CHAMP CAR

雨がモン-トランブランのエキサイティングな予選セッションを演出し、トリスタン・ゴメンディがキャリア初のポール・ポジションを獲得

<Champ Car World Series>
暗く灰色の雲が山岳地帯にあるモン-トランブラン・サーキットを覆い、訪れたファンは雨の可能性があるエキサイティングな予選セッションを期待していた。一方、チャンプ・カー・ワールド・シリーズのドライバーとチームは、フロント・ロー・スタートとチャンピオンシップ・ポイントを獲得するための正しい戦略の計画に、頭を悩ませていた。
予選セッションの開始直前、雨が降り出し、セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、速いタイムを記録するために、濡れたコースへ最初に出て行ったドライバーの一人だった。雨の中、ブルデイに続いたのはロバート・ドーンボス(#14ミナルディ・チームUSAコスワース/DP01/ブリヂストン)。彼は序盤のターゲット・タイムとなるラップを記録した。
にわか雨の後、雨が弱まり、チームはスリックのブリヂストン・ポテンザに履き替えるか、溝付きのブリヂストン・レイン・タイヤを使い続けるかの決断を迫られた。チーム・オーストラリアのウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、スリック・タイヤに替える決断をし、コース・オフやマシンをスライドさせながらもタイムを上げていく。
同じくスリックに付け替えた3度のシリーズ・チャンピオン、セバスチャン・ブルデイと、チャンプ・カー2年目のダン・クラーク(#4ミナルディ・チームUSAコスワース/DP01/ブリヂストン)は、二人ともトップに近いタイムをマークする。不運にもギアボックスのトラブルを抱えたブルデイは、予選初日に手に入れたフロント・ローのスタート・ポジションを守りきることができなかった。ブルデイが苦戦を強いられる一方、クラークはドライとなったセッションのほとんどで速さを保った。このイギリス人ドライバーは規定の予選ラップである15周をすべて使い切り、ターゲット・タイムとなるラップを記録した。
最初にクラークのタイムに挑戦したのは、Rスポーツのジャスティン・ウイルソン(#9CDWコスワース/DP01/ブリヂストン)。彼はコースの大半で速かったが、コースの中で最も高度が低いために水が残りやすく、路面が乾くのが遅いターン4で苦戦した。ウイルソンは何とか速いラップを記録することができ、タイム・チャートのトップへ躍進するが、クラークが3周後に反撃し、セッションの残り1分となったところで、トップを奪い返した。
残り時間が少なくなるにつれ、タイム・アタック合戦はヒート・アップし、最後の90秒間に6人ものドライバーがトップを入れ替えた。カナダ人のポール・トレイシー(#3インデック・コスワース/DP01/ブリヂストン)が、まずクラークをトップから引きずり下ろすが、すかさずドーンボスがトレイシーを上回る。ルーキーのフランス人、シモン・パジノウ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・コスワース/DP01/ブリヂストン)は、ドーンボスの次ぎにフィニッシュラインを駆け抜け、最速タイムをマークするものの、彼もまたウイルソンに抜かれてしまう。ウイルソンの希望を打ち砕いたのはパジノウのチームメイトのウィル・パワー。彼はこのセッションの最速ラップとなる80秒943を記録した。
パワーはPKVレーシングのトリスタン・ゴメンディ(#22ペイ・バイ・タッチ・メガスピエラ・コスワース/DP01/ブリヂストン)と並んでスタートする。ゴメンディはこの予選セッションを走らなかったが、昨日記録したタイムによって、ルーキーのフランス人がキャリア初のポール・ポジションを獲得した。このポールはPKVレーシング史上2回目のもので、チームの共同オーナーであるジミー・バッサーが2005年のミルウォーキーで獲得して以来となった。
雨のため、金曜日の予選からのポジションの変化は、ウィル・パワーがフロント・ローへ躍進し、ブルデイを3番手スタートへ追いやったことだけだった。
チャンプ・カー・モン-トランブランは日曜日の東部時間午後2時からスタートし、アメリカのESPN、カナダではRDSによる生中継が配信される。また、レース・ファンはチャンプ・カー・ワールド・シリーズの公式ウエブ・サイトwww.champcar.ws にあるレース・ディレクターを通じて視聴が可能だ。
トップ3インタビュー
トリスタン・ゴメンディ: 。「僕は走りたかったけど、チームがそれを望まなかったんだ。確かにマシンには不安があった。今朝のセッションでエンジンに大きな問題を抱えていたからね。それでピットに留まることになった。これは僕の決断ではないよ。ポールのためには今日は走る必要がなかった。楽な一日だったよ」
ウィル・パワー:「最後のラップが最速になるだろうということはわかっていたよ。その前のラップまではいろいろ試していたんだ。僕は最後に全部のラップで試したことをまとめただけだよ。先週末は最悪のレースだったし、ポートランドも決してよくなかったから、今週末はどうしてもフロント・ローからスタートしたかった。明日はほんとうに勝ちたいんだ」
セバスチャン・ブルデイ:「ギアボックスの問題がある状態では、この雨が良いことになったのは確かだと思うよ。雨が降らなければ、このセッションは昨日よりタイムが速くなるはずだから、僕たちは多くのポジションを失って、たぶん最後尾に近いところからスタートしていただろうね。僕たちが抱えた問題からすると、今日の状況に助けられたといえるよ。ドライでも、ギアボックスが同じように壊れていただろうし、ひょっとするともっと早く壊れていたかもしれないんだ。不幸中の幸いだよ」