<US-RACING>
決勝日の初日、晴れとなったデイトナは、これまでの二日間に比べて朝から暖かく、最高気温も22度まで上昇した。やっとフロリダらしい気候となり、日中はTシャツ一枚でも暑さを感じた。午前中はドライバーによるサイン会が行われ、午後になるとドライバー、チーム紹介が始まり、午後1時30分に24時間耐久レースのグリーン・フラッグが振られた。
ポールポジションからスタートしたガインスコ/ボプ・ストーリング・レーシングの99号車をドライブするアレックス・ガーニーは、4周目にトップから後退すると6周目にはターン4でGTクラスのマシンと接触。ノーズにダメージを受けると、右タイヤをパンクしてしまい、ピットに戻り修復作業を行った。8周目にはコースに戻るが、マシンの調子は完全ではなく14周目に再びピットイン。エンジンカバーが外されると長時間、修復作業が行われた。親子二代によるデイトナ24時間の優勝の可能性は、レース序盤で早くもなくなってしまった。
レース開始から約5時間後、トップ争いを演じていた昨年のウイナー・チーム、テレメックス・チップ・ガナッシの2号車がピットインし、給油作業を始めると突然給油口から炎が立ち上がった。炎はコックピットの内部まで広がり、ドライバーの安否が心配されたが、迅速な消火活動で直ぐに消火された。消化作業が終了すると再び燃料を補給。ドライバーにも特別ケガはなかったようで作業が終了するとマシンは再びコースに戻っていった。
スタートから6時間後となる午後7時30分。太陽は西に完全に沈み、デイトナ・インターナショナル・スピードウエイのコース内は敷地内の照明設備で照らされていた。この時点でレースをリードしているのは、スコット・プルーエットがドライブする1号車。プルーエットから22.398秒遅れでスコット・シャープがドライブする58号車続き、1周遅れでサマックス・モータースポーツの11号車をパトリック・カーパンティエがドライブしていた。
11時ごろになると心配されていた雨が降り出す。アクシデントも発生するようになり、順位の変動も激しくなるような展開に思われたが、折り返し地点となる午前1時30分の時点でトップ・スリーに大きな変動はなかった。リーダーはライアン・ディアゼルがドライブする11号車で、そのディアゼルを2分29秒840遅れでファン・パブロ・モントーヤの駆る1号車が追う。3番手にはメモ・ロハスがドライブする2号車がトップから1周遅れで続いていた。
雨は降ったり止んだりを繰り返していたが、午前3時を過ぎると雨は止む。このまま雨が降らないのではと思っていたが、やっとデイトナの空が明るくなった午前7時を過ぎたころ、次第に雲行きが怪しくなり、深夜のようにぱらぱらと雨が降り出した。8時頃には風の影響もあって雨が強くなっていった。悪天候になったが依然トップ・スリーのマシンは1号車、11号車、2号車と順位、ドライバーは変わってもトップグループが変わることはなかった。
早朝の激しい雨がまるで無かったかのように午前9時を過ぎるとデイトナの空は晴れ渡ったが、気温は低く肌寒い天候となった。レースも残り約4時間となった午前9時34分、トップグループを走行する2号車にトラブルが発生した。メモ・ロハスがドライブしていたが、ターン1でタイアバリアに激しく接触してしまった。残念ながら昨年の優勝コンビがレースに復帰することはなかった。これまであまり変動の無かったトップ・スリーのマシンが入れ替わり、トップはダレン・マニングがドライブする11号車、47秒297秒遅れでモントーヤが操縦する1号車が続き、一時は4周遅れだったヤン・マグネッセンが駆るサントラスト・レーシングの10号車が1周遅れまで挽回し、3番手を走行していた。
デイトナ・インターナショナル・レースウエイのロード・コースを24時間で668周し、トップでフィニッシュしたのは、テレメックス・チップ・ガナッシのスコット・プルーエット、ファン・パブロ・モントーヤ、サルバドー・ドゥランがドライブした1号車だった。チームにとっては見事2年連続優勝となった。モントーヤは今回のデイトナ24時間が初参戦だったが、インディ500で優勝したときと同じように、初参戦初優勝を飾った。プルーエットにとっては、7回目のクラス優勝となり、自身の記録を更新することになった。ドゥランにとってはモントーヤ同様、初参戦初優勝を飾ることになった。2位には1分15秒842秒差で、サマックス・モータースポーツの11号車が入り、3位は結局2周遅れとなったが、サントラスト・レーシングの10号車が入った。
レースがスタートして約5時間30分後の午後7時、安川がサマックス・モーター・スポーツの7号車のハンドルを握ったが、約1時間ほどでドライバー交代となった。「夜に雨が降ることを考えて、チームとしてはスポーツ・カーで雨の経験が一番長いエンゲをそのタイミングにあわせました。その結果、ローテーションを早めにしたんです」と、交代について状況を話す安川。最初の走行に関して「クルマにやっと慣れてきたところでトラフィックに引っ掛かったりするので、リズムを作るのが難しいですね」と、感想を話した。2回目の走行はだいぶ間隔が開き、翌日の午前11時40分頃となった。このスティントでは走行を開始して僅か2周目にギアボックスにトラブルが発生。スピードをうまくコントロールすることができず、徐々に後退する辛い走行となった。「朝に乗る予定だったんですけど繰り越されて、最後のダブルスティントか最低1時間は走る予定になりました。でも、2周目にギアボックスの4速が壊れてしまいました。その辺が耐久レースなんだな、と実感しましたね。個人的にはもっと乗りたかったんですけど、チームワークとして一番いい結果が出る方針で作戦を立てていくので、従うしか無かったです。結果的には6位でフィニッシュしたので、満足したいところではあるのですが・・・・。今回のレースはいろいろな経験ができましたので、今回に限らず、年末にも長いレースが2回あるのでそういったレースにも出てみたいですね」と、レースを終えた安川は、初参戦となったデイトナ24時間でのレースについて話した。まだ、次のレース参戦は未定だが、再び安川が走行する姿を早くみたいところだ。