップで意地を見せ、なんとか1台を抜き6番手に上がるもそこでタイムアップ。結局6位でチェッカーを受けた。

■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「クルマはリクエストどおりになっていただけに、すごく悔しい」
「すごく悔しい結果となってしまいました。スタートは1コーナーに進入したときに窮屈になって行き場がなくなり、前にスピンをしているクルマがあったのでアクセルを少し抜いたところで後ろから何台かに抜かれてしまった。すぐに7番手までは上がれたんですが、その後は抜けませんでした。僕の方が前に出れば速いと思うんですが、クルマの後ろにつくとすごく抜きづらかった。タイヤがまだ新しい序盤のうちに抜くことができれば、展開は変わっていたと思います。自分ではいけるかと思ったんですが、最後まで抜けなかったですね。
 クルマは、昨日までバスストップ・シケインで跳ねてしまっていたんですがセットアップを変更したおかげでその症状がなくなりすごく良くなっていました。それを自分がうまく生かしきれなかった。僕の前にいた2台のうち、おそらく6番手のクルマはローダウンフォースで、5番手のクルマはハイダウンフォースのセットアップになっていたので、シチュエーション的にもすごく抜きづらかった。コーナーは相手の方が速くて、ストレートは僕の方が速いんですが相手もストレートスピードの速い5番手のクルマのドラフティングを使うのでなかなか捕まえきれない。それにクルマのダウンフォースを削ったぶん、前車の後ろにつくとほとんどグリップがなかった。そういう悪いシチュエーションにはまってしまいました。クルマは僕のリクエストどおりになっていたので、本当に残念です。来週は、またオーバルのレースですが、気持ちを切り替えてがんばります」
<ブレア・チューバッカー:クルーチーフ>
「残念な結果だが、我々はひとつずつ学んでいる最中だ」
「スタートがすべてだった。前でクルマがスピンして、ヒデキの前にいた2台がスピードを下げざるを得なかったため、行き場をなくしてスタックしてしまった。この間に順位を落としてしまったことが、あとで響いた。クルマは十分スピードがあったが、ワトキンスグレンは非常に抜きどころの少ないコース。それに、前に同じペースのクルマが2台いたという展開も影響した。こういう状況ではパッシングは非常に難しいものになり、実際なかなかこの状況を抜け出せなかった。我々は今朝のファイナルプラクティスに向けてセットアップにちょっとした変更を施したのだが、結果的にクルマはスピードアップすることができた。ヒデキも変更後の方が感触が良いと言っていたし、レースに向けてチームはいい状態だった。たしかに残念な結果ではあるが、週末を通してクルマは良く、まだポイントランキングでも2位につけている。我々は今年がルーキーシーズンであるし、ひとつずつステップ・バイ・ステップでいろいろなことを学んでいる最中だ。来週はまたオーバルに戻るが、我々はアイオワでいい走りができた。次戦ナッシュビルもいい戦いができると期待している」

■■■決勝結果■■■
3.37マイル(5.422km)×29周=97.73マイル(157.238km)    出走24台
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順位 No. ドライバー     周回数   タイム差
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1位  7  A.ロイド       29    52’28.2245
2位 27  W.カニンガム     29      +4.7194
3位 44  D.ヘリントン     29     +16.3398
4位 12  P.ギーブラー     29     +23.8961
5位 51  R.アンティヌッチ   29     +26.2453
6位 55  武藤英紀       29     +26.6746
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※シャシーは全車ダラーラ、タイヤは全車ファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
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順位 No. ドライバー      ポイント ビハインド
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1位  7  A.ロイド       477    リーダー
2位 55  武藤英紀       339     -138
3位  1  B.ウィルソン     277     -200
4位 27  W.カニンガム     270     -207
5位 53  M.ポテケン      231     -246
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