人生で確実なことは、死ぬことと税金を支払うことしかないということわざがあるが、ブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードのファンにはもう1つ確実なことがあった。それはチャンプ・カーがモンテレイへ行く度に、セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がポール・ポジションになるということだ。
ブルデイは、日曜日のテカテ・グランプリ・オブ・モンテレイ・プレゼンテッド・バイ・ロシュフランズでポール・ポジションを獲得。73秒253を記録し、モンテレイのファンディドラ・パークで4年連続となる予選トップに輝いた。彼のタイムは2年連続で2.104マイルのトラック・レコードを更新するとともに、このニューマン/ハース・レーシングのドライバーはキャリア通算19度目のポール・ポジションを記録した。
昨日の第一予選とほとんど同じように、ブルデイがベスト・タイムを記録した後にジャスティン・ウィルソン(#9CDW・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、最後の望みを賭けてアタック。手に汗握る展開となる。コース上に残ったマシンで、このフレンチマンを打ち負かせるのはもはやウィルソンだけ。しかし、昨日のようにはいかなかった。ブルデイをポール・ポジションの座から引き摺り下ろすには十分ではなく、ウィルソンのベスト・タイムは73秒532でこの日2番目に終わった。ウィルソンは金曜日の予選をリードしたため、3年を迎えるチャンプ・カー・キャリアで通算6度目のフロント・ロー・スタートとなる。
ウィルソンのルースポートのチーム・メート、A.J.オールメンディンガー(#10ルースポート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、明日の3番手グリットとなる73秒796のベスト・タイムで、今シーズン初めてのトップ3スタート。また、昨年の最終戦のメキシコ・シティから数えて4戦連続のトップ5スタートとなった。
華氏100度(摂氏37.8度)にもなった暑さの中、このセッションはゆっくりと始まった。トップ・ドライバー達がピットで待機している間、チャンプ・カーのルーキー達が予選セッションの最初の周回を記録。最初に出たのはダン・クラーク(#14CTE・レーシング‐HVM・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と、ニッキー・パストレリ(#8バーバリア・シティ・レーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)。しかし、観客が盛り上がったのは、地元で大人気のマリオ・ドミンゲス(#7オーグロ・デ・メキシコ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、4周目にタイム・チャートのトップに立ってからだった。
ドミンゲスはセッションの中盤までトップに留まっていたが、キャサリン・レッグ(#20ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がスピンを喫してレッド・フラッグが出たため、他のドライバーとともにピットへ戻ることになった。昨日の上位陣がコースに出たばかりでのこの中断は、彼らの出鼻をくじいたように見えたが、セッションの残り16分でグリーン・フラッグとなったため、彼らには何の影響もなかった。
ブルデイがポール・ポジションへ浮上するのに、必要としたのはわずか3周だった。そしてその1周後にはブリヂストン・ポール・ポジション・トロフィーを確実にする。それからブルデイは後続との差がどれくらいついたかを確かめるためにピット・レーンへ。しかし、オールメンディンガーが記録したラップ・タイムが、ブルデイのトップ・タイムと接近していたため、ブルデイは再びコース・インすることを決めた。
「トラックがどうなるか予想できないね。普通のトラックではコンマ3か4、もしくは5秒くらいは速くなるはずだけど」と再びコース・インを決めたブルデイ。「確かにタイヤを無駄には使いたくないけど、第2スティントで何もしないでポール・ポジションを逃したら間抜けに見えるだろう。でも、ロング・ビーチのようなことをやって成功したら、すごいスターに見えるだろうけどね。これは難しい選択といえる。今回は安全策としてもう一度コースにでたんだ」
オーメンディンガーはブルデイのタイムに近づくことさえできず、ウィルソンの最後の周回も2位が精一杯だった。これでブルデイのポール・ポジションが確定し、ジミー・ブライアンと並んでチャンプ・カー史上最多ポール・ポジションの15位に浮上した。チーム・メートのブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が金曜日からポジションを1つ上げ、73秒911のタイムで4位に入った。金曜日は4位であったポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は74秒009のタイムでここまでがトップ5。
アレックス・タグリアーニ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、今朝のプラクティスでの事故が影響して6位となり、このグリッドからモンテレイの5年連続トップ5フィニッシュを狙う。オリオール・セルビア(#6ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は7位。タグリアーニが出した74秒553との差はわずか0.019秒だった。
ドミンゲスはこの日を8位で終える。ウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は9位で、ルーキー中トップとなった。2レースを終えてパワーはロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーをリード。努力のかいあって、キャリア・ベスト・スタートとなった。チャンプ・カー・アトランティック・チャンピオンのチャールズ・ズウォルスマン(#34ゴールデン・パレス・ドット・コム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は10位となり、始まったばかりの彼のキャリアで初のトップ10スタートを切る。ズウォルスマンの後ろにはルーキーのヤン・ヘイレン(#11サニーズBBQ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)。彼もまたスタートしたばかりのキャリアでベストの予選となった。
明日の76周するテカテ・グランプリ・オブ・モンテレイ・プレゼンテッド・バイ・ロシュフランズは現地時間午後1時、アメリカ東部時間午後2時に始まる。生中継はスピード・チャンネルで東部時間午後2時から観ることができる。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ: 「2周連続でクリア・ラップを取れたよ。これをずっと待っていた。その2周で決めることができたんだ。マクドナルド・チームにとって、これ以上の喜びはないね。4 年続けてポール・ポジションを獲得できたのはかなりすごいと思うよ。このレーストラックが大好きなんだ。決勝はいつも大変だけど、明日はうまくいくといいね。明日は何が起きるかわからないけど」
ジャスティン・ウィルソン: 「昨日賭けに出て、あの1周にオルタネート・タイヤを使ったのが良かった。そのために今日はちょっと不利になるとわかっていたけれど。良いセッティングが見つからず、このタイヤでどのように走れば良いかわかっていなかった。状況を考えれば良く走ったと思うし、CDW #9のクルーの全員がすばらしい仕事をしてくれた。明日のレースを楽しみにしているよ」
A.J.オールメンディンガー: 「今日はまぁまぁ上手くいったかな。プラクティスはかなり速かったから、予選ではがっかりしたね。マシンを完璧にすることができなかったんだ。だけど、トップ3には入ったよね。少なくともフロント・ローに近い位置に入ったのはうれしいよ。みんなが言っているように、明日は長くて大変なレースになる。マシンはまだ少し改善の余地があると思う。明日が楽しみだよ」
主な注目のポイント
セバスチャン・ブルデイはリック・メアーズ以来となる同一トラック4連続ポール・ポジションを記録。メアーズは1988年から91年にフェニックス・インターナショナル・レース・ウェイで記録している。
メモ:マイケル・アンドレッティもグランプリ・オブ・デトロイトで1989年から92年に4連続ポール・ポジションを勝ち取っているが、1992年にベル・アイルにイベントが移る前の3回はダウンタウンのストリート・コースであった。
ウィル・パワー、チャールズ・ズウォールスマンとヤン・ヘイレンは9位から11位までに入り、この3人はスタートしたばかりのチャンプ・カー・キャリアでベストの予選結果となった。
ジャスティン・ウィルソンは2004年のメキシコ・シティから数えて6回目となるトップ3スタート。その何れも常設ロード・コースである。