INDY CAR

松浦孝亮、インディ500予選でグリッド6列目に

<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IRLインディカー・シリーズ第5戦 第91回インディアナポリス500マイルレース>
【日程】5月12日/5月13日
【開催地】インディアナ州インディアナポリス
【コース】インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
【距離】2.5マイル(4.023km)
【天候】晴れ(05/12)/晴れ(05/13)
【気温】22℃(05/12)/22℃(05/13)

<ポールデイにグリッド獲得ならず>
 第91回インディアナポリス500マイルレースに向けて、松浦孝亮とスーパーアグリ・パンサー・レーシングは「ポールデイ」と呼ばれる予選初日に決定する11番グリッドまでに食い込むことを目標として、シリーズ最長そして最速のスピードウェイを攻略するセッティングにトライしてきた。しかし、予選初日に松浦がグリッドを獲得することはできず、予選2日目に2度目のアタックを行うことになった。

<インディ500予選の難しさ>
 インディ500は1カ月間におよぶ長い戦いである。プラクティス開始から5日目に予選が始まり、それも2週にわたって競われる独特のものだ。たっぷり走行時間があるため、出場チームにはマシンを高いレベルまでファインチューニングする機会が与えられるが、多くのトライができることで混乱をきたす場合もある。ここにインディ500でのポールポジション獲得、そしてレースを制することの難しさがある。
 予選アタックも通常のコースでは2周のみだが、インディ500では4周、それも4周連続で計測されたラップタイムの合計で順位が決まる。全長2.5マイルとIRLインディカー・シリーズ開催コースで最も長いインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、225mph(362.025km/h)を超えるスピードで走り続ける超高速トラックだ。空力セッティングに対して、他に類を見ないほどの繊細さが要求される。気温や風向きなどほんの小さな変化にもマシンが敏感に反応し、性格を大幅に変える。4周を走り切るには2分40秒近くかかるため、その間に風向きや風の強さが変わるのはもちろん、タイヤの空気圧やグリップレベルも変化する。インディ500の予選アタックはドライバーに極度の緊張を強いるだけでなく、微妙なコンディションの変化を的確に感じ取り、それらに対応してラインやマシンのセッティングを調整する能力さえも必要とする。シリーズ中で間違いなく最も難しい予選が、インディ500なのである。

<1マイルが分けた明暗>
 2004年までは、いったん全33グリッドが決定したあとにバンプアウトが始まったが、05年から新フォーマットが導入され、ポールデイにはポールポジションから11番グリッドまでが確定することになった。予選2日目に12番から22番グリッドが決まり、残る11グリッドを予選第2週目の2日間で争うことになる。この新方式が導入されてから、昨年まではポールデイが雨で走行できなかったため、初日からバンプアウトが見られることはなかったが、今年はポールデイから好天に恵まれ、19人のドライバーたちが11グリッドを目指してアタックを繰り広げた。
 松浦はポールデイのアタックで221.866mph(356.982km/h)を記録したが、目標の11番グリッドを獲得するには1マイルほどスピードが足りなかった。チームは気温の下がる予選終了間際に再度アタックを行うべく、プラクティスを再開。その他のドライバーも日中の気温・路面温度が高い時間帯には予選アタックを行わず、午後4時30分あたりから再びアタックが始まった。松浦のマシンも予選に臨むべく順番を待つ列へと並ぶ。しかし、松浦の2台前までの時点で予選は終了。2回目のアタックを実現することはできなかった。

<予選2日目に17番グリッド確定>
 予選2日目は気温も低く、風も弱くなり、初日のような北からの風ではなく、東からと風向きも変わっていた。松浦は午前中のプラクティスでマシンのハンドリングを確認すると、予選開始直後の正午過ぎ、この日2番目のアタッカーとしてコースイン。記録された4周の平均スピードは222.595mph(358.155km/h)と、十分に満足できるものではなかったが、チームはこれで22番以内に入ることは確実な状況と判断し、さらなるアタックは行わないことを決定した。
 最終的に予選2日目には17人のドライバーがアタックを敢行。このうち松浦は6番目のスピードを記録し、予選17位。スターティンググリッドは6列目の中央と決定した。今後は決勝レースをにらんで、セッティングを煮詰めていくことになる。

