もしアクシデントが発生したら・・・・・・
胃を痛くさせる仮設コースの「リスク」
「無事に終わって、ほんとうに良かったですよ」
インディ・ジャパンのレース後、ゲートから出ようとしている観客の流れを見ていた時に、昔から良く知っていたツインリンクもてぎのスタッフとばったり会った。開口一番、彼はそう言って、実にほっとした様子。今はその気持ちが痛いほど、良く解る。
統計的に見ても滅多に起きるものではないが、時にシリアスなアクシデントが発生してしまうことがある。主催者として、そうならないように最大限の努力をしていても、まったく予想できないのがアクシデント。「偶然に偶然が重なって・・・」としか言えないようなことが、実際に起きてしまうものだ。
もし、小樽の最初のレースで取り返しのつかないような事故が発生してしまったら、どうなるのか。そう考えると、眠れなくなってしまう。日本では二度と、仮設コースでのレースができなくなってしまうかもしれない。今こうして書いているだけで、胃が痛くなってくる。リスクはとてつもなく、でかい。
そういった意味でも、やはり実績というのはとても大事であり、アメリカやオーストラリアの仮設コースで無事にレースが行われているということを、みなさんに知ってもらうしかない。ロング・ビーチの32年間で観客を巻き込むようなアクシデントはいっさいなかったし、オーストラリアの15年間でも、そのような事故はなかった。昨年初開催されたサンノゼや、今年から始まったヒューストンだって、無事にレースが終わっている。
仮設コースということでみなさんが心配されるのは当然であり、クルマが飛び出さないのか? という疑問も出て当たり前。しかしFIAの基準に合致したコースをしっかりと作って、無事にレースが行われているということを、ぜひ知っていただきたい。それに、常設コースよりも明らかに難しい仮設というフィールドにおいて、無事にレースを運営しているチャンプ・カーや、イベントを主催している現地のプロモーターの存在も、知ってもらえればと思うのだ。
筆者近況
想定しているコース周辺のみなさんに、5月から3回に渡ってレース・イベントの説明会を行って来ました。これまでの経緯に始まり、チャンプ・カーや市街地レースの説明、小樽で開催する魅力などをお話しています。ロングビーチで計測してきた騒音のデータも見てもらったり、チャンプ・カーのビデオも上映。必ず最後は質疑応答を設け、ご質問やご意見をいただいているのですが、これまで反対は皆無でしたよ。
(オートスポーツ誌 2006年7月6日号に掲載)