<Honda>
2006年3月25日(土)・予選
会場:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ 天候:快晴 気温:21℃
1年を通して温暖なフロリダ州ホームステッドで、今年もIRL IndyCarシリーズが開幕した。アメリカ大陸東南部に位置するフロリダ州は、3月がベストシーズン。昨年より3週間遅いシーズンスタートとあって、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイは週末を通して暖かな気候に恵まれることが期待されていた。
今年からIndyCarシリーズはHonda Indy V-8のワンメイクで争われる。Hondaが用意するエンジンは、各チームの手元に届く前にすべてがまったく同じ性能を発揮するよう厳格なチェックを受ける。シャシーは2種類存在するが、エンジンは全員が同じものを使用するとなれば、差の生まれる要素がひとつ減り、競争は去年までよりも激しくなる。
予選はフロリダ半島南端ならではの好天下で行なわれ、チーム・ペンスキーのダラーラ-Hondaに乗るサム・ホーニッシュJr.が24秒4625というレコード・タイム(平均時速218.539マイル)で今シーズン最初のポールポジション・ウイナーとなった。IndyCarシリーズで2度のシリーズ・タイトル獲得歴を持つ彼にとってキャリア7回目のポールポジションだ。
金曜日に2回のプラクティス(練習走行)が開催され、予選は走行2日目となる土曜日に、さらに1回のプラクティスを行なった後に開催された。予選日の朝方は冷え込み、雨の心配もされたが、灰色の雲は風に乗って流され、午後には摂氏21℃まで気温が上がっていた。風も弱く、絶好のコンディション下での予選となった。
開幕戦にエントリーしたのは20台。1台ずつが2周ずつのアタックを行なうシングル・カー予選方式で明日のレースのスターティング・グリッドは争われた。ホーニッシュJr.に続く2位となったのは、チームメイトのエリオ・カストロネベスだった。タイムはトップと0.0506秒という僅差の24秒5131だった。チーム・ペンスキーにとっては2002年にIRL IndyCarシリーズへの参戦を開始して以来9回目のフロントロー独占である。
3番グリッドは参戦2年目の女性ドライバー、ダニカ・パトリックのものとなった。彼女の走るレイホール・レターマン・レーシングは、今年もパノス・シャシーを使用している。昨年はルーキーながら3回のポールポジション獲得を果たしたパトリック。今年は予選アタックの技術にさらに磨きがかかっているようだ。ルーキー年に2レースで4位に入賞している彼女にとっては、初めてのトップ3フィニッシュ、そして初優勝が目標となる。
スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングでダラーラ・Hondaを駆る松浦孝亮は、予選14位となった。彼らは今年からシャシーをダラーラに変更。シーズン・オフのテストはルールによって2回しか行っていないため、今週末は3回のプラクティスを使って決勝用セッティングを仕上げることに集中してきている。彼らは予選順位よりも、決勝でのパフォーマンスを良くすることに集中した戦い方をしているのだ。松浦はこの2日間でマシンが大きく進歩したことに満足しており、レースでは上位への進出が期待できそうだ。
ポールポジションを獲得した過去6回のレースで5勝し、キャリア14勝を挙げて来ているホーニッシュJr.が開幕ダッシュを見せるのか。チームメイトのカストロネベスがそれを阻むのか。あるいは、予選で4位と8位となったチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンとダン・ウェルドン、2人の元チャンピオンが勝利の栄冠をさらうのか。Honda Indy V-8のワンメイクで初めて争われる開幕戦には大きな注目が集まっている。
■サム・ホーニッシュJr.(ポールポジション)
「昨日、今日とプラクティスでは決勝用セッティングに重点を置いていたので、各セッションでトップタイムこそ出せなかったが、予選ではギリギリまでウイングを寝かせたセッティングでアグレッシブに走った。ポールポジション争いの強敵となるのはチームメイトのエリオになると予想していたが、僕がほんの少しだけれど速いタイムを出せた。昨シーズンの終盤にエリオが何度もポールポジションを獲得したとき、僕は2位以下ばかりだった。マシンもセッティングも同じなのに、僕は彼に予選で勝つことができず、ダイエットをして体重を減らしたほどだった。今回、彼と僕のタイムは本当に小さなものだったけれど、差の大小は関係ない。僕がポールポジションを獲得できた。明日のレースでもチーム・ペンスキーの1-2フィニッシュを飾りたい」
■エリオ・カストロネベス(予選2位)
「昨日は決勝用セッティングを行い、予選に向けてのセッティングは今日の朝に行う予定にしていた。しかし、そのプラクティス・セッションが急遽短縮されたため、決勝用セッティングの残りと、予選用のセッティングを両方行うのは大変だった。気温が朝のプラクティス時よりも予選の方が上がっていたため、路面の温度がどの程度になるか、その影響でマシンのハンドリングが悪化しないかが心配だった。2周のアタックには、少し慎重な姿勢で臨んだ。その一方で、チームのもう1台はサムのドライビングでアグレッシブに行くこととなった。そして、チーム・ペンスキーの予選1-2、フロントロー独占を果たせたんだから、とても嬉しい」
■ダニカ・パトリック(予選3位)
「予選での私たちのパノス-Hondaは、とても乗り易いマシンになっていた。今まででベストの予選アタック用ハンドリングになっていた、と言ってもいいぐらいだった。私のエンジニアは、マシンセッティングの秘訣を知っているから、今朝のプラクティスでの問題点を予選用のマシンではすべて解消してくれていた。決勝を睨んだプラクティスの走行では、まだ私たちのマシンは望むレベルに達していないけれど、予選でマシンが良くなっていたから自信を取り戻すことができそう。予選でのパフォーマンスが良かったことで、随分と気が楽になった。マシンのバランスを良くして、限界を保ったハードな走りができるマシンに仕上げることができれば、私は自信を持ってレースに臨むことができる。ファイナル・プラクティスでそういうマシンを作り上げたい」
■松浦孝亮(予選14位)
「予選用セッティングはほとんどやっていません。24秒8というタイムは、チームが考えていたよりも良いものでした。去年までのデータがない我々とすれば、エンジニアが力を発揮してくれ、自分たちの持っているノウハウからセッティングを進めて来たわけですが、ダラーラの性能を引き出すことができて来ているということだと思います。今回の自分たちは、決勝用のセッティングに集中してきていて、それを良いものにできています。決勝用セッティングは、予選順位よりもずっと重要で、予選で自分たちより前のグリッドを獲得しているドライバーの中には、レースで必ず下がって来るだろうと見られる人も何人かいます。そのマシンをトラブルなくパスしてからが勝負だと思います。明日のレースではトップ6を目指します」
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 6 S.ホーニッシュJr. Marlboro Team Penske D/H/F 24.4625
2 3 H.カストロネベス Marlboro Team Penske D/H/F 24.5131
3 16 D.パトリック Rahal Letterman Racing P/H/F 24.6589
4 9 S.ディクソン Target Chip Ganassi Racing P/H/F 24.6622
5 11 T.カナーン Andretti Green Racing D/H/F 24.7296
6 15 B.ライス Rahal Letterman Racing P/H/F 24.7600
7 27 D.フランキッティ Andretti Green Racing D/H/F 24.7664
8 10 D.ウェルドン Target Chip Ganassi Racing P/H/F 24.7725
9 17 P.ダナ Rahal Letterman Racing P/H/F 24.7967
10 14 F.ジァホーネ A.J. Foyt Enterprises D/H/F 24.8117
11 7 B.ハータ Andretti Green Racing D/H/F 24.8192
12 2 T.シェクター Panther Racing D/H/F 24.8337
13 20 E.カーペンター Vision Racing D/H/F 24.8399
14 55 松浦孝亮 Super Aguri Fernandez Racing D/H/F 24.8432
15 8 S.シャープ Delphi Fernandez Racing P/H/F 24.8896
16 51 E.チーバーJr. Cheever Racing D/H/F 24.9690
17 26 M.アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F 24.9804
18 5 B.ラジアー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 24.9878
19 4 V.メイラ Panther Racing D/H/F 24.9892
20 91 P.J.チェッソン Hemelgarn Racing D/H/F 25.2025
※C(シャシー) : D=ダラーラ、P=パノス。 E(エンジン)はHonda。 T(タイヤ)はファイアストン