■■■コメント■■■

<松浦孝亮>
「決勝に向けて新しいアイデアを試してい」
「去年までの3年間、ずっと予選は初日で終えてトップ11にも入っていましたが、今年はマシンのセッティングを外してしまい、予選2日目にもう一度アタックすることになりました。チームメイトも僕と同じように苦しんでいます。当然グリッド4列目のアウト側、12番手を狙っていたんですが、プラクティスを走ってもスピードが上がらず、予選アタックでも目指していた223mph台には届きませんでした。
 しかし、インディ500は非常に長いレースです。フロントロウに並ぶことができれば最高ですが、2列目以降はスタートでのタービュランスが大きくなる以外さほど差はありません。レースでのハンドリングを良くするため、来週からのプラクティスで頑張りたいと思います。
 今年は、予選までのプラクティスでトラブルが多く出たためセッティングをうまく進めることができませんでした。予選を終えたこれからは、決勝で思いきり戦えるマシンに仕上げるために全力をあげます。トラフィックに強いレース用マシンについて、僕たちはいくつかのアイデアを持っています。スプリングなど新しいセッティングも試す予定です。長いレースをトラフィックの中で戦い抜き、フィニッシュまで走り切ることができるマシンを作り上げるために、来週の水曜日からはまた気持ちも新たなものにして頑張っていきます」

<ロン・キャット:チームマネージャー>
「マイケル・アンドレッティをバンプアウトする可能性は十分あった」
「予選ではトップ11入りを実現できると考えていたが、我々の順位は17位となった。プラクティスでは、2日間ほどマシンのフィーリングが良く223mph台のスピードを出せた日があったのだが、そこから我々のマシンは少しずつ悪い方へと向かってしまったようだ。しかし、2日目に決勝へと進出する権利は獲得したので、これからはレース用セッティングを詰めていく作業に取りかかる。
 ポールデイの予選では、最初のアタックで狙った通りのスピードを出せなかったため、再度アタックを行うことにした。しかし、プラクティスでマシンのハンドリングを確認したあと予選の列に並んだのだが、それがわずかに遅過ぎた。我々は11番手につけていたマイケル・アンドレッティをバンプアウトすることは十分に可能だと考えていたのだが、ギリギリ時間切れで2回目のチャンスが巡ってくることはなかった。
 不本意な成績ではあるが予選は終了した。グリッド3〜4列目が見えていただけに、大変くやしいと感じている。来週の水曜から始まるプラクティスでは、決勝用セッティングに集中してプログラムをこなしていく。予選よりも大きなダウンフォースをつけるレース用セッティング、それに対する自信がパンサー・レーシングにはある。我々は安定した速さを保つマシンを作るための良いアイデアを持っていると自負しているんだ」

■■■予選1回目/予選2回目結果■■■
2.5マイル(4.023km)               出走26人/44台
順位 No. ドライバー    マシン タイム  平均速度mph(km/h)
1位   3 H.カストロネベス  D/H/F 2’39.4214 225.818(363.341)
2位  11 T.カナーン     D/H/F 2’39.4634 225.757(363.243)
3位  27 D.フランキッティ  D/H/F 2’39.8642 225.191(362.332)
4位   9 S.ディクソン    D/H/F 2’39.9136 225.122(362.221)
5位   6 S.ホーニッシュJr.  D/H/F 2’39.9227 225.109(362.200)
17位 55  松浦孝亮     D/H/F 2’41.7290 222.595(358.155)
※D=ダラーラ、P=パノス、H=Honda、F=ファイアストン