ALMS

序盤の攻勢実らず。ユタで不運に見舞われた3台のアキュラ

<Honda>
アメリカン・ルマン・シリーズ第5戦ソルトレイクシティ
■開催日:5月19日(土)
■開催地:ユタ州ソルトレイクシティ
■サーキット:ミラー・モータースポーツ・パーク
■コースコンディション:ドライ

 ユタ・グランプリのスタートから30分に渡り、アンドレッティ・グリーン・レーシング、ロウズ・フェルナンデス・レーシング、ハイクロフト・レーシングを擁するアキュラの3チームはLMP2クラスをリード。24のコーナーを含む1周4.5マイルと長いミラー・モータースポーツ・パークで目覚ましいスピードを披露した。
 #26 XMサテライトラジオ・アキュラARX-01を駆るマリーノ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は6番手のグリッドから素晴らしい出足を見せ、1周目に総合2位へ浮上した。フランキッティはLMP2クラスのトップに立ち、LMP1クラスのアウディを相手に総合1位の座をうかがった。
 その後、ルイス・ディアス(ロウズ・フェルナンデス・レーシング)の#15 ロウズ・フェルナンデス・ローラが鮮やかにフランキッティを抜き、クラス首位の座を奪う。ディアスは驚異的なペースを維持したまま26周を消化し、チームメイトのエイドリアン・フェルナンデス(ロウズ・フェルナンデス・レーシング)にステアリングを託した。
 その間にステファン・ヨハンソン(ハイクロフト・レーシング)の#9 ハイクロフト・レーシング・アキュラARX-01が総合のトップに躍り出る。チームは燃料を節約する戦術を採っており、これが効果を発揮した結果だ。交代したデイビッド・ブラバム(ハイクロフト・レーシング)も果敢なドライビングを続けたが、45周目にトラブルに見舞われることとなった。
 一時、アキュラのマシンはLMP2クラスのトップ3を独占していたが、ラスト30分に入ったところで、相次ぐ不運に襲われる。アンドレッティ・グリーン・レーシングのフランキッティはギアボックスのトラブルでピットストップを余儀なくされ、開幕戦セブリングを制したチームメイトのブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、一度もマシンに乗り込むことなく土曜のレースを終えることとなってしまった。フェルナンデスは遅いマシンに接触されリアタイヤをバーストさせてピットに戻らなければならなかった。
 ブラバムもフランキッティと同様の運命をたどっている。ハイクロフト・レーシングもまた、駆動系のトラブルに見舞われたからだ。
 結果的に、ペンスキー・チームのポルシェがLMP2クラスの1〜2位を占め、サーシャ・マーセン/ライアン・ブリスコー組の#6 ペンスキー・ポルシェが総合優勝を飾った。アウディは総合の2位となり、LMP1クラスを制することとなった。
 ロウズ・アキュラ・ローラは、アメリカン・ルマン・シリーズ全12戦中5戦目にあたる2時間45分のレースをLMP2クラス5位、総合7位という結果で終えた。ペンスキー・チームのポルシェは3戦連続で総合優勝を手にし、アメリカン・ルマン・シリーズにおけるポイント争いのリードを広げた。

■ロウズ・フェルナンデス・レーシング:LMP2クラス5位(総合7位)
ルイス・ディアス(Luis Diaz)
「アキュラのマシンは良かった。ポルシェより速く、アウディについていくことができた。スタートは変な感じだった。ペンスキーのマシンが何をやっていたのか判らない。かなり長い間、マツダに引っかかっていたけれど、その前へ出ると上位グループに追いつけた。残念ながら、エイドリアン(・フェルナンデス)が遅いマシンと接触してしまった。本当なら、もっといい位置でゴールしていたはずだ」
エイドリアン・フェルナンデス(Adrian Fernandez)
「よくあることだ。2台のGTカーがこっちを見ていなかった。抜きかかっていたタイミングで、フェラーリが左のリアにぶつかってきた。こっちを見ていなかったのだろう。反対側にいたポルシェのGTも、まったくこちらを見ていなかった。私としては、どうしようもなかった。仕方がない。ツキがなかったということだ。マシンは強力で優勝も狙えたと思う。残念なことに、上手くいかなかった」

■ハイクロフト・レーシング:LMP2クラス6位(総合21位)
デイビッド・ブラバム(David Brabham)
「結果は残念だが、得るところは沢山あった。フリー走行で時間をロスした割には、ずいぶん差を詰められたと思う。セッティングの手際は見事だった。マシンを引き継いだあと、グリップが良くなってからは速いペースで走れた。その頃にギアボックスが壊れたのは残念だ。それでもポイントを獲ったし、レースから色々なことを学んだ。次のライムロックは地元だし、この先の何戦かは期待できるだろう」
ステファン・ヨハンソン(Stefan Johansson)
「スタートはもの凄かった。ポルシェはどうしていたのだろう。まるでまだペースカーの後ろにいるような感じだった。1コーナーへの進入は、かなり激しかった。何台かのマシンに囲まれ、ポルシェが横からぶつかってきた。右のリアホイールが曲がったけれど、なんとかエア抜けは免れた。そのあと、マシンの感触はよかったが、燃料を節約する作戦だったから、序盤は抑えていた。全体的にみてもマシンは悪くなかった」

■アンドレッティ・グリーン・レーシング:LMP2クラス8位(総合25位)
マリーノ・フランキッティ(Marino Franchitti)
「タイヤがパンクしたように感じ、次の瞬間にはバーストしていた。スタートは良かったが、どうなったのかはっきり判らない。ペンスキーのマシンは止まっているようだったから、隙間を探し、そこを抜けていった。セント・ピーターズバーグのスタートと似たようなものだったが、今回は接触せずに済んだ。ルイス(・ディアス)は抑えられると思っていたけれど、1コーナーでポルシェに進路を塞がれ、その隙にインから抜かれてしまった。今日の結果は残念だったが、クルーは凄いマシンを用意してくれていた。不運にもギアボックスが壊れて走れなくなっただけだ。ステアリングを握れなかったブライアン(・ハータ)が可哀想だ。ここでも速かったはずなのに」
ブライアン・ハータ(Bryan Herta)
「XMサテライトラジオ・アキュラ・チームにとって、大変残念な結果になってしまった。マリーノ(・フランキッティ)は素晴らしいスタートを切り、私の感じでもマシンのハンドリングは抜群だった。マリーノは、十分トップグループについていけると言っていた。ところがギアボックスのパーツが壊れ、時間内に修理するのは困難だった。ポルシェについていこうとしたけれど相手は速すぎた。ライムロックまでに6週間のインターバルがある。その間に全力で準備を整えるつもりだ。このあとの2レースでは良いところを見せたい」