<US-RACING>
開幕戦を制したのは昨年のチャンピオン、ブルデイだった。ポール・ポジションからスタートしたブルデイは、2位以降のマシンを寄せ付けない速さで独走。イエローコーションが発生し、その差が縮まっても直ぐに後続との差を広げるといった走りを続け、文句なしのポール・トゥ・ウインを飾った。明らかにブルデイだけレベルが違う速さだったのは確かだ。開幕戦となるロング・ビーチで2年連続優勝を記録したブルデイは、今年もこの勢いでチャンピオンを獲得する可能性が高いと思わせるレースだった。
カリフォルニアらしい真っ青な空に恵まれたロングビーチ。日差しは強いが、気温18度と絶好のコンディションとなった。3日間で昨年を上回る20万人近くの観客が集まったロング・ビーチで、西海岸最大のスポーツ・イベントは午後1時すぎにスタートする。昨年の覇者ブルデイが好スタートを切り、そのあとをウイルソンが追うも、後続ではドミンゲスがチームメイトのトレイシーにヒット。コントロールを失ったトレイシーはオールメンディンガー、セルビア、ジュンケイラを巻き込んでいっきに4台がリタイアとなってしまう。今年からコース幅が広くなったターン1だったが、アクシデントの発生率は依然高い。特にスタート後が鬼門だ。トップグループがリタイアし、ある意味レースの面白さが半減したような気がするがこれもレース。来年はスタートでクラッシュのないことを願いたい。
今年からCDWのスポンサーを得たウイルソンが、2位でフィニッシュ。幸先のいいスタートを切った。「確かにレースはとてもうまくいったね。すごくスムーズなレースだった。スタート後のターン1を注意してたら、バックミラーでクラッシュしているのが見えたよ。誰かがブルーノにヒットして、彼が飛んでいたのをね。AJもリタイアに終わって、ほんとうに残念だったと思う」とウイルソン。スタート時にミラーを見て状況を把握するなど、かなり余裕があったようだ。昨年チームメイトのAJよりも先に初優勝し、今年はスポンサーも獲得。昨年と同様、AJとは対照的なレースとなった。写真では解りずらいが、マシンは濃い蛍光のピンクとなっていて、デザインもなかなか。でも全体的に赤いマシンが増え、遠くからでは判別しにくいのがつらいところだ。
予選7番手からスタートしたタグリアーニは、目の前でおこったオープニング・ラップ、ターン1でのアクシデントをまさに間一髪で切り抜け一気に3位へ浮上、そこから好位置をキープした。「シーズン・オフは十分なテストを行うことができなかったため、開幕戦のレース・ウィークに入ってからも調整を続けていた。プラクティス、予選とレッド・タイヤのセッティングを煮詰める時間がなかったので、レース中、特に後半はあまり無理をせずにひたすら上位フィニッシュを狙ったんだ」と語っていた。自身にとって13度目の表彰台だが、ここロング・ビーチでは初めて。昨年はメキシコ・モンテレイでの1回のみだったが、最終戦のメキシコで小樽グランプリ開催を応援してくれたタグリアーニ。今シーズはぜひとも優勝を狙ってほしい。
昨年、オーストラリアと最終戦メキシコ・シティに参戦していたウィル・パワーは、ルーキー勢ではトップからスタートし、15周目からはチームメイトのベテランドライバー、タグリアーニに次ぐ4位を走行していた。しかし、35周目にドミンゲスがパワーをターン1で追い抜こうとしたときに、抜かれまいとパワーがドミンゲスをブロック。それが裏目に出たパワーはタイヤをロックさせてしまい、マシンはターン1を曲がり切れずにストップしてしまった。早くクルマを戻してくれとアピールするパワーだが、再び走り出したときには最後尾まで後退。ルーキーとして健闘していたが、結局周回遅れの9位でフィニッシュした。
チャンプ・カーで初めてのレースとなったレッグは、スタートの混乱も無事に切り抜けるも、35周目にスピンを喫してしまい周回遅れに。しかし、50周目に発生したイエローコーション中に、ピットインしたレッグはトップと同一周回に復活した。その後は何とか同一周回を保ち、見事8位でフィニッシュ。チャンプ・カー・ワールド・シリーズでは女性ドライバーとして最高位でレースを終えることになった。「8位でフィニッシュできてよかったと思いますが、レースではミスをしましたし、レーサーとしてはもっといい内容を常に求めますよね。今回参戦した男性ドライバーと同じようにね」と、女性ドライバーとして最高位フィニッシュしたことに対し、あまり嬉しいような感じではなかった。インディ・カーに参戦しているダニカ・パトリックも女性を強調されることを嫌がるが、確かにレーシング・ドライバーというカテゴリーでの男女の違いはない。しかし、メディアとしては否が応うにも女性ドライバーを強調することになってしまうのも致し方ない気がする